ヨーグルトが身体に良いということはなんとなく知っていても、具体的に健康にどんな効果があるかまで意識して食べている方は少ないのではないでしょうか?
私たちの生活に身近な食品であるヨーグルトの栄養や成分についてよく知り、健康のために効果的に取り入れられるようにしたいものです。ヨーグルトのもつ5つの効果をはじめ、ヨーグルトの効果的な摂り方や栄養素を生かすための調理法などを詳しく見ていきましょう。
目次
ヨーグルトは、牛が家畜化され、牛乳が利用できるようになった頃に作られ始めました。自然界に存在する乳酸菌によって牛乳などが発酵し、できた固まりがヨーグルトの起源です。牛乳よりも日持ちが良く、風味も豊で美味しかったため広まったと考えられています。
近代になって酪農が広まり、科学者によって乳酸菌などの微生物の生態が明らかにされるにつれ、ヨーグルトを常食とする東欧の地域に長寿が多いことが解明されました。そこで、ヨーグルトの健康効果について科学的に研究され、ヨーグルトが健康に良い食品だと広く知られるようになったのです。
日本でも7世紀ごろに乳製品が大陸から伝えられ「酪(らく)」「酥(そ)」「醍醐(だいご)」と呼ばれる乳酸菌飲料やバター、チーズの原形のようなものが作られましたが、当時は高貴な方たちの薬として用いられていただけでした。
日本に再び乳製品が登場するのは明治中期頃で、ヨーグルトが昭和の後半になってからやっと広く親しまれるようになりました。日本でヨーグルトが食生活に定着したのは、つい最近のことなのです。
ヨーグルトは、牛乳などを原材料として乳酸菌や酵母によって作られた発酵食品です。乳酸菌の発酵によって、ヨーグルト特有のさわやかな風味が生まれます。
乳酸菌は糖分を分解して乳酸を作り出すはたらきをする細菌です。乳酸菌はヨーグルトだけではなくチーズや味噌、しょうゆ、漬物や醸造酒など身近な食品に生かされています。
乳酸菌の発酵には、食べ物の風味や保存性を高める力があると古来より知られていましたが、科学的な根拠は19世紀に微生物学の祖、パスツールが解明しました。
ヨーグルトの乳酸菌は、ヨーグルトの風味を豊かにして腐敗菌を抑えるため保存性を良くします。また、栄養的には乳酸の発酵によりタンパク質やカルシウムなどの消化吸収を促し、免疫力を高めて有害物質を除去するはたらきがあります。
これらは、もともと腸内に生息している乳酸菌です。これらはいわゆる善玉菌として身体に良い作用をもたらすはたらきがあります。
さらに腸内の細菌を良好なバランスに保ち、食物の消化を促進して便秘や下痢を防止し便通を整える効果があります。
悪玉菌が増えると腸内環境が悪くなり、便秘や免疫力の低下を招きカゼをひきやすくなったり、リンパ球が減ってしまい病気が治りにくくなります。
こうした町内環境からくる不具合を防ぐ上でヨーグルトは有効です。ヨーグルトに含まれている乳酸菌は善玉菌であり、大腸の運動を活発にして排便を促す作用があります。また、ヨーグルトには、善玉菌を増やすはたらきがあるのです。
生活習慣病予防としても、乳酸菌は腸内の悪玉菌を減らし動脈硬化や高血圧の改善効果があります。さらに、ヨーグルトの上澄みである乳清(ホエイ)には血糖値を下げる働きがあるので糖尿病の予防にも効果があります。
また、ヨーグルトに含まれるカルシウムは骨粗しょう症の予防効果もあります。特に、ヨーグルトに含まれるカルシウムは、身体に吸収されやすい乳酸カルシウムという種類です。
カルシウムを効率的にとることは、日本人の推奨摂取量を考えるとなかなか簡単に摂取できることではないかもしれませんが、ヨーグルトを利用すると摂取しやすくなるでしょう。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌には、老廃物を排出するデトックス効果があります。これは、乳酸菌は、新陳代謝を活発にするビタミンAやビタミンB2をたくさん含んでいるためです。
乳酸菌が減ると、肌荒れやニキビができやくすなり肌トラブルが増えてしまいます。腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れて、善玉菌が減ると排便がスムーズにいかなくなり太りやすくなります。
出すべきものが出ずに便秘が続くと、当然ダイエットにも悪影響が出て太りやすくなってしまうのです。ヨーグルトはこれらの美容やダイエットにも効果的な食べ物なのです。
ヨーグルトの主成分となるタンパク質は、人間の骨や皮膚、血液や毛髪などの主な構成成分となる身体に不可欠な栄養素です。
ヨーグルトは牛乳を原料としているため動物性タンパク質を含みます。ヨーグルトには牛乳の約4倍のタンパク質が乳酸菌によってアミノ酸に分解されて含まれているのです。
さらにタンパク質だけでなく、乳酸菌のはたらきにより脂質や糖質、カルシウムなども牛乳より身体に消化吸収しやすい状態に分解されています。様々な栄養素が牛乳より身体に吸収されやすい形となっているため、健康な身体を作ってくれるのに役立つのです。
ヨーグルトに含まれる栄養素の中で、タンパク質の次に多いのが脂質です。太るイメージから、健康の敵のように言われる脂質ですが、適量を摂取することは身体に必要です。
一般的な食生活の場合、1日3回の食事で300~500mgほどの脂質を摂取しています。牛乳を毎日1本飲んでも摂取できる脂質は25mgほどですので、ヨーグルトから摂取する脂質の量は過剰摂取の心配はしなくても大丈夫でしょう。
