セルフメディケーション税制はいくら戻りますか?対象の市販薬を年12,000円を超えて買うと超えた分(上限88,000円)が所得から控除され、所得税率10%の人なら年20,000円の購入で1,600円の減税です
セルフメディケーション税制はいくら戻りますか?
対象の市販薬を年12,000円を超えて買った分が所得から控除されます。厚生労働省の「セルフメディケーション税制について」には、その年中に支払った対象医薬品の購入の対価の合計額が12,000円を超えるときは、その超える部分の金額(88,000円を超える場合は88,000円)をその年分の総所得金額等から控除すると書かれています。
減る税金は控除額に税率を掛けた額です。厚生労働省の同じ資料には、課税所得400万円の人が対象医薬品を年間20,000円購入した場合、20,000円−12,000円=8,000円が課税所得から控除され、所得税で8,000円×20%=1,600円、個人住民税で8,000円×10%=800円の減税効果になると書かれています。
控除の上限は88,000円です。対象医薬品の購入額が年100,000円のときに控除額が88,000円になり、それ以上買っても控除額は増えません。
購入額と所得税率ごとに税金はいくら減りますか?
年30,000円の購入で所得税率10%の人は所得税1,800円と住民税1,800円です。ライフジャパンが2026年9月28日に、厚生労働省の計算方法(購入額から12,000円を引き、所得税率と住民税率10%を掛ける)で計算しました。
| 対象医薬品の年間購入額 | 控除額 | 所得税率5%の人 | 所得税率10%の人 | 所得税率20%の人 | 住民税(一律10%) |
|---|---|---|---|---|---|
| 12,000円以下 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 20,000円 | 8,000円 | 400円 | 800円 | 1,600円 | 800円 |
| 30,000円 | 18,000円 | 900円 | 1,800円 | 3,600円 | 1,800円 |
| 50,000円 | 38,000円 | 1,900円 | 3,800円 | 7,600円 | 3,800円 |
| 100,000円以上 | 88,000円(上限) | 4,400円 | 8,800円 | 17,600円 | 8,800円 |
表はライフジャパンが計算した金額で、厚生労働省の資料に載っているのは20,000円・税率20%の例だけです。復興特別所得税は含めていません。減税の効果は控除額に税率を掛けた分にとどまるため、市販薬を買うほど得になる制度ではなく、必要な薬を買った年に申告で少し戻る制度です。
どんな市販薬が対象ですか?
医療用から転用されたスイッチOTC医薬品と、一部の非スイッチOTC医薬品です。厚生労働省の「セルフメディケーション税制について」には、スイッチOTC医薬品(医療用から転用されたOTC医薬品)の対象として、外用鎮痛消炎薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬、鼻炎用薬、アレルギー用薬、胃腸薬、水虫薬、口内炎用薬、禁煙補助薬等が挙げられています。
| 区分 | 対象になる薬の例 | 対象外の例 |
|---|---|---|
| スイッチOTC医薬品 | 外用鎮痛消炎薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬、鼻炎用薬、アレルギー用薬、胃腸薬、水虫薬、口内炎用薬、禁煙補助薬 | L-アスパラギン酸カルシウム、フッ化ナトリウム、メコバラミン、ユビデカレノンを有効成分とする医薬品、緊急避妊薬、ED治療薬 |
| 非スイッチOTC医薬品 | 外用鎮痛消炎薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬、鼻炎用薬、アレルギー用薬 | 上記6分類以外 |
表は厚生労働省の資料の記載をライフジャパンが整理したものです。非スイッチOTC医薬品は6つの分類に限られ、胃腸薬や水虫薬はスイッチOTC医薬品の場合だけ対象です。
対象かどうかはレシートと商品で確認できます。国税庁のタックスアンサーNo.1129には、対象の医薬品は領収書や医薬品のパッケージに対象商品であることが表示されていると書かれています。厚生労働省のページには令和8年9月1日時点の対象品目一覧が掲載されています。
令和9年1月からは何が変わりますか?
OTC検査薬が対象に加わります。厚生労働省が掲載している令和9年1月1日施行時点の租税特別措置法第41条の17には、特定一般用医薬品等購入費の対象として、医薬品医療機器等法第2条第14項に規定する体外診断用医薬品のうち、その使用による医療保険療養給付費の適正化の効果が著しく高いと認められるものとして政令で定めるものが加わっています。
薬局製造販売医薬品も条文に加わりました。同じ条文には、一般用医薬品等の範囲に要指導医薬品、一般用医薬品および薬局製造販売医薬品が含まれると書かれています。厚生労働省のページには税制対象OTC検査薬、税制対象漢方製剤、薬局製造販売医薬品の有効成分リストが掲載されています。
制度はいつまで使えますか?
