今ではヨガ棒を使われている方は少しずつ増えていますが、使えるインストラクターがまだまだ少なく、使い方や誰がどうやって作ったか?などをご存知の方は少ないかと思います。
そこで今回は、10年前にヨガ棒を開発されたBMYヨガスタジオの峯岸道子さんに、ヨガ棒の開発のきっかけや特徴、効果について、詳しく伺っていきたいと思います。
ヨガ棒開発者峯岸道子
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日本のフィットネス創始期では草分け的存在として、その後20年のyogaの現場では、多々メソッドの開発と展開を推し進める。ヨガ棒の考案、ハンディキャップヨガの創始、肩甲骨ヨガなどは特に国内外でも多くの指導者を生み出し高い評価を得ている。 |
―以下、峯岸さん―
開発当時、どのような商品にするのか悩んだのですが、「脳から筋肉へ電気信号を伝達する”切れてしまった電線”をつなぐ」というリハビリの観点が開発のヒントになりました。
動かなくなった腕も、一本の棒を使って勝手に動かすことで、筋肉からの電気信号を脳に戻すことが出来ないかと考えたんです。
片麻痺という身体の脳血管障害による麻痺で腕が動かしにくくなっている方でも、一本の棒があれば自分一人だけでリハビリが出来ます。
そこから派生して「人間はなぜ肩が凝るのか」について考えたときに、二本足で立つようになってから腕が重荷になっていることが原因なのではないかということに気が付きました。
試しに、腕をぶらつかせた状態で肩の筋肉を触ってみてください。筋肉がこりこりしていていませんか?
―以下、峯岸さん―
また、日本人は骨格的に肩が前に入りやすいので、西洋人などに比べて肩こりがしやすくなっています。
なので、ヨガ棒を担ぐことによって肩を自然に広げてしまえば、日本人のネガティブな体型を修正できると同時に、腕の重さが肩にかからないので肩もどんどん楽になっていきます。
そこに気が付いたことが、ヨガ棒の商品開発の核になっていると思います。
ただ、ヨガ棒を表に出して話を進めようとした時、肩の僧帽筋が固くなっている人や猫背、巻肩で姿勢がニュートラルじゃない人にとって、ヨガ棒を担ぐという行為は余計に肩が緊張し、逆に痛みを感じてしまうという、私たちでは予想もしなかったマイナスの要素が見えてきました。
そこで、担ぐということに囚われずいろんな動きをやってみよう!と展開していったことで、ヨガ棒の利用目的が広がっていきました。
―以下、峯岸さん―
そういった猫背、ストレートネック、反り腰などのネガティブな要素を直していこう!というのがヨガ棒の意義です。
ヨガ棒であれば、自分が痛くないように調整しながら使うことが出来るので、幅広い人に有効だと思います。
実は、私がヨガ棒を開発した10年前は、欧米の方に「肩がこるか?」と聞いてもピンと来る人がいませんでした。根本的にみんな姿勢が良かったんですね。
しかし、この10年の間に子どもから大人まで、スマホを前屈みになって見るようになったせいで、ストレートネックや肩凝りになる人が増える問題が欧米でも出てきました。
日本人の専売特許のような姿勢の問題が、スマホやパソコンのせいで広がってしまった訳です。
―以下、峯岸さん―
だからヨガを教え始めた当初も、機能解剖学的にフィジカルから身体を見ていました。
今は、ヨガも機能解剖学的な観点も取り入れられていますが、20年前の当初は異質な存在だったかもしれません。
ヨガ棒は「ヨガ」って言葉がついてしまっているので専門的に思われがちですが、歯磨きとかと同じように「オフィスで休憩の時間にちょっとヨガ棒」みたいな感じで習慣的に使ってもらったりして、姿勢の問題を日常の中で解消してもらうのが理想だと思っています。
「首・肩の不調にはヨガ棒1本」という標語で是非流行ってほしいです(笑)
―以下、峯岸さん―
今ではスポーツジムで取り入れられたりはしていますが、日本でヨガ棒のレッスンをしている場所は10年たった今も大変稀少です。ただ、ヨガ棒を持っている人はかなり増えたような気がします。
BMYの特徴ですが、インドなどの古典的なヨガのスタンダードを正しく教えるというよりも、参加した方それぞれを見て、お客さんに合わせた有益な体の動かし方を教えていることが大きな強みです。
参加者の方が抱える問題や姿勢は本当に十人十色なので、従来のヨガを押し付けるのではなく、お客さんを主役としてヨガの方を適合させることが出来るのが自慢です。
例えば、膝に問題を抱えた50代の方が参加していたとしたら、その時はあぐらをかくなどのヨガの基本となる姿勢もやめて、参加者の方に合わせたプランを臆さずやっていきます。
―以下、峯岸さん―
そしてそれが分かってから、レッスンに新しいアイデアを入れていくようにしています。
そうすることで、どういったケアをすればいいのかなどが分かるので、参加者の方にとってより有益な時間になると思います。
従来のヨガのように同じ姿勢を強いるということは身体の不調などに繋がってしまいます。なのでスタジオでは、自分たちが教えたいことよりもお客さんが知って有意義なことを教えています。
―以下、峯岸さん―
そして女性だと、学校の先生や弁護士さん、お医者さんなどの職業の方がよく好まれます。なぜかというと、それらの方は仕事の中で責任が大きい人だからです。
こういった人は仕事をする中で、弱点を見せないように無意識に力が入って、体が固まってしまうんです。
ヨガ棒のレッスンではよく「委ねなさい」と言っていますが、一本の固い棒に自分をゆだね、体を預けられることで緊張が解け、気持ちいいと思ってくれるのだと思います。
―以下、峯岸さん―
逆にアスリートの場合、肩甲骨がどれだけ動くかが変わると、込められる力がものすごく変わってきます。
野球やサッカー、水泳などに限らず、ヨガ棒で肩甲骨はがしを行うことで、競技のパフォーマンスを上げることもできます。
ヨガ棒は五十肩のセラピーからからアスリートの肩甲骨はがしまで、ものすごく使い勝手が広いです。
そんなヨガ棒を、必要な人たちに必要なやり方で、何かしらの手段をつかって届けていきたいなと考えております。
現在、ヨガ棒は(michiko style yoga協会)を通じて、基本的な操作法の易しい講座を展開しています。オンライン&オフラインでご都合に合わせてご参加いただけますので、ぜひ皆様の日常にご活用いただけたら幸いです。
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