治療・検診・運動の費用と制度を、公式資料の数字で確かめる

出産育児一時金はいくらもらえて、どう受け取りますか?1児につき50万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関等では48.8万円)で、直接支払制度・受取代理制度・事後申請の3つの受け取り方があり、一時金は医療費控除の計算で出産費用から差し引きます

2026-10-06 公開医療費と控除

出産育児一時金は、健康保険や国民健康保険の被保険者またはその被扶養者が出産したときに支給される給付です。厚生労働省のページでは、お子さん1人につき原則50万円で、産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産した場合は48.8万円と書かれています。申請は出産日の翌日から2年以内で、受け取り方は直接支払制度・受取代理制度・事後申請の3つです。出産費用が一時金より少なければ差額が支給され、超えた分は自己負担です。国税庁のタックスアンサーNo.1124は、一時金を医療費控除の計算で医療費から差し引くと書いています。2026年6月5日に公布された健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)には、出産の標準的な費用に係る給付体系の見直しが入り、施行は公布後2年以内に政令で定める日です。新制度では国が基本単価を設定し、当分の間は施設単位で現行の出産育児一時金も選べます。ライフジャパンが2026年10月6日に厚生労働省、協会けんぽ、国税庁の公式資料で確認しました。

出産育児一時金はいくらもらえますか?

1児につき50万円です。産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産した場合は48.8万円です。厚生労働省のぼせいナビには、「一児の出産につき、50万円が支給されます。産科医療補償制度に加入されていない医療機関等で出産された場合は、48.8万円となります」と書かれています。多胎児の場合は、胎児の数の分だけ支給されると書かれています。

厚生労働省の第201回社会保障審議会医療保険部会の資料(令和7年10月23日)には、令和5年4月から原則50万円を支給し、内訳は本人支給分48.8万円と産科医療補償制度の掛金分1.2万円と書かれています。協会けんぽのページには、2023年4月1日以降の出産で、産科医療補償制度に加入する医療機関で在胎週数22週以降の出産は1児につき50万円、在胎週数22週未満の出産は1児につき48.8万円と書かれています。

出産の条件支給額(1児につき)
産科医療補償制度に加入している医療機関等で出産(在胎週数22週以降)50万円
産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産48.8万円
産科医療補償制度に加入している医療機関で在胎週数22週未満の出産48.8万円

表の要点は、50万円は本人支給分48.8万円に産科医療補償制度の掛金分1.2万円を加えた額で、制度の対象にならない出産は48.8万円になることです。ライフジャパンが2026年10月6日に、厚生労働省と協会けんぽの記載を1つの表に整理しました。

出産育児一時金の受け取り方は何通りありますか?

3通りです。出産時に公的医療保険に加入していて妊娠4か月以上で出産した人が対象で、申請は出産日の翌日から2年以内です(厚生労働省のページ)。直接支払制度、受取代理制度、事後申請(厚生労働省のページでは償還払い)で、違いは、出産施設が代わりに申請するか、出産施設が代わりに受け取るか、本人が出産費用を全額支払ってから自分で申請するかです。

受け取り方申請する人お金が支払われる先
直接支払制度出産施設出産施設(保険者から出産施設へ直接支払い)
受取代理制度被保険者(本人)出産施設(出産施設が本人に代わって受け取る)
事後申請(償還払い)被保険者(本人)本人(出産費用を全額支払ったあとに受け取る)

表の要点は、直接支払制度と受取代理制度では、窓口で出産費用の全額を用意しなくてよいことです。事後申請だけは、いったん出産費用の全額を本人が支払います。厚生労働省のページの説明をライフジャパンが表に整理しました。

直接支払制度とはどんな仕組みですか?

