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筋トレの効率性を高めるために関節のモビリティとスタビリティを意識しよう

松浦晴輝
当サイトの監修・執筆者

「筋トレを始めてみたいけど、ケガをしてしまわないかな?」

「筋トレ始めてみたけれど、体が痛くオーバーワークかも?」

 

そんなお悩みを持つ方に、知っておいていただきたい言葉が「モビリティ」と「スタビリティ」です!

 

これを把握しておくことで、トレーニングの際の怪我を予防や、効率なトレーニングが実現できます。

この記事では詳しく「モビリティ」と「スタビリティ」についてご紹介いたします!

トレーニング時に「動くべき/動かないでほしい」関節がある?

脚の骨

人間の身体には複数の「関節」があります。

関節は、それぞれに役割を持っており、その役割は大きく2つに分かれます。

それが『モビリティ=【動作性】』と『スタビリティ=【安定性】』です。

 

トレーニングにおいて、モビリティ【動作性】の役割を持つ関節は、しっかりと積極的に動かすべき箇所となり、

反対にスタビリティ【安定性】の役割を持つ関節は、安定させるべき箇所であると言われています。 

 

これを知ってからトレーニングにのぞむことで、怪我の予防や、効率よく鍛えられるようになります。

各関節の分類~モビリティとスタビリティ~

トレーニングする女性

ではここで、私たちの関節がモビリティとスタビリティどちらの役割を担っているのかお伝えしていきましょう!

ご紹介する関節は大きく分けて5つです。

 

・足首

・膝

・股関節

・腰椎(≒腰の部分にあたる背骨)

・胸椎(≒胸の部分にあたる背骨)

 

モビリティの関節がきちんと動いているか?

スタビリティの関節が安定性を保っているか?

それぞれを、ご自身の生活の中で振り返りながらチェックしてみて下さいね。

足首の関節【モビリティ】

足首の関節

例えば、「足首」はよく準備運動などでグルグルと回したりしますよね。

これはつまり「足首」が『モビリティ』の役割を持ち、しっかり綺麗に動かすことができる球関節である、ということがイメージし易い例だと思います。

膝の関節【スタビリティ】

膝の関節

膝の関節はスタビリティの関節です。

しかし振り返ってみると、普段の日常生活の中で膝ばかり使ってはいませんか?

 

歩くときや階段の上り下りなど、膝がメインの動きになっていると思います。

実は、このような動作は膝や他の部分を痛める原因となるのです。

本来「膝」は、前後の単純な曲げ伸ばしのみが望ましい、安定させたい【スタビリティ】の関節であるため、必要以上に動かすべきではないのです。

股関節【モビリティ】

股関節

股関節は人体の中で一番強いパワーと自由度を持つ関節です。

そのことから【モビリティ】の役割を持つことは当然と言えます。

ですが現代人である私たちのライフスタイルは、座りっぱなしや立ちっぱなしの状態でいることが多く、股関節はほぼ動かされず固まった状態である人がほとんどだと言われているのです。

腰椎、腰の関節【スタビリティ】

腰の関節

腰の関節は