みなさんは筋トレや運動を行っている最中や、運動後に頭痛を感じたことはありませんか?
また、一旦はすぐに収まるものの、その後運動をしていて頭痛が再発した経験があるなんて方もいるかもしれません。
今回は頭痛を引き起こす原因や対策、予防法について解説していきます。
目次
頭痛の種類を細分化して解説していきます。
対策や予防方法についても後ほど触れていますので、そちらと合わせて覚えておくようにしましょう。
労作性頭痛とは、拍動性頭痛(自分の脈に一致するようにずきんずきんと波打つような痛み)で、何らかの運動を行っているときに起こる頭痛(運動時以外は現れない)のことを言います。(※1)
労作性頭痛が起こる要因としては、筋付着部の損傷や、血管の収縮による反動で血管が拡張することや、酸素欠乏(酸欠)によってもともとある偏頭痛などが運動によって誘発されるなど、さまざまな理由が考えられます。
詳しいことはまだわかっていないようですが、脳腫瘍や高血圧、心臓病など、必ずしも良性とは限らず、重度の症状が隠れている場合があるため注意は怠らないようにしましよう。(※2)
緊張型頭痛とは、慢性頭痛を疾患する人が、運動後(または最中)に血液が十分に供給されていない状態で、筋肉が長時間収縮を続けることで神経が刺激され痛みが生じる頭痛です。
例外はあるものの、特に後頸部(こうけいぶ/首の後ろ付近)筋群の過剰な筋収縮によって、重くて鈍い痛みが伴うことが症状の特徴です。(※3)
また緊張型頭痛は、運動時だけにかかわらず、精神的なストレスや長時間同じ体勢を余儀なくされるデスクワークなどによって、血流が悪くなり頭や首の筋肉が緊張することによって引き起こされるため年齢や性別を問わず誰しもが発症する可能性がある頭痛です。
ここでは運動後に起こる頭痛時に、その場ですぐにできる対策について紹介します。
ただし今回列挙する項目はあくまでも応急処置にあたるため、症状がひどくなる場合については必ず医療機関に通うようにしましょう。
きつい筋トレをしている最中などは、血圧が上昇するせいで頭痛が引き起こされる場合があります。
なかには筋トレをしていると、ウエイトを上げることに必死で、呼吸を堪えてやっている人も少なくはありません。
そうなると脳に行き渡るはずの酸素が減ってしまい頭痛になりかねないので、深呼吸することを心がけましょう。
深呼吸することで、脳だけでなく全身に酸素を行き渡らせることができますし、リラックス効果もあるため、余計な部位に力が入ることなく筋トレをすることができます。
労作性頭痛や緊張型頭痛の場合、原因の多くは首や頭部の筋肉が緊張状態にあるため、それによって頭痛が引き起こされることが起因します。
そのため日ごろから首や肩まわりを動かしたり、ストレッチすることで、筋肉の緊張やコリを取り除いてあげることで、頭痛になりにくくなります。
また以下では日頃から簡単にできる首のストレッチを載せておきますので参考にしてみてください。
労作性頭痛や緊張型頭痛に頻繁になってしまう人は、慢性的に首や肩部分の緊張やハリがあったり、場合によっては関節部分のズレや精神的なストレスによって筋肉に疲労物質や痛み物質が蓄積していることが考えられます。
継続的にマッサージやストレッチをやっているにもかかわらず、頭痛が治らなかったり、痛みが緩和されない場合は、専門家に診てもらうなど必ず医療機関へ行き、医師の診断をあおぐようにしましょう。
続いて紹介するのは、頭痛の予防方法です。
トレーニングする上で、必要不可欠な内容になるため、頭痛の有無を問わず覚えておくことをおすすめします。
運動前のストレッチを「準備運動」程度に位置付けている人は考え方を見直した方がいいかもしれません。
運動前の入念なストレッチは、冷えた筋肉を温めるだけでなく、筋肉への血流増加や、酸素消費量の上昇、神経機能の強化など、頭痛の予防だけでなく、トレーニング時のパフォーマンス向上にも寄与します。
そのため筋トレをしっかり行いたいという人は、入念にストレッチをして筋肉をしっかりほぐしておきましょう。
筋トレの前後や合間にこまめに水分補給をすることも頭痛を予防対策の一つと言えます。
筋トレなどの無酸素運動は、喉の渇きを比較的感じやすい有酸素運動(ウォーキング、ランニングなど)とは異なり、あまり水分補給しなくてもできてしまいがちに思うかもしれません。
しかし、実際には運動を行うことで汗をかいたり、体内から水分が失われており、それに気づかないと、脱水症状になったり、脳の血管が収縮し頭痛を引き起こしてしまうのです。(※4)
そうならないためにも、喉が渇いているかに関係なく、こまめに水分補給することを心がけましょう。
理想としては1回あたりコップ1杯(150〜250ml)程度の水を、10〜15分おきに飲むようにしましょう。
筋トレを行う際に、必要以上に負荷をかけると血圧が上昇してしまい、運動後低血圧といった症状を引き起こすため、結果的に頭痛が引き起こされやすくなってしまいます。
そのため、筋トレをするときは、負荷を軽くしたり、回数を減らすなど、体にかかる負荷をコントロールしながら筋トレをしていきましょう。
また以降で紹介する筋トレを行う際は、セット数やインターバルの間隔を変えながら取り組むことでケガや頭痛を未然に防ぐことにもつながります。
ここでは頭痛が引き起こる原因になりやすい筋トレの種目(メニュー)について紹介します。
大胸筋や肩の筋肉(三角筋)、腕の筋肉(上腕三頭筋など)を効率的に鍛えることができるベンチプレスですが、筋トレ後に頭痛が引き起こりやすい種目になります。