スイッチOTC医薬品は終わりの期限がなく、それ以外は令和13年12月31日までです。厚生労働省が掲載している令和9年1月1日施行時点の租税特別措置法第41条の17第1項には、薬局製造販売医薬品を除く医薬品である一般用医薬品等(スイッチOTC医薬品)の購入費は平成29年1月1日以後の期間、それ以外の特定一般用医薬品等購入費は平成29年1月1日から令和13年12月31日までの期間と書かれています。
| 対象医薬品の区分 | 適用期間 |
|---|---|
| スイッチOTC医薬品 | 平成29年1月1日以後(終期の定めなし) |
| 非スイッチOTC医薬品・OTC検査薬・薬局製造販売医薬品など | 平成29年1月1日から令和13年12月31日まで |
表は条文の記載をライフジャパンが整理したものです。制度自体は平成29年(2017年)から続いており、非スイッチOTC医薬品などの上乗せ部分は2031年末まで使えます。
受けるための条件は何ですか?
その年に健診や予防接種などの取組を1つ以上受けていることです。厚生労働省の「セルフメディケーション税制について」には、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として、特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診のいずれかを行う個人が対象と書かれています。国税庁のタックスアンサーNo.1129は、保険者が実施する健康診査(人間ドックなど)、市区町村が実施する健康診査、予防接種(定期予防接種、インフルエンザワクチン)、勤務先の定期健康診断、特定健康診査・特定保健指導、がん検診の6種類を挙げています。
- 勤務先で受けた定期健康診断は取組に当たります。会社員は毎年の健康診断を受けていれば条件を満たします。
- インフルエンザの予防接種は取組に当たります。自費で受けた予防接種も含まれます。
- 市区町村や健康保険組合のがん検診・特定健康診査は取組に当たります。受診の結果通知や領収書を保管します。
3つはいずれも国税庁のタックスアンサーNo.1129が示す取組の例です。家族の分の薬を申告する場合も、取組を行っているのは申告する本人で足ります。
家族の薬も合算できます。厚生労働省の同じ資料には、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る対象医薬品の購入の対価が対象と書かれています。
通常の医療費控除とどちらを選ぶべきですか?
医療費の合計が10万円を超える年は通常の医療費控除、超えない年はセルフメディケーション税制です。厚生労働省の「セルフメディケーション税制について」には、この特例の適用を受ける場合には医療費控除の適用を受けることができないと書かれています。国税庁のタックスアンサーNo.1129には、選択適用で一度選択した後は変更できないと書かれています。
| その年の支払い | 通常の医療費控除 | セルフメディケーション税制 |
|---|---|---|
| 医療費15万円+対象医薬品3万円 | 18万円−10万円=8万円 | 3万円−1.2万円=1.8万円 |
| 医療費6万円+対象医薬品3万円 | 9万円−10万円=0円(適用なし) | 1.8万円 |
| 医療費0円+対象医薬品5万円 | 0円(適用なし) | 3.8万円 |
表はライフジャパンが2026年9月28日に両制度の計算式で計算した控除額の比較です。通常の医療費控除は対象医薬品の購入額も医療費に含めて計算できるため、医療費全体が10万円を超える年は通常の医療費控除のほうが控除額が大きくなります。
申告には何が必要ですか?
セルフメディケーション税制の明細書を確定申告書に添付します。国税庁のタックスアンサーNo.1129には、セルフメディケーション税制の明細書を確定申告書に添付する必要があると書かれています。明細書には、取組の名称と対象医薬品の購入費の内訳を書きます。
レシートは5年間保管します。国税庁のタックスアンサーNo.1120には、医療費の領収書は確定申告期限等から5年を経過する日まで税務署から提示または提出を求められることがあると書かれています。対象医薬品のレシートには対象商品であることを示す印が付いているため、他のレシートと分けて保管します。
年末調整では受けられません。セルフメディケーション税制は医療費控除の特例のため、会社員も確定申告が必要です。
2026年9月の時点で何を確認すればよいですか?
今年のレシートで対象医薬品の購入額を集計します。対象商品の印が付いたレシートだけを集め、12,000円を超えているかを確認します。超えていなければ申告しても控除はありません。
次に今年の取組を確認します。勤務先の定期健康診断、インフルエンザの予防接種、市区町村のがん検診のいずれかを2026年中に受けていれば条件を満たします。まだ受けていない人は、2026年12月までに予防接種か健診を受けます。
最後に通常の医療費控除との比較をします。家族全員の医療費が10万円を超えそうな年は通常の医療費控除を選び、対象医薬品の購入額もそちらに含めます。
この記事で確認した内容と確認日
ライフジャパンは2026年9月28日に、厚生労働省の「セルフメディケーション税制について」(令和8年8月7日時点)、厚生労働省が掲載する「租税特別措置法(抄)令和9年1月1日施行時点」、厚生労働省の「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について」のページ、国税庁のタックスアンサーNo.1129を確認しました。
購入額と所得税率ごとに減る税金の表と、通常の医療費控除との比較は、ライフジャパンが公表資料の計算式から計算したものです。厚生労働省の資料に載っている例は20,000円・税率20%の1つだけです。個別の申告については、所轄税務署または税理士に確認してください。
確認した公式資料
- 厚生労働省「セルフメディケーション税制について」(令和8年8月7日時点) https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000895388.pdf
- 厚生労働省「租税特別措置法(抄)令和9年1月1日施行時点」 https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001738404.pdf
- 厚生労働省「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html
- 国税庁 No.1129「特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1129.htm