猫背、肩こり、腰痛、便秘だけでなく、あらゆる運動パフォーマンスや良い姿勢をするための土台となるコアマッスル。
これらについて、専門家が簡単にわかりやすく解説していきます。
目次
コア(core)とは、「衛生・惑星の中心部分」という意味で、物体の核となる部分です。
人体のトレーニングの視点で見れば、身体の中心部分であり、核となる部分です。
しかし、人間の身体の中心部分となる「コア」は明確に定義されているわけではありません。
しかし、多くの専門家が使っている身体のコアの部分は、ある程度統一的な位置が定まっています。
それをインナーユニットとも呼ばれる腹腔(※1)を構成する部分です。
※1:体幹は、肺や心臓が肋骨で守られた胸腔(きょうくう)と腸やその他の内容を含むエリアの腹腔とに分けられています。
具体的には、横隔膜(おうかくまく)と呼ばれる天井、骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)と呼ばれる底、腹横筋(ふくおうきん)と呼ばれる前から横の壁、多裂筋(たれつきん)と呼ばれる後ろの壁によって構成された部分です。
コア(≒腹腔を覆う筋肉)を簡単に表現すると、「体の奥にある、あらゆる運動の土台となる筋肉」のことです。
日常生活では主に体の表面側にある長くて大きい筋肉が使われるため、コアは意識して鍛えないと簡単に衰えてしまいます。
コアが機能しない時に、良い姿勢を保つことが難しくなります。
良い姿勢を保つためには、右左の筋肉、前後の筋肉など、姿勢をまっすぐに保つための筋肉たちが、バランスよく機能している必要があります。
しかし、コアが働いていないとまっすぐな姿勢を保つことがきつくなり、傾いたような姿勢などで体を楽な状態に無意識が選択します。
あなたが誰かを駅の改札で待っているとします。
そんな時、良い姿勢で立って待っていますか?どちらかの脚を開いて、ちょっと力を抜いて立っていませんか?
よほど意識していない限り、体は怠けることを無意識に選択しています。
そのように日常で意識をしていないとどんどんコアの機能は低下していき
ます。
コアが機能しにくくなり、体が傾く機会が多いということは、左右の関節の位置もずれてくるので、動く時の癖がより強くなります。
それが年齢を重ねることによってさらに偏りがでてきてしまい、どちらかの関節がいたくなったりします。
つまり、左肩だけ五十肩になるとか、右の股関節だけ痛いなどの原因も元はコアの機能低下である可能性もあります。
また、腹腔(ふくくう)と呼ばれる部分の筋肉(腹横筋:ふくおうきん、横隔膜:おうかくまく、骨盤底筋群:こつばんていきんぐん、多裂筋:たれつきん)の機能が低下すると様々な症状が起こりえます。
妊娠や出産、腰痛、長期の咳、肩や股関節の痛みによる運動ができない状態など、様々な要因でこのコアと呼ばれる部分(腹腔を構成する筋肉群)の機能が低下する可能性があります。
骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)の機能低下は、失禁、頻尿、便秘、性機能などにも影響を及ぼしますので、エクササイズなどを積極的に行い、コアを機能させ続けることは体にとっては本当に大切なことです。
ここでは、コアが機能しなくなる原因について解説していきます。
コアの機能が低下する原因の大きな要素として、単なる運動不足や老化が挙げられます。
私たちの人間の筋肉は、細くて小さい筋肉ほど、運動に参加しにくい働きがあり、ちょっとした運動には、大きな筋肉、または長い筋肉が積極的に活動に参加しやすい仕組みになっています。
そのため、普通に生活をしていて、運動をしなくなったり、年齢を重ねることで、体を動かす機会が少なくなると大きな長い筋肉だけ筋力が維持されやすくなる傾向になります。
逆に、体の奥にあるインナーマッスル(体や関節の奥のほうにある筋肉)は、細くて短い筋肉が多く、機能が低下しやすくなっています。
また、最近では積極的な筋力トレーニングをされる方が増えていますが、目的が見た目であることも少なくありません。
見た目をよくするためのトレーニングでは、表面的な肉体の大きさ(見た目)だけを追求するため、身体の深い部分の筋肉を鍛える機会が相対的に弱い状態のままであることが、結構見受けられます。
怪我をしないためにも、効率的かつ安全な運動を続けるためにも、身体の奥にある筋肉と身体の表面にある筋肉をバランスよくエクササイズする必要があります。
ここでは、コアを積極的にエクササイズする前にすることを解説していきます。
コアは奥のほうにある筋肉でもありますが、逆に表面にある筋肉も存在しています。
この両者はシーソーのような関係性で、表面的な筋肉が積極的に活動している時には、コアの筋肉は働きにくい状態となっています。
そのため、コアをエクササイズする前にまずは、一度全身の力を抜いて、徹底的にリラックスすることが大切になります。
腹式呼吸(※2)などを行い、リラックスしてから行いましょう。
1.椅子に座り、坐骨結節(座った時に感じる左右にあるお尻の骨の突出した部分)を意識して座り、下腹部に手を当てます。
2.ゆっくりとしっかりと息を吐き、お腹の力を脱力させながら、息を吸い込みます。
注意点:吸う時よりも吐く息を意識して行ってください。
お腹を凹ませて息を吐くのではなく、息を吐くことによってお腹が凹むのを感じるように意識する。
苦しくなるところまでは息を吐かないようにする。息を吐く時に身体が丸まらないようにする。
肘とつま先を肩幅分くらいに開いて、腕立て伏せのような姿勢から、両肘をつき、30秒間キープします。
簡単に感じる人は、姿勢を維持する時間を延長したり、片手や片脚をあげて負荷をあげてください。
姿勢は、必ず頭、体幹、お尻、足が一直線になるように保ってください。
負荷を上げる時も一直線はキープしてください。
左の側を下にして横向きになり、肩の真下の位置に左肘がくるようにして上体を支えます。
骨盤を持ち上げ、左腕と左足だけで体を支え、右手は腰にあてます。
右脚をゆっくりと持ち上げます。
膝を伸ばしたまま、右脚を上下させます。
これを左右行います。
姿勢は、必ず頭、体幹、お尻、足が横から見て、一直線になるように保ってください。
ただし、体側を浮かせる体制が難しい人は下記のように、体側を床につけて行うところから始めましょう。
仰向けに寝て、両膝を立てます。そこでお尻を持ち上げるというシンプルな運動になります。
だからこそ、正しいフォームが大切になる運動です。
膝を90度程度曲げる。
手は軽く開いて手のひらを下に付ける。
お尻と膝が一直線になるまでお尻をあげます。
運動が簡単に感じたら、お尻と膝をまっすぐに保ったまま、体幹と骨盤を動かさないようにしながら、片側の膝を5秒間かけてまっすぐ伸ばして、5秒間かけて下ろしていくなどを実施してみてください。
全ての運動の土台となるコア。この部分をトレーニングしておくと、動作中に体験が動揺することがなくなり、効率的に手足を使えるようになるため、怪我の予防や運動効率の向上につながります。
コアの重要性を改めて、理解し、積極的にトレーニングすることによって、いつまでも元気な体を保てると思います。
ぜひ!頑張ってみてくださいね!