タンパク質を手軽に摂れるプロテインの利用は、筋トレやスポーツを行う方にとって常識となりつつあります。
プロテインを愛飲する方が増えていく中で、どのようにプロテインを使えば良いのかいまいち分からないという方もいらっしゃるかと思います。
今回は、プロテインの望ましい摂取方法を、回数や水の量、割り方などの観点から解説します!
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佐藤樹里(管理栄養士)
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管理栄養士。アスドリファクトリー代表。フィットネスジムでの運動・栄養指導経験後、約1年海外移住をし、現地のレストランでシェフと共に働く。現在はスポーツイベント開催、アスリートへの栄養講座、栄養個別サポートを通算1000人以上に行う。 |
目次
最初に、そもそもなぜプロテインを飲むべきなのかという疑問にお答えします。
プロテインは日本語で「タンパク質」。その名の通り、タンパク質が摂れるサプリメントです。
タンパク質は筋肉を作るだけでなく、骨や内臓、皮膚や髪の毛などの材料になります。
さらに、代謝や消化などの体内活動に必要な酵素を作る働きもあり、人体に欠かせない栄養素なのです。
一般的に、1日に必要なタンパク質量は体重1kgあたり1gと考えられています。
トレーニングを日常的に行っている場合は1日につき体重1kgあたり2g以上のタンパク質摂取が理想的とされています。
特に運動習慣のある方は、食事だけで必要なタンパク質量を満たすことが難しくなります。
タンパク質が不足すると、健康にも悪影響が出ます。
そんな事態を避けるために活躍してくれるのがプロテインです。
プロテインにはパウダータイプの商品が多く、使用法も水に溶かして飲むだけなのでとてもお手軽です。
そのため消化吸収が早く、胃腸へ負担をかけずにタンパク質を摂取できます。
プロテインは余分な糖質や脂質をほとんど含まないので、摂りすぎない限り太ってしまう心配もありません。
タンパク質のみを狙って摂りたい時は、食事よりもプロテインがベターな選択肢だと言えます。
「プロテインシェイカー」と呼ばれる入れ物にプロテインを入れることで、どこへでも携帯できるのも大きなメリットです。
ここまででも十分に魅力的ですが、プロテインの力はこれだけにとどまりません。
特に筋トレを行っている方に注目していただきたいのは、血中アミノ酸濃度を急激に高める効果です。
体に入ったタンパク質はアミノ酸に分解され、そのアミノ酸が体内でタンパク質を合成し筋肉を作ります。
つまり、体内のアミノ酸の量(血中アミノ酸濃度)のレベルが高い状態であれば、それだけ多くの筋肉が合成されやすくなります。
さらに、この血中アミノ酸濃度が急激に上昇すると筋肉の合成反応が高まります。
バルクアップしたいのであれば、プロテインはぜひとも試していただきたいです!
プロテインは十分な量のタンパク質を手軽に摂取できる便利なサプリメントなのです!
プロテインはその摂取方法を意識することで、ご自分の理想を叶える可能性を高められます。
ここからは、プロテインを飲む回数や割り方についてより細かくご説明します!
プロテインはタンパク質の摂取が目的なので、回数よりもトータルの摂取量を重視することが大切です。
食事で必要なタンパク質量を満たせていれば、プロテインを摂らなくても大丈夫です。
逆に、あまりタンパク質を摂取できていない日は、いつもより多い回数でプロテインを飲みましょう。
プロテイン摂取のタイミングとしておすすめなのは、起床後すぐやトレーニングの前後、寝る前などです。
タンパク質の摂取量に合わせて、これらのタイミングで必要な分のプロテインを飲んでみてください!
プロテインを使うタイミングに関しては、こちらの記事で詳しく解説しています!
繰り返しになりますが、プロテイン摂取の必要性を考える時に確認するべきなのがタンパク質の総摂取量です。
過剰摂取にさえ気をつければ、プロテインは毎日飲んでも問題ありません。
むしろ1日の必要タンパク質量を食事のみでカバーできないようであれば、毎日のプロテイン摂取も必要な選択肢です。
また、筋トレをしてから約48時間は筋タンパクの合成反応が強まっています。
この機会をしっかりと利用するために、お休みの日もプロテインを摂ることが推奨されます!
基本的に、プロテインは粉末をドリンクに溶かして飲みます。
ドリンクの選択肢は様々で、選ぶものによって体への効果も異なります。
ここでは、プロテインを割るのによく使われるドリンクたちを挙げ、それぞれの割り方の特徴についてご紹介します!
代表的なものが水です。
水はどこでも簡単に手に入れることができ、入手コストなどの心配がほとんどいりません。
余分なものが入っていないので、摂取カロリーや味を変えることもありません。
プロテインの消化吸収が妨げられることもないので、少しでも早くタンパク質を体に届けたい時にぴったりです!
アレンジはききませんが、その分トラブルの可能性も低下します。
特に初心者の方は水割りから試してみてください!
