社会人になると、飲み会はある種のコミュニケーションツールの1つです。どんなに自分のペースでトレーニングやダイエットのために食事制限をしたいと考えている人でも、全てを避けては通れないのではないでしょうか。「大事なお付き合いの1つだし、なかなかコントロールが難しい・・・」と誰もが感じる悩みだと思います。 全てのお誘いを断るなど、自分の意志を貫き通すことで人間関係をなくしてしまっては・・・何を優先するべきなのか、そこにジレンマがありそうですね。そこで一度立ち返って、自分にとって食事制限とはどういった意味合いを持つものなのか、人間関係の付き合いとの兼ね合いも含めて見つめ直してみると、いいヒントが見つかると思います!
トレーニングやダイエットのために、飲み会は全て「断る」と考える人がいたとします。
逆に、人付き合いは社会人として必須なものだから、飲み会は「ほとんど断らない」と考える人もいるかもしれません。
どちらの人も、その人自身の考え方からいくと、間違った判断をしているとはいえませんよね。
自分自身の考えや信念がはっきりしているならば、その信念に沿った行動をとる。彼らはそれを実践しているにすぎません。
「トレーニングやダイエットをしたいけど、人付き合いがあるから食事制限ができない」と感じている場合に、根本的に見直さなければならないのは「そもそも自分自身にとって、トレーニングやダイエットはなんのためにやっているのか」ということになります。
根本的なモチベーションをしっかりと考えてみた事はありますか?
ダイエットやトレーニングなどの自分を磨く行動をする人の深層心理には「自己評価維持」と「社会的比較理論」の2つが考えられます。
あなたはどちらの深層心理に近いでしょうか。
「自己評価維持」は、「自分は美しくある。美しくありたい」という自己評価を維持することをモチベーションにダイエットやトレーニングに励む深層心理です。
わかりやすく言うならば、誰とも会わずに家で過ごしていても、お気に入りの服を着て、バッチリお化粧をして、自己満に浸りたいというモチベーション。
一方で「社会的比較理論」は、自分の立ち位置を社会との比較の中で確認するために、ダイエットやトレーニングに励む深層心理です。
わかりやすく言うならば、家の中ではジャージでも、飲み会などで人と会う時は、お気に入りの服を着てバッチリお化粧をし、周りと比較した際に自分が美しくある事に対して抱くモチベーションです。
あなたがどちらの深層心理からトレーニングやダイエットに励んでいるかを見つめ直すことで、根本的なモチベーションが何かが見えてくるかもしれません。
それではそれぞれを詳しくみていきましょう。
ダイエットやトレーニングなどを行う人の深層心理の一つに、「自己評価維持」の機能が働いていると考えられます。
「自己評価維持」とは、人は自分に対する評価を維持しようと動機づけられる特性があり、その動機付けにより行動を起こすという考え方です。
これは、高い自己評価を持っている人の場合に、起こりやすい動機づけということができます。
例えば、かけっこが得意な人が「僕は走るのが得意だ」という自己評価を持ったとします。
その人が、フィットネスとしてランニングを継続していく行動も「自己評価維持」の機能が働いていると言えるでしょう。
このように、ダイエットやトレーニングをしている人は、「自分は美しくある。そして美しくあり続けたい。」という自己評価を持っていると推測されます。
だからこそ、美しい筋肉を作る、美しいボディラインを作るなど、自分自身に対する高い自己評価を維持するために惜しみない努力を続けるわけです。
この「自己評価維持」という心理は、基本的には自己完結しているモチベーションと考えることができます。
もう1つ考えられる深層心理として、「社会的比較理論」で論じられるものがあります。
これは「人は他者との比較において自分を評価している」という考え方です。
この深層心理には、何らかのコンプレックスを抱えており、それを克服したいという気持ちがモチベーションにつながっている場合があります。
あるいは、関係性の中で自分の優位性を保ちたいために、他者との比較の中で行動を起こすというモチベーションである場合もあります。
人間は基本的に集団の中で生きる社会的な生き物です。
他人との比較、すなわち社会とのつながりの中で自分を評価している側面が強い人であれば、人間関係があって初めてダイエットやトレーニングは意味をなしてくると言えます。
他者との比較の中で、素敵な自分でありたいわけなので、飲み会に呼ばれないような人間になってしまっては、美しくある意味がなくなります。
その結果として、むやみに「飲み会を断る」事はできないという心理が働くでしょう。
「自己評価維持」と「社会的比較」は対極にあるものではなく、少なからず互いに影響しあっている人がほとんどです。
これらの心理的観点から、今一度自分はなんのためにダイエットやトレーニングをやっているのかを考えて直してみると、少し整理がついてくるのではないかと思います。
ここまでは「自己評価維持」と「社会的比較」を用いてダイエットやトレーニングの深層心理を見ていきました。ここからは、実際に飲み会に誘われた際の具体的な対応策をご紹介します。
飲み会の回数を減らすために、誘われる回数自体をコントロールしていくという考え方をしてみましょう。
そのためには、あなたがトレーニングやダイエットのために食事制限をしたいと考えていることを、周囲の人々に話して理解を仰いでしまうのが一番早いでしょう。
周りの理解を促すことで回数のコントロールができる状況を作ったら、あとは飲み会で摂取するカロリーを見越したトレーニングプランやダイエットプランを作って、取り組んでいくのがいいでしょう。
トレーニングプランやダイエットプランの精度をあげていくための「セルフモニタリング」について触れておきます。
心理学では「セルフモニタリング」という言葉があります。
自分自身の行動や生理的変化、心理的変化を自分自身でモニターし、自分の状態を認識し、コントロールしていくことを言います。
実際に飲み会や食事会に参加した場合、自分のペースで食事制限ができる状態よりは、多くのカロリーを摂取してしまうことになりかねないとは思います。
そのような場面でも「セルフモニタリング」の意識を持って、どんな内容の食べ物や飲み物を摂取するのか自分でコントロールできるといいでしょう。
アルコールを摂取する時に、同じ一杯でも生ビールよりもウーロンハイの方がカロリーは低いとされます。
食事にしても、糖質、脂質が多いものよりは、野菜に手を出す方が摂取カロリーは低くなるでしょう。
このように、飲み会の最中でもセルフモニタリングの精度をあげることができれば、トレーニングやダイエットの妨げをできる限り減らしていくことができるでしょう。またセルフモニタリングをする事で、飲み会に参加する事に対する罪悪感を少しでも減らすことにも役立ちます。
しかし、せっかくの飲み会の時くらいは気にせず楽しみたい!というマインドの方もいらっしゃると思います。
そういう方は、初めから「飲み会の回数や摂取するであろうカロリーを見越したトレーニングプラン」を作り込みましょう。
トレーニングプランは具体的、かつ視覚的に見える形に書き出し、内容をいつでも目に入るところなどに貼っておき常に自分自身にリマインドする事で、さらに「セルフモニタリング」の精度を高めることができます。
飲み会などのお誘いと、トレーニングやダイエットの成果の両立は、なかなか難しいものはあるかもしれません。
ですが、自分自身にとってのトレーニングやダイエットの意味と目的を今一度はっきりさせ、しっかりとしたプランのもと進めていくことで、自分にあったペースを見つけていく事ができるでしょう。