股関節の柔軟性は腰痛や頻尿、下っ腹が出ることや姿勢不良にいたるまで、非常に多くの体のトラブルに関連しています。そのため、ストレッチを行い柔軟性を高めておくべき箇所ですが、股関節が硬い方が急に動きの大きなストレッチを行うのは怪我のリスクがあります。
そこでおすすめなのが寝ながら行うストレッチ。股関節に痛みや違和感を感じる人や、日頃ストレッチを行う習慣のない方は寝ながら取り組める股関節ストレッチから始めると良いでしょう。この記事では、寝ながら取り組める股関節のストレッチをご紹介していきます。
ストレッチトレーナー福原 壮顕
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ストレッチ・トレーニング専門店で店長としてダイエット顧客を数多く担当した後、フリーランスに転向。現役モデルやダイエットインストラクターとして、美容専門学校や企業顧客向けセミナーの講師など幅広く活躍中。資格:日本ダイエット健康協会認定インストラクター/JSA-CSTP (日本ストレッチング協会認定ストレッチングトレーナーパートナー) |
目次
股関節は太ももの付け根と骨盤の接合部分の関節です。股関節が硬くなると、足の付け根の痛みや、歩きにくさなど生活に支障をきたします。
さらには、腰痛(ヘルニア・ギックリ腰)や頻尿なども股関節の硬さが原因の1つ。股関節は上半身と下半身の境にある重要な関節であるため、硬くなることで体に様々な不具合を生じるのです。
股関節が硬くなるのは、股関節周辺の筋肉が硬くなることが原因。股関節の柔軟性を高めるためには、腰、お尻、太ももの筋肉を定期的にほぐす必要があります。
これらの筋肉が柔らかくなることで、腰痛や頻尿の予防・改善、歩行や運動パフォーマンスの向上などが期待できます。
股関節を柔らかくするためには、先に述べたように股関節の周辺筋肉をストレッチすることが大切。具体的には、腸腰筋(腰のインナーの筋肉)、大臀筋(お尻の筋肉)、大腿四頭筋(太もも前側の筋肉)、ハムストリング(太もも裏側の筋肉)、内転筋(太もも内側の筋肉)と多くの筋肉をほぐさなければいけません。
しかし、これらの筋肉を立って行うストレッチでほぐそうとすると、筋肉の数が多いために動きが多くエクササイズ要素の強いストレッチメニューに取り組むことになります。そこで、股関節のストレッチは、まずは寝ながら行えるものから始めましょう。特に、次の事項に当てはまる方は、寝ながらのストレッチから始めるようにしてください。
寝ながら行うストレッチはエクササイズ要素が小さく、体へ負担をかけずに股関節を柔らかくして行くことができます。また、寝る前に気軽に行えるため、これからストレッチを始めようという方にはとても相性が良いストレッチなのです。
一口にストレッチと言っても、エクササイズ要素の強いものから、リラックス要素の強いものまで様々です。寝ながら行うストレッチのメリットはどのような点なのでしょうか。
ストレッチは継続することで体質改善の効果をもたらします。寝ながら行うストレッチは、就寝前に手軽に行うことができるため習慣化しやすく、横たわりながら行うため初心者でも取り組みやすいです。「初心者でも取り組みやすいため続けやすい」という点は、寝ながら行うストレッチの大きなメリットです。
寝ながらストレッチはフォームの安定にも有効です。正しいフォームでストレッチを行うことができなければ、伸ばしたい筋肉以外に負荷がかかるため、効果が下がってしまいます。しかし、寝ながら行うストレッチは、横になって行うためフォームを安定させやすくストレッチの効果を最大限得ることが可能です。
股関節周りには、リンパが多く通っています。そのため、股関節周りをほぐすことで疲れが取れやすくなる効果があります。さらには、横になることで様々な筋肉の力が抜け、脱力した状態でストレッチに取り組むことができます。
寝ながら行える股関節のストレッチを仰向けとうつ伏せ、それぞれでご紹介します。股関節が硬い方でも簡単に行えるものから、股関節の柔軟性が求められるものまであります。まずは一度それぞれのメニューを試してみて、ご自身の体に無理のないものを生活に取り入れるようにしてください。
お尻の大臀筋をほぐすストレッチです。大臀筋が硬くなると骨盤が後に傾き、下っ腹が出る、猫背になるなどの不調を引き起こします。
このストレッチの注意点は、腰が反らないことです。腰が反ることで、大臀筋以外の筋肉の力が入り、大臀筋の伸びが弱まってしまうため注意して行いましょう。
こちらもお尻の筋肉の大臀筋をほぐすストレッチです。先ほどのストレッチよりもストレッチの効果が高い反面、ポーズを取るためにより高い股関節の柔軟性が求められます。1つ前のストレッチに慣れたら、このストレッチにステップアップをしてみましょう。
ストレッチを行う際は、膝にかけた脚の脛骨(膝から足首までの間)を体と平行にするようにしましょう。また、体が硬く手で脚を抱えるのが難しいという方は、タオルを使ってみましょう。
足の土踏まずにタオルを引っ掛けて手で引っ張っることで、ポーズが取りやすくなります。
寝る前におすすめの手軽にできる股関節のストレッチです。「横たわった合せきのポーズ」という名前が付いています。このストレッチは股関節周りのリンパの流れをよくしてくれます。股関節周りは、リンパが多く通っており血液の毒素がたまりやすい部分です。ここを開きほぐすことで、疲れが取れやすくなるのです。
膝を左右に開いた際に、腰が浮きやすくなるため浮かないように注意をしましょう。また、膝は床にくっつかなくても大丈夫です。目を閉じた状態で呼吸に意識を向けて行うことで、リラックスした状態で睡眠に入ることができます。
股関節周りの筋肉を全体的にアプローチするストレッチです。「伸ばす」「ほぐす」の他に、自分で「動かす」という刺激を入れることで、股関節周りの筋肉が可動域を取り戻すことにつながります。
この動作は股関節の筋肉をほぼ全部使うので、股関節が固まらないようにするための方法としては非常におすすめです。
ここからはうつ伏せで行う股関節のストレッチです。こちらは、太ももの前についている大腿四頭筋をほぐすストレッチです。大腿四頭筋は、大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋の4つの筋肉から成る骨盤近くの筋肉。ほぐすことで股関節のトラブル改善につながります。
左右の脚それぞれで、10秒〜15秒間、3回ほど行います。大腿四頭筋は大きい筋肉なので、お風呂上がりなどの筋肉が温まりほぐれた状態で行うことがおすすめです。
うつ伏せで行える股関節ストレッチの2つ目です。このストレッチは、ポーズをとるためには股関節周りの柔軟性が求められるため上級者向けのストレッチです。股関節ストレッチに慣れてきてからチャレンジしましょう。
股関節に痛みを感じたら、無理をせずできる範囲で伸ばしてください。
この記事では、寝ながら行える股関節のストレッチを6つご紹介しました。
今回ご紹介したストレッチを、お風呂上がりや寝る前などご自身が習慣として取り組みやすい時間帯から始めてみてください。
また、ストレッチをして体が痛む際は無理にストレッチを行わず怪我のないように気をつけていただければと思います。
今回ご紹介したストレッチがみなさまのお役に立てば幸いです。