ヨガをしているときに気づけば呼吸が止まっている…。息を吸うタイミングと吐くタイミングがたまにわからなくなる…。
レッスンで呼吸を大切に、と言われるけど、なんでそんなに呼吸が大事なの?
こんなことを思ったことはありませんか?今回はそんな方へ向けて、ヨガの呼吸の大切さや、呼吸の仕方、呼吸法の種類などをヨガインストラクターが解説していきます。
ヨガインストラクター斉藤玲奈
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自身の体験を通し、病気や体の不調に悩んでいる人、そして自分では気づかない不調を抱え頑張る人にこそ、呼吸が変われば、ココロが変わり、カラダが変わることを知ってほしい。その想いで、ヨガインストラクターとして活動。全米ヨガアライアンスRYT200取得/インナービューティープランナー |
Contents
ヨガで一番大切なのは呼吸だと言っても過言ではありません。それくらい、ヨガをするにあたって呼吸は重要な要素です。 では、なぜ呼吸がそんなにも重要視されているのでしょうか?
深い呼吸を意識して行うことで、普段なんとなく過ごしているときと比べて酸素が全身に行き渡り、血流が良くなります。
血流が良くなることで、老廃物を押し出しやすくなったり、冷え性緩和の効果が期待できます。また、血流が促進されることで体温や代謝が上がって新陳代謝が良くなったり、免疫力が上がっていくなど、あらゆる面で身体にとってメリットがあります。
深い呼吸は心身をともにリラックスさせてくれる効果もあります。呼吸を深くしようとすると、ゆっくりしたスピードを意識することになり、その結果副交感神経を優位にしてくれます。
ヨガのポーズを取る際には、体幹がしっかり鍛えられていることが大切です。そこでヨガの基本である腹式呼吸で深い呼吸をすると、インナーマッスルが鍛えられるのでヨガのポーズが取りやすくなってきます。
逆に、しっかり呼吸ができていないままヨガのポーズをとってしまうと、筋肉が収縮して怪我をしやすくなってしまったり、血圧が上がってしまったりする可能性があって危険です。
このように呼吸はとても大切なのですが、かと言って難しいことをしようというわけではありません。基本は息を鼻から吸って鼻から吐く。これをやるだけでいいのです。深く呼吸ができると余裕が生まれ、自分にとって心地よいポーズや動きが見つかりやすくなります。
そうして自分を見つめる余裕を作ってあげることで、他人の目も気にならなくなってきますし、完璧にポーズを取らなくても自分の小さな変化に気がついてあげられるので心地よいと感じられると思います。
深い呼吸にはメリットがたくさんあることがお分かりいただけたと思います。ですが、特にヨガ初心者の方はポーズを取ることに意識が向いてしまい、呼吸をうまく行えない方もいらっしゃるかもしれません。そこで、ヨガをする際の呼吸について2つのポイントをご紹介します。
呼吸を止めてしまうはずはないと思う方も多いですが、ポーズに集中しすぎてしまったり身体が力んでしまっていると、自分では気づかないうちに呼吸が浅くなっていたり、止まっていることがあります。ヨガの動きに合わせて呼吸を行うことで、普段は意識しない呼吸をいつも以上に感じられる事も、リフレッシュにつながると考えられます。
ヨガの呼吸は鼻呼吸です。「鼻から吸って、鼻から吐く」呼吸を行います。 鼻呼吸にすることで、空気中のホコリや雑菌が身体の中に入ってききにくくなり喉の乾燥も防ぐことができます。また、口呼吸よりも多くの酸素が身体に入りやすいと言われています。
ただし、ヨガに慣れていないと、鼻呼吸が難しく感じる場合もあると思います。
ヨガにまだ慣れていない方だと、呼吸と動きを連動させて行うことは難しいかもしれません。
ポーズを上手くとろうと意識していたら気づかないうちに呼吸が止まっていたり、吸ったり吐いたりするタイミングがわからなくなったりすることは良くあることです。
そんなときはポーズを上手にすることよりも、呼吸を最優先にしてみるのが良いかもしれません。呼吸とポーズの2つを同時に意識するのは難しいもの。まずは呼吸だけを意識してみましょう。
ポーズを取らなくても、呼吸によって心を沈めたり、頭をクリアにしたり、自分と向き合ったりといったことができます。そして呼吸を止めずにできるようになってきてから上手にポーズをとることを意識し始めていきましょう。そうすることで今度はポーズだけに集中できるので、やりやすいと思います。
ここで、呼吸と動きを連動させるための練習としておすすめなポーズの一つに「太陽礼拝」があります。
ヨガの基本である、1つのポーズに1つの呼吸を合わせて身体を動かしていく意識を自然と身につけることができるものとなっていますので、呼吸と動きの連動に慣れたいなと思う方はこちらの記事を参考に練習してみるのもおすすめです。
ヨガの基本は鼻呼吸と息を止めないことだとご紹介してきました。そして実はその上でヨガには様々な呼吸法があるのです。今回はその中からヨガのレッスンで用いられる機会が多い呼吸法をご紹介していきます。
呼吸法 | 使われる場面 |
腹式呼吸 | 一番メジャーな呼吸法で、リラックス系のヨガで用いられることが多い。 |
胸式呼吸 | ピラティスやアシュタンガヨガに取り入れられることが多い。 |
片鼻呼吸 | ヨガの動きと連動せず呼吸単独で行う。 |
ウジャイ呼吸 | アシュタンガヨガで用いられることが多い。 |
カパラバティ呼吸法 | ヨガの動きと連動せず呼吸単独で行う。 |
シータリー呼吸 | ヨガの動きと連動せず呼吸単独で行う。 |
腹式呼吸は、ヨガの様々な呼吸法の中でも一番メジャーなものです。腹式呼吸をすると鼻から吸うときにお腹が膨らみ、口から吐くときにお腹がへこみます。腹式呼吸は副交感神経を優位にするため、リラックス効果期待できる呼吸法となっています。
胸式呼吸は、肋骨を膨らませたり閉じたりする呼吸法です。先ほど紹介した腹式呼吸とは違ってこちらは交感神経を活発にさせるため、集中力を高める効果やリフレッシュ効果が期待できます。
また、ピラティスやアシュタンガヨガなど、比較的動きの多いヨガに取り入れられることが多いです。
これは先ほどまでとは違い、ヨガの動きとは連動せず、呼吸単体で行うものです。片方の鼻の穴を手で押さえて塞ぎ息を吸い、今度は逆の鼻の穴を抑えてから息を吐くというような方法です。
脳に酸素を行き渡らせるのに有効とされています。そして右鼻での呼吸では交感神経が優位になり、左鼻では副交感神経が優位になると言われていて、これらを交互に行うことで左右の神経のバランスを整えるのに役立ちます。
息を吸う時は喉の奥のあたりを締めるような意識で「シュー」と音を鳴らしながらゆっくりと吸い込みます。吐く際は、冬の寒い時に手に息を吐く時のイメージのまま、口を閉じながら鼻から息を出します。
体を温めたり全身の活性化が期待できる呼吸法です。
ヨガの動きとは連動せず、呼吸単体で行うものです。腹筋に力を入れながら素早く「フッフッフッフッ」のように息を吐き続ける呼吸法です。
肺や腹筋をかなり動かすので血行が良くなりますが、高血圧の方や病気を抱えている方、マタニティの方などは負担が大きいので控えると良いでしょう。
ヨガの動きとは連動せず、呼吸単体で行うものです。これまでヨガの基本は鼻呼吸だとご紹介してきましたが、この呼吸法に関しては異なります。こちらは口から吸って鼻から吐くという呼吸法。
ストローのように舌を丸め、そこから息を吸い、吐く時には鼻から吐きます。舌を通して息を吸うことで冷たい空気を体内に取り込み、吐く時に体の熱を放出することで体温を下げる効果があります。目を覚ましたいときや気分を変えたい時にオススメの呼吸法です。
ここまでで、数あるヨガの呼吸法の中でも比較的よく用いられる6種類の呼吸法をご紹介してきました。
基本は鼻呼吸。鼻が詰まっていても、鼻呼吸を続けることで、自律神経が整い、呼吸の通りが良くなります。最初は鼻が苦しいなと思っていても、続けていくうちに鼻の通りが良くなっていきます。最初は慣れないかもしれませんが、ぜひ続けてみてください。
正しい呼吸は、
吸うとき:お腹と胸が膨らんでいく
吐くとき:お腹と胸が閉じていく
となります。
慣れないうちは目視でお腹の膨らむタイミングを確認をしてみると良いでしょう。吸うときは背筋が上に伸びて、吐くときは肩の力が抜けていくのを感じましょう!
ご自分のペースで良いので、吸う息と吐く息の長さを揃えてきます。
例えば、4秒で吸ったら4秒かけて吐いていく、6秒吸ったら6秒で吐いていきます。最初は時間を意識することで呼吸が無意識のうちに止まってしまうことを防げますし、自律神経のバランスも整えられます。
それに慣れてきたら、1日のうちどこかで腹式呼吸の要領で深呼吸する時間を設けてみましょう。オススメは1日12回×2セット。ポイントは外に出て行うこと。外の空気を感じながら深呼吸することで肩から余分な重荷が降り、リセットできます。
呼吸は生きていくために必要だからしている、という認識の方が多いかもしれません。しかし、様々な呼吸法によりエネルギーを循環させることは、自分のパフォーマンスを上げるために非常に大切なことです。
ヨガの呼吸を日常でも行うことで、職場での大事なプレゼンや資格取得の試験、会議や面接などのクオリティも上がるかもしれません。
最初は難しく感じたり、お腹を膨らますのがしんどく感じたりすることもあるかもしれません。ですが、何よりもまずは続けることが大切!ぜひ正しい呼吸法を身につけてみてくださいね。