治療・検診・運動の費用と制度を、公式資料の数字で確かめる

人間ドックや健康診断の費用は医療費控除の対象になりますか?原則は対象外ですが、健診で重大な疾病が見つかって引き続き治療した場合は健診費用も対象に含まれます

2026-09-30 公開医療費と控除

人間ドックその他の健康診断の費用は、疾病の治療を伴わないため医療費控除の対象になりません。ただし国税庁の質疑応答事例には、健康診断の結果、重大な疾病が発見され、引き続きその疾病の治療を行った場合には、その健康診断は治療に先立って行われる診察と同様に考えることができるため、健康診断の費用も医療費控除の対象に含まれると書かれています(所得税基本通達73-4)。予防接種の費用と、健康増進のためのビタミン剤は対象外です。特定健康診査の結果に基づく特定保健指導のうち一定の要件を満たすものの自己負担額は対象です。医療費控除の額は、1年間に支払った医療費から保険金等で補填される金額を引き、さらに10万円(総所得金額等が200万円未満の人はその5%)を引いた金額で、上限は200万円です。ライフジャパンが2026年9月30日に国税庁の資料で確認した内容を整理し、人間ドック5万円をきっかけに30万円の治療をした場合に所得税と住民税がいくら減るかを計算しました。

人間ドックや健康診断の費用は医療費控除の対象になりますか?

原則として対象になりません。国税庁の質疑応答事例「人間ドックの費用」には、いわゆる人間ドックその他の健康診断は疾病の治療を伴うものではないので、その人間ドック等の費用は医療費控除の対象とはならないと書かれています。国税庁のタックスアンサーNo.1122も、健康診断の費用を医療費控除の対象にならないものとして挙げています。

医療費控除の対象は、医師または歯科医師による診療または治療の対価のように、病気やけがを治すために支払ったものです。人間ドックは病気があるかどうかを調べる検査で、治療ではないため、結果が異常なしであれば対象外です。

健診で病気が見つかった場合はどうなりますか?

重大な疾病が見つかり、引き続きその治療をした場合は、健診費用も対象になります。国税庁の質疑応答事例「人間ドックの費用」には、健康診断の結果、重大な疾病が発見され、引き続きその疾病の治療を行った場合には、その健康診断は治療に先立って行われる診察と同様に考えることができるので、その健康診断のための費用も医療費控除の対象に含まれると書かれています。根拠は所得税基本通達73-4です。

健診の結果健診費用の扱い
異常なし対象外
要経過観察・要再検査で、治療をしなかった対象外
重大な疾病が発見され、引き続き治療をした対象(治療費と合わせて申告できる)

表の要点は、健診費用が対象になるかどうかは、健診を受けた時点ではなく、その後に治療をしたかどうかで決まることです。ライフジャパンが国税庁の質疑応答事例の内容を整理しました。「重大な疾病」の範囲は国税庁の資料に列挙されていないため、がんや心疾患のように治療に直結する病気が見つかって通院や入院を始めた場合が典型です。再検査だけで終わった場合は、健診費用も再検査費用も治療を伴わないため対象になりません。

会社の健康診断や特定健診の自己負担分はどうなりますか?

健診そのものの自己負担分は対象外で、特定保健指導の自己負担額は一定の要件を満たせば対象です。会社が実施する定期健康診断で本人が一部を負担した場合も、人間ドックと同じく治療を伴わないため対象になりません。市区町村や健康保険組合の特定健康診査(メタボ健診)の自己負担分も同じです。

一方、国税庁のタックスアンサーNo.1122は、特定保健指導の自己負担額を医療費控除の対象になるものとして挙げています。特定保健指導は、特定健康診査の結果、生活習慣病のリスクが高いと判定された人が保健師や管理栄養士から受ける指導で、対象になるのは一定の基準に該当する人が受けた指導の自己負担額です。健診で数値の異常が出て指導を受けた場合は、健診の自己負担分は対象外でも、指導の自己負担分は対象になります。

予防接種やサプリメントは対象になりますか?