出産施設が被保険者に代わって保険者に申請し、一時金が保険者から出産施設へ直接支払われる仕組みです。厚生労働省のページには、「出産施設(病院など)が被保険者に代わって保険者に出産育児一時金の支給申請を行い、保険者から出産施設に出産育児一時金が直接支払われる仕組み」と書かれています。

協会けんぽのよくあるご質問には、直接支払制度では、協会けんぽへの事前の申請は不要で、医療機関の窓口でマイナ保険証を提示して手続きすると書かれています。直接支払制度を使うと、出産費用のうち一時金の額までは、出産施設が保険者から受け取ります。本人が窓口で支払うのは、出産費用が一時金を超えた分だけです。

受取代理制度とはどんな仕組みですか?

被保険者が自分で保険者に申請し、出産施設が本人に代わって一時金を受け取る仕組みです。厚生労働省のページには、「被保険者が自ら保険者に出産育児一時金の支給申請を行い、出産施設(病院など)が被保険者に代わって出産育児一時金を受け取る仕組み」と書かれています。

協会けんぽのページには、受取代理制度は出産予定日まで2か月以内の申請が必要と書かれています。

事後申請とは何で、どんなときに使いますか?

本人が出産費用の全額を出産施設に支払ったあとに、自分で保険者へ申請して一時金を受け取る方法です。厚生労働省のページでは、「加入者が全額支払後、申請して返金受取」する償還払い制度として説明されています。協会けんぽのページでは、事後申請を「被保険者自身が請求」と書いています。

事後申請では、出産費用の全額を先に用意する必要があります。申請書は、協会けんぽでは健康保険出産育児一時金支給申請書です。

出産費用が一時金より少なかったとき、差額はもらえますか?

もらえます。出産費用の総額が一時金の支給額を下回る場合は、加入している医療保険から差額が支給されます。厚生労働省のページには、「費用の総額が出産育児一時金の支給額を下回る場合、ご加入の医療保険から差額を受け取ることができます」と書かれています。

協会けんぽのよくあるご質問には、直接支払制度を使った場合の差額の申請方法が2つ書かれています。1つ目は、健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書で、領収書と証明書の添付が必要です。2つ目は、健康保険出産育児一時金差額申請書で、添付書類は不要です。たとえば、出産費用が45万円で一時金が50万円なら、差額の5万円が支給されます。この45万円という金額は、差額の計算を示すためにライフジャパンが置いた仮の数字です。

出産費用が一時金を超えたときはどうなりますか?

一時金を超えた分は、本人の自己負担です。直接支払制度を使うと、出産施設の窓口では、出産費用から一時金の額を引いた残りを支払います。たとえば、出産費用が60万円で一時金が50万円なら、窓口で支払うのは10万円です。この60万円という金額も、計算を示すためにライフジャパンが置いた仮の数字です。

出産育児一時金は医療費控除でどう扱いますか?

医療費控除の計算で、出産費用から差し引きます。国税庁のタックスアンサーNo.1124(令和8年4月1日現在法令等)には、健康保険組合などから出産育児一時金や家族出産育児一時金が支給される場合、その金額は医療費控除の額を計算するときに医療費から差し引かなければならないと書かれています。

国税庁のタックスアンサーNo.1120には、医療費控除の額の計算式が書かれています。「実際に支払った医療費の合計額から、保険金などで補てんされる金額を引き、そこから10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を引く」計算で、補てんされる金額の例として出産育児一時金が挙げられています。

出産手当金は差し引く必要がないと、国税庁のタックスアンサーNo.1124に書かれています。

一時金が出産費用より多いと、控除額はどうなりますか?

差し引ききれない分は、他の医療費からは引きません。国税庁のタックスアンサーNo.1120には、補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引き、引ききれない金額が生じた場合でも他の医療費からは差し引かないと書かれています。

たとえば、出産費用が45万円で一時金が50万円の場合、出産費用の医療費控除は0円です。差額の5万円は、他の医療費からは引きません。出産費用が60万円で一時金が50万円の場合は、60万円から50万円を引いた10万円が医療費控除の対象です。この金額は、国税庁の計算方法に仮の数字を当てはめて、ライフジャパンが計算した例です。

出産費用が一時金以下なら出産費用の医療費控除はなく、超えた分だけが対象になります。控除を受けるには、出産費用以外の医療費も合わせた年間の合計額が、国税庁の式の10万円を超える必要があります。

出産費用を保険で見る新しい制度は決まりましたか?