また、身体は余ったエネルギーを脂肪として蓄えておく代謝システムを備えていて、エネルギーが不足した時に糖質やタンパク質の2倍のエネルギーとなって役立ちます。脂質をある程度摂取しておくことは、基礎代謝が円滑に行われる助けとなっているのです。
ヨーグルトにはカルシウムが多く含まれるだけではなく、ほかの食品に比べて吸収率が高いというメリットがあります。これは、ヨーグルトが発酵する過程で牛乳の中に含まれるたんぱく質が分解され乳酸となり、カルシウムが結びつくことで消化吸収が促されるためです。
カルシウムが骨や歯に吸収される際に必要となるリンが、理想とされる割合で牛乳に含まれているため、ヨーグルトなどの乳製品でカルシウムを取るのは効率的です。
人は成長期だけでなく、その後も骨は1年間で全体の2~3割が生まれ変わり、常に多くのカルシウムを必要とします。血中のカルシウムが不足すると、不足分を補うために骨に貯蔵されているカルシウムが血中に流れ出てしまい、骨粗しょう症や骨軟化症などが引き起こされるのです。
カルシウムは骨や歯を丈夫にするはたらきの他にも、体内の鉄の代謝を助け細胞分裂の促進、高血圧の予防などのはたらきがあります。カルシウムが不足するとイライラすると言われているように、精神を安定させるはたらきもあるほか、マグネシウムと一緒に心臓や血液の状態を安定させる効果もあり、身体のバランスを取るのに重要なミネラルなのです。
糖質は身体の主なエネルギー源で、消化吸収されて血液に乗って全身をめぐり細胞のエネルギーとなります。ヨーグルトには、「乳糖」と呼ばれる脳や神経のエネルギー源にもなる糖質が含まれています。乳糖は、砂糖と違って甘さはなく、エネルギー源としてだけでなくカルシウムや鉄分の吸収を助ける整腸作用があります。
また、ヨーグルトの乳糖は2~3割がすでに分解されている上に、乳酸菌がラクターゼという酵素を出し、体内で入糖の分解をサポートします。そのためヨーグルトは、乳糖を身体にやさしい形で摂ることができます。
ヨーグルトにはさまざまなビタミンも含まれています。代表的なものがビタミンAとビタミンB2です。
脂溶性ビタミンで皮膚や粘膜、視覚を正常に保つはたらきがあり、若さを維持するビタミンと言えます。
水溶性ビタミンで脂質の代謝を良くして細胞の再生に効果があり、健康な皮膚・髪・爪を維持します。脂質をたくさん摂る人ほどビタミンB2が必要となります。不足すると皮下脂肪を燃焼させるための代謝がうまくいかず太りやすくなってしまうのです。
身体の働きを潤滑にするビタミンを摂取することができるのも、ヨーグルトの栄養の特徴です。
ヨーグルトをより美味しく効果的に食べる方法は、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか?良く免疫力が高まる組み合わせはあるのでしょうか?
ヨーグルトは朝食時に食べるイメージがありますが、実際は腸のはたらきが一番活発になるここに文章「夜」食べるのが最も効果的です。腸がいちばん活発になる時間帯は22時から深夜2時までの4時間とされています。ですから寝る前に食べるのが良いでしょう。
ヨーグルトと合わせて食べるといいのが免疫力を高める「バナナ」です。バナナの適度な甘味がヨーグルトと相性が良くおいしさもアップしますし、バナナの食物繊維で便秘の解消も期待できます。ヨーグルトはバナナとセットで食べましょう。
寝る前に食べることを考えて、無糖タイプを選びましょう。
毎日摂るのが難しい場合は腸内に長く滞在できるガセリ菌を多く含む製品を、インフルエンザ対策の場合はブルガリクス菌の製品を選ぶなど、目的に合わせて利用しましょう。
ヨーグルトを置いておくと上の方に透明な液体がたまりますが、これは乳清(ホエイ)と呼ばれる成分で水溶性のタンパク質やミネラル、ビタミンなどがたっぷり含まれています。ホエイには、アルツハイマーを予防する効果があることが最近の研究でわかってきました。
また満腹感を脳に伝える物質が含まれているためダイエット効果も期待できます。乳清を単なる上澄み液だと思って捨てずに、ヨーグルトに混ぜて一緒に摂りましょう。
タンドリーチキンの下ごしらえにヨーグルトを使いましょう。チキンとヨーグルト、必要なスパイス類を漬け込んで半日から1日ほど冷蔵庫で寝かします。オーブンで焼けば美味しいタンドリーチキンができあがり、ヨーグルトも意識せずに摂りことができます。
またヨーグルトサラダやポテトサラダ、ドレッシングなどにもヨーグルトを使うと美味しくなりカロリーも抑えられるのでダイエットにも有効です。
ヨーグルトと牛乳、砂糖とレモン汁を混ぜてヨーグルトドリンクの「ラッシー」を作りましょう。カレーと一緒に飲むのがおすすめですが、栄養たっぷりなのでおやつとして飲んでもいいでしょう。
ほかにもヨーグルトに含まれる乳酸菌を利用して、漬物を作ることができます。漬物にしたい野菜とヨーグルト、塩をタッパーに入れて一晩おけば浅漬けができあがります。しっかりつけたい場合は2~3日置いてから食べると良いでしょう。
このように腸内環境を整え効率よくタンパク質と糖質、脂質、ミネラルを摂取できるヨーグルトは、定期的に摂取したい食品と言えます。どこでも手に入り値段も安価なので、手軽に腸活が始められます。これらの知識を上手に活用した食生活で、健康な生活を手に入れましょう。