その理由としては、頭部を低くした状態で、腕や肩に相当のウエイトをのせて持ち上げるため、必然的に体に負荷がかかります。
特にこの種目は、常に限界まで追い込むことが重要となるメニューのため、労作性頭痛や緊張型頭痛になりやすいため注意しましょう。
オリンピック種目にもあるウェイトリフティング(重量挙げ)ですが、バーベルを両手で持ち上げてそれを頭上に持ち上げるトレーニングになります。
そのため瞬間的ではありますが、下半身や肩、上腕、首筋など、かなり広範囲の部位に負荷がかかります。
再三お伝えしていますが、首や肩付近に力が入ることで、労作性頭痛や緊張型頭痛が引き起こされやすくなるため、注意が必要なメニューになります。
ここまで運動や筋トレを頭痛の原因としてきましたが、頭痛が引き起こされる原因すべてが運動(筋トレ)でありません。
ここでは運動以外の可能性も踏まえて、しっかり区別してもらうために筋トレが原因でない頭痛についても紹介していきます。
偏頭痛とは、頭の片側が痛むことに由来していますが、多く方は両側性の頭痛を経験しています。
症状の前兆としては、キラキラ(またはギラギラ)した光などの視覚的な前兆が多くみられ、その後頭痛によって、片側の拍動性頭痛(頭の片側に脈打つような痛み)が引き起こされます。(※5)
偏頭痛は通常、中等度から高度の痛みが4〜72時間持続し、それによって吐き気や嘔吐が伴ったり、感覚過敏となる人も見受けられます。(※6)
偏頭痛の対処法としては、まず安静になる場所を探して体勢をリラックスさせてあげましょう。
緊張際頭痛とは、頭痛の中で最も頻度が高い疾患と言われ、筋肉が収縮することで起こる頭痛になります。
症状としては、頭全体または後頸部に、通常は軽度から中等度の鈍い締め付け感や圧迫感を伴う痛みが感じられ、人によっては1日中痛みが持続する場合もあるほど、個人差の見られることが特徴的です。(※7)
緊張際頭痛の対処法としては、頸部や肩の筋緊張が関与していることが多いため、肩が凝らないように同じ姿勢や無理な姿勢を続けないことや、入浴(浴槽に浸かる)、マッサージ、軽い運動や睡眠といった心身のストレスを解消させる習慣を取るよう心がけましょう。
最後に紹介するのが、筋トレ時に起こる頭痛以外にも気をつけていただきたい症状の解説になります。
ここでは症状の紹介だけでなく、対処法についても触れていますので参考にしてみてください。
運動に慣れていない人や、筋トレ初心者の人が、筋肉にしっかり刺激を与えると、脳や心臓に回される血液が筋肉に優先的に巡ってしまい、その結果「酸欠(運動後低血圧)」となって、めまいを引き起こすことにつながります。
これは筋トレだけに限らず、ランニングやスポーツなどでもみられる症状です。
この症状を回避するためには、筋トレ中にしっかり呼吸することを意識したり、セット間のインターバルをしっかり取ることを心がけて対策するようにしましょう。
筋トレ時をしているときに「吐き気がする」ときは何かの警告を知らせるサインだと思ってください。
吐き気が起こる一般的な理由としては、酸欠や脱水症状と言った基礎的なものから、消化不良や睡眠不足などの生活習慣に密接に関わるものまで多岐に渡ります。
吐き気を催した際の対処法としては、(理由にもよりますが)しっかり水分を補給することや、深呼吸を繰り返して、呼吸が整うまで休憩を取るようにしましょう。
また吐き気の予防としては、めまい同様、呼吸法を意識して筋トレすることや、こまめな水分補給、生活習慣の見直し(食事、睡眠時間)に至るまで、改善できる点はしっかり見直すように心がけることがポイントです。
今回は運動時(運動後)に引き起こされる頭痛の原因や対策方法、予防法をメインに解説してきました。
しかし、今回ここで取り上げた内容は、あくまでも応急処置や予防レベルでの内容です。
そのため自分で解決しようとしたり、この記事を読んで知った気になるのではなく、必ず病院や医療機関へ診てもらうようにしましょう。
「たかが運動後の頭痛」と軽視するのではなく、一つの症状として捉え、適切な処置をするよう心がけてください。
<参考文献>
※1 時事メディカル 労作時に起こる頭痛〔ろうさじにおこるずつう〕
https://medical.jiji.com/medical/011-0016-01
※2 沖縄県医師会 頭痛と運動の関係
http://www.okinawa.med.or.jp/html/kouho/gusui/2016/0923.html
※3 時事メディカル 緊張型頭痛〔きんちょうがたずつう〕
https://medical.jiji.com/medical/011-0013-99
※4 医療法人 清友会 笠松病院
http://www.seiyuukai.or.jp/health/nettyushou/nettyushou.html
※5 片頭痛 解説:坂井 利行 (済生会松阪総合病院 神経内科部長)
https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/migraine/
※6 一般社団法人 日本神経学会
https://www.neurology-jp.org/public/disease/zutsu_detail.html
※7 緊張性頭痛 解説:藤井 明弘 (滋賀県病院 神経内科部長)
https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/tension_headache/