法律は成立し、2026年6月5日に公布されました。施行は公布後2年以内に政令で定める日です。厚生労働省の「健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)の概要」には、改正の概要として「出産に伴う妊婦の経済的負担を軽減するため、出産の標準的な費用に係る給付体系の見直し等を行う」と書かれ、施行期日の欄に「2①及び②は公布後2年以内に政令で定める日」、末尾に「令和8年6月5日公布」と書かれています。厚生労働省の「医療保険制度改正法が成立しました」のページには、法案の成立日が2026年5月29日と書かれています。

新しい給付方式は、同じ概要の「出産育児一時金に代わる給付方式の導入」に書かれています。1つ目は、保険診療以外の分娩の基本単価を国が設定し、保険者から施設に直接支給(現物給付化)して、妊婦に負担が生じないようにすることです。具体的な給付水準は告示事項で、施設の体制や役割を評価して加算を設定します。2つ目は、保険診療の一部負担金など出産時の費用負担の軽減のために、全ての妊婦に定額の現金給付を行うことで、金額は政令事項です。3つ目は、施設の選択により、当分の間、施設単位で現行制度(出産育児一時金)の適用を受けることも可能とすることです。

項目厚生労働省の資料の記載
公布日令和8年6月5日
施行期日(出産の標準的な費用に係る給付体系の見直し)公布後2年以内に政令で定める日
出産の標準的な費用国が基本単価を設定し、保険者から施設に直接支給して妊婦に負担が生じないようにする
全ての妊婦への現金給付定額の現金給付(金額は政令事項)
出産育児一時金当分の間、施設単位で現行制度の適用を受けることも可能

表の要点は、新しい給付方式の施行日は公布後2年以内に政令で定めることになっており、具体的な給付水準と現金給付の額はこれから告示と政令で決まることです。2026年10月6日にライフジャパンが確認した資料に、施行日の年月日と、基本単価の金額は書かれていませんでした。現在の出産育児一時金の額と受け取り方は、新しい給付方式の施行日が政令で決まるまでは、この記事の前半のとおりです。

2026年10月の時点で何を確認すればよいですか?

出産予定日が近い人は、出産施設が直接支払制度を扱っているかと、出産費用の見積もりの2点です。出産後の人は、差額の申請が必要かと、確定申告に出産費用を含めるかを確認します。

出産前は、出産施設に直接支払制度を使えるかを聞き、出産費用が一時金の50万円(産科医療補償制度の対象外なら48.8万円)に収まるかを、出産施設の見積もりで確かめます。出産後に直接支払制度を使って出産費用が一時金より少なかった場合は、加入している医療保険に差額を申請します。出産した年の医療費の合計が10万円を超える人は、一時金を出産費用から差し引いて医療費控除を計算します。

この記事で確認した内容と確認日

ライフジャパンは2026年10月6日に、厚生労働省の「出産育児一時金の支給額・支払方法について」、厚生労働省の出産・子育て応援ポータル(ぼせいナビ)の「出産育児一時金」、協会けんぽの「出産育児一時金」と「子どもが生まれたとき(出産育児一時金)」のよくあるご質問、厚生労働省の「健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)の概要」を載せた医療保険部会資料(令和8年6月18日)と「医療保険制度改正法が成立しました」のページ、国税庁のタックスアンサーNo.1124とNo.1120(No.1124は令和8年4月1日現在法令等)を確認しました。

出産費用が45万円または60万円の場合の差額と医療費控除の計算例は、ライフジャパンが公式資料の計算方法に仮の数字を当てはめたもので、公式資料に書かれた数字ではありません。新制度の基本単価の金額と施行日の年月日は、確認した資料に書かれていません。支給額、受け取り方、申請書類は、加入している医療保険によって取り扱いが異なる場合があるため、申請前に協会けんぽ、健康保険組合、市区町村の窓口に確認してください。

確認した公式資料