対象になりません。国税庁のタックスアンサーNo.1122は、予防接種の費用と、ビタミン剤のような病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金を、医療費控除の対象にならないものとして挙げています。インフルエンザの予防接種も、病気の治療ではないため対象外です。

費用医療費控除備考
人間ドック・健康診断対象外重大な疾病が見つかり治療した場合は対象
特定保健指導の自己負担額対象一定の基準に該当する人が受けたもの
予防接種対象外セルフメディケーション税制の適用要件にはなる
ビタミン剤・健康増進の医薬品対象外治療のための風邪薬は対象
医師の診療・治療の対価対象病状に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分
治療のための医薬品の購入代対象医師の処方がなくても治療目的なら対象

表の要点は、「治療のため」かどうかで線が引かれることです。国税庁のタックスアンサーNo.1122の記載をライフジャパンが整理しました。予防接種と健康診断は控除の対象外ですが、セルフメディケーション税制を使う場合の「健康の保持増進および疾病の予防への取組」に当たるため、その年に受けていることがセルフメディケーション税制の適用要件になります。

医療費控除の額はどう計算しますか?

支払った医療費から保険金等を引き、さらに10万円を引いた額です。国税庁のタックスアンサーNo.1120には、医療費控除の額は、その年中に支払った医療費の合計額から保険金などで補填される金額を差し引き、そこから10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人はその5%)を差し引いた金額で、最高200万円と書かれています。

保険金などで補填される金額には、生命保険の入院給付金、健康保険の高額療養費、出産育児一時金が含まれます。補填金は、その補填の対象になった医療費からだけ引き、他の医療費からは引きません。

人間ドック5万円をきっかけに30万円の治療をしたら税金はいくら減りますか?

所得税率10%の人なら所得税が2万5,000円、住民税が2万5,000円減ります。人間ドック5万円と治療費30万円の合計35万円が対象で、保険金の補填がなければ35万円−10万円=25万円が医療費控除の額です。所得税は25万円×10%=2万5,000円、住民税は25万円×10%=2万5,000円で、合計5万円の減税です。

課税所得(所得税率)医療費控除の額所得税の減少額住民税の減少額(10%)合計
195万円以下(5%)25万円1万2,500円2万5,000円3万7,500円
195万円超330万円以下(10%)25万円2万5,000円2万5,000円5万円
330万円超695万円以下(20%)25万円5万円2万5,000円7万5,000円
695万円超900万円以下(23%)25万円5万7,500円2万5,000円8万2,500円

表の要点は、人間ドック費用5万円を含められるかどうかで、控除額が5万円、所得税率10%の人なら減税額が1万円変わることです。ライフジャパンが国税庁のタックスアンサーNo.2260の所得税率と、住民税の所得割の標準税率10%で計算しました。復興特別所得税(所得税額の2.1%)は含めていません。健診で異常がなく治療をしなかった年は、治療費30万円だけが対象で、控除額は20万円です。

申告には何が必要ですか?

医療費控除の明細書と、健診と治療の領収書の保管です。医療費控除は年末調整では受けられず、確定申告で医療費控除の明細書を添付して受けます。健康保険組合や市区町村から届く医療費通知を明細書の代わりに添付できますが、人間ドックは保険診療ではないため医療費通知には載りません。人間ドックの領収書は自分で明細書に記入します。

領収書は確定申告書の提出期限から5年間、自宅で保管します。健診費用を対象に含める場合は、健診の領収書に加えて、その健診で見つかった病気の治療を受けたことが分かる領収書や診療明細書を一緒に保管しておくと、税務署から確認を受けたときに説明できます。

2026年10月の時点で何を確認すればよいですか?

今年受けた健診の結果と、その後に治療を始めたかどうかです。2026年に人間ドックや健康診断を受けて重大な疾病が見つかり、通院や入院を始めた人は、健診の領収書を治療費の領収書と同じ場所に保管します。健診の日付が治療の開始より前であることが、「治療に先立って行われる診察」として扱うための前提です。

異常なしだった人は、健診費用は対象外のまま、他の医療費が年間10万円を超えるかを見ます。10万円に届かない場合は、対象の市販薬の購入額が1万2,000円を超えていればセルフメディケーション税制を検討します。セルフメディケーション税制は健診を受けていることが要件なので、健診の結果通知書は捨てずに残します。

この記事で確認した内容と確認日

ライフジャパンは2026年9月30日に、国税庁のタックスアンサーNo.1122「医療費控除の対象となる医療費」(令和8年4月1日現在法令等)、国税庁の質疑応答事例「人間ドックの費用」(令和7年8月1日現在の法令・通達等)、国税庁のタックスアンサーNo.1120「医療費を支払ったとき(医療費控除)」、国税庁のタックスアンサーNo.2260「所得税の税率」を確認しました。

課税所得ごとの所得税と住民税の減少額は、ライフジャパンが国税庁の税率と住民税の標準税率から計算したものです。国税庁の資料に一覧として載っているものではありません。控除の可否は治療の内容や領収書の状況で変わるため、申告前に所轄税務署に確認してください。

確認した公式資料