牛乳も水と同様によく使われるドリンクです。
牛乳はプロテインの味をまろやかにしてくれるので、プロテインの味が苦手な方でも美味しく飲めるようになります。
また、牛乳はカルシウムやビタミンB、Dなどの体づくりをサポートしてくれる栄養素を豊富に含みます。
タンパク質にプラスして栄養素を摂りたい時に助かります!
しかし、牛乳でプロテインを割ると問題も生じます。
牛乳のカロリーがプラスされるので、太る危険性が高まります。
お腹が弱い人が牛乳割りプロテインを飲むと、お腹を壊してしまうかもしれないリスクもあります。
さらに、牛乳で割ることで、プロテインの消化吸収速度が遅くなってしまいます。
運動直後のようにすぐにでもタンパク質の補給が必要なタイミングとは相性があまりよくありません。
反対にゆっくり消化吸収されるのが望ましい就寝前のようなタイミングでは、むしろ牛乳割りは効果的かと思います。
牛乳を使う場合は、ご自分の体質や時間帯を考慮しましょう!
最近では、豆乳でプロテインを飲む方もいらっしゃるのではないでしょうか。
豆乳でプロテインを作ると、クリーミーな味わいが加わって飲みやすくなります。
しかし、タンパク質の摂取という観点からみると、豆乳割りはあまり良い方法とは言えないかもしれません。
大豆の中にはタンパク質の消化酵素の働きを阻害する物質があり、プロテイン摂取の効果を弱めてしまう可能性があります。
豆乳にはこの物質が豆腐などよりも多く含まれており、特に注意が必要です。
なお、この物質は加熱によって破壊されます。
製造過程で加熱処理が行われるソイプロテインにおいては、豆乳のような問題はありません。
飲みやすさとタンパク質の効率的な摂取、どちらを優先するかが判断の分かれ目です!
コーヒーでプロテインを割ることも可能です。
コーヒーに含まれるカフェインには、集中力や脂肪燃焼効果を上げる働きがあります。
特にトレーニング前のプロテイン摂取に関しては、コーヒーとの組み合わせは効果的です。
ブラックコーヒーを選択すれば、余分な脂質やカロリーを抑えつつ、甘いプロテインの味を緩和することができます。
しかし、コーヒーを飲むと腹痛や胃痛に襲われるかもしれません。
コーヒーを飲んでも体調が悪化しないのであれば、コーヒーでプロテインを割ってみてください!
プロテインに溶かす水の量は、多くの商品で1杯分につき200ml~300mlとされています。
プロテイン商品に記載されている量に従えば間違いありません。
ただ、メーカーが設定している1杯分よりも多くのタンパク質を摂取したい場合は、プロテインを増やした分だけ水の量を増やすことをおすすめします。
プロテインをしっかり溶かすのに十分な量の水を使用しましょう!
水以外のドリンクで溶かす場合も同じように考えてください!
プロテインは単体でも十分効果が見込めますが、プロテイン以外のサプリメントと合わせて使うことで、さらに筋肉を発達させることができます。
ここでは、プロテインとの併用におすすめのサプリメントをご紹介します!
BCAAは筋タンパク合成の活性化に貢献する「バリン・ロイシン・イソロイシン」の3種類の必須アミノ酸を摂取できるサプリメントです。
(必須アミノ酸とは、人体が自力で生成できない9種類のアミノ酸のことです。)
プロテインをトレーニングの1時間前ほど前に飲んでからトレーニング中にBCAAを飲むことで、「血中アミノ酸濃度が高い状態×筋合成反応の高まり」の相乗効果でより効率的な筋肥大を進めることができます!
持久力や集中力の向上にも効果があると考えられているので、トレーニングの質を高めることもできます!
なお、予算に余裕があれば必須はアミノ酸9種類を全て含むEAAを使用することもおすすめします。
筋タンパクの合成には全種類の必須アミノ酸が必要なので、筋トレ前のプロテインを飲み忘れてしまうと、BCAAでは十分に筋肉を作れなくなってしまいます。
EAAにはそのような材料不足の心配が無いので、筋肉の合成を滞りなくすすめることができます。
EAAはBCAAよりも効果なので、どちらを使うかはお財布と要相談です!
BCAAやEAAに興味がわいた方は、こちらの記事でさらに理解を深めてみてください!
HMBはBCAAの一つであるロイシンの代謝物質のサプリメントです。
HMBには筋合成の促進および筋分解の抑制などの効果が期待でき、筋肉量を着実に増やしたい方にうってつけのサプリメントです!
HMBはトレーニング前やトレーニング中、トレーニング後などで小分けにして飲むことをおすすめします!
HMBについてもっと知りたい方はこちらをご一読ください!
今回はプロテインを飲む回数や割り方、組み合わせたいサプリメントについてお話しました。
プロテインの飲み方は実に多様であり、個人のスタイルによって適切な飲み方は多少なりとも変わってきます。
記事の内容を参考にして、ご自分に合ったプロテインの摂取法を見つけ出してください!
岡田 隆、竹並 恵理(2018) 「筋肉をつくる食事・栄養パーフェクト事典」ナツメ社.
山本 義徳(2017)「 アスリートのための最新栄養学(上)」