筋トレやフィットネスを頑張っても、結果がついてこないことってありませんか。思うように体重が減らない、体の変化が停滞するなどの状況では、運動を続けるモチベーションを保つ事は難しいです。その事に落ち込んで、投げ出してしまうこともあるかもしれません。 実際に、筋トレやフィットネスで、思うような結果が得られないという事は誰でも経験をすることです。実は、ここには一定の法則が存在しています。この法則はスポーツにしても、学習にしても同じです。努力に対しての結果がついてこない状況における心理的なメカニズムを理解することで、焦らずに穏やかな気持ちで継続していくことができるものです。この記事では、心理学的な立場からトレーニングにおけるモチベーションの低下を食い止める方法をご紹介します。
目次
努力を続けていても、ある一定のところまでくると停滞してしまう現象には、「スランプ」と呼ばれているものがあります。
スランプは、学習や芸術的な才能、はたまたスポーツの場面でも起こります。
スランプは英語で「気力が衰える、効力が低下する」という意味です。スランプにメンタル面が大きく影響していることは言うまでもありません。
多くの人が、今まで通りに結果が出ると思っていたのにそうでもなくなった時、その事実を簡単には受け止められず、どうして結果が出ないのかと理由を色々と考え出してしまいます。
すると、「努力が足りないのではないか」「自分だけができていないのではないか」「自分にはできないのかもしれない」などとネガティブな方向に気持ちが向いてしまうのです。
そして、これらの思い込みが更に足を引っ張っていくことにもなりかねません。
しかし冷静になって考えれば、以前と同じようにいかないのは当然のこと。
努力を重ねて高いレベルまできているので、乗り越えなければいけない壁は高くなっています。
今までと同じような運動だけで結果を出すことは、難しくなっていて当然です。
それでも人は、自分が望んでいる結果が出ないと「スランプだ、、、」「もう限界なのかも、、、」と思ってしまいがちです。あるいは、無意識に「この壁は高すぎる。自分には乗り越えられない、、、」と思い込んで、思考停止してしまっていることもあるかもしれません。
このような思考自体がスランプを作り出していると考えることができるのです。
人間の思考を説明するのに心理学では「限定合理性」という言葉があります。
「限定合理性」とは、人は自分の限られた認知や思考の範囲内で物事の判断や、意思を決定する特性を持つという意味です。
「限定合理性」を噛み砕いて説明します。例えば、透明のフタをしたビーカーにノミを入れておきます。
するとノミはジャンプをしてビーカーのフタに何度もぶつかってしまいます。しかし、しばらく放置しておくとノミはビーカーのフタ高さを覚え、フタにぶつからないようにジャンプするようになるのです。その後、ビーカーのフタを外してもノミのジャンプの高さは変わりません。
これはノミに「限定合理性」が働いたと言えるでしょう。
ノミは、これ以上高くジャンプするとフタにぶつかるという認知・思考を持ったのです。
そして、その範囲内で判断や意思決定をするようになったノミは、フタがなくなってからもそれ以上の高さ以上のジャンプをしなくなってしまったと考えられます。
スランプの場合も同じように考えることができます。
つまり、一旦「スランプだ、、、」「限界かも、、」「乗り越えられない、、、」という考えにたどり着いてしまうと、その見方そのものが自分自身に限界を生んで、結果として停滞が生じていると言えるわけです。
スランプに陥ったからといって、自分にプレッシャーをかけてしまっては逆効果です。
プレッシャーでネガティブな感情が膨れてしまうとドツボにはまってしまいます。
心理学で「気分状態依存効果」という現象があります。これは今ある気分状態によって、同じような気分状態の記憶が想起される現象を表します。
スランプの時の気分状態は、焦りと不安が渦巻いている心理状態です。
そのため、「うまくいかない」という気分や、実際にうまくいかなかった時の記憶が想起されがちになります。つまり、失敗するイメージしか浮かんでこないことが多いのです。
その結果、ネガティブな思考に傾いてしまいがちで、モチベーションが降下の一途をたどってしまいかねません。
仲間の経験を聞くことや、相談することもヒントになる事はあるかもしれませんが、スランプの解決を急ぐために聞いたとしても、そこに焦りが強くあるので不安が消えるわけではなかったりしますよね。
スランプにとらわれてしまっている時には焦って解決しようとするよりも、むしろ自分を客観的に見られるように、スランプの対象と距離をおくことの方が効果的なのです。少しフィットネスをお休みしてみて、全く関係のない方法で気分転換を図ることをお勧めします。
また、気分状態依存効果に陥らないためには、「スランプ」をチャンスなのだと思ってみることも有効です。
今までの努力でレベルの高いところに到達できた自分を褒めて、ポジティブな気持ちで受け止めてあげましょう。
そして、更に進化していく自分をイメージできるとモチベーションを取り戻すことができるかもしれません。
自分の限界を作っているのは自分に他ならないのです。
その限界を取っ払った先にある目標を、達成した自分の姿を思い描いてみることは、スランプを打開するのに最適な薬です。
スランプと似たような現象に、心理学で「プラトー現象」と呼ばれるものがあります。
プラトー現象とは、学習場面において一時的に停滞が起こることを言います。
学習では一定のレベルに到達した時に、しばらくの期間レベルアップが見られずに平行線を辿る時期があります。
RPGゲームに例えるなら、次のレベルに到達するまでしばらく敵キャラと戦い続けている時期です。
ゲームが進めば進むだけ、次のレベルに到達するまでたくさんの敵と戦わなければいけませんよね。そして、あるステージまできたら突然「レベルアップ!」します。
これは、フィットネスでも筋トレでも同じ事が言えます。
ただ、その事実を知らないでいると、その平行線を辿っている間に「こんなに努力しても全然伸びていかない、、、」「このまま努力を続けても、意味がないのではないか。ここが限界なのではないか。」と思いがちです。
一旦そのように思い悩むと、負のループに入っていってしまうものです。ここでもまた不安が膨れ上がり、モチベーションを保ちにくくなってしまうのです。
そのようにならないためにも、プラトー現象について知っておくことは大切です。
成長曲線は、まっすぐな右上がりでは決してないのです。平行線を辿りながら、階段のようにレベルアップしていくのです。
今、平行線の上にいても、そのことを限界と思う必要はないし、伸びないと心配をする必要もありません。
このように、努力を必要とするあらゆる過程では、途中で思うような結果が出ずに停滞してしまうという法則がありました。
伸び悩んでいる時期に不安になる必要も、自信を失う必要もありません。
そういった法則がある事を念頭において、コツコツと継続すれば、次のステージはいずれくるものだと、気楽な気持ちで取り組んでいきましょう。
結果は必ずついてくるので、楽しみながら続けていく事が何より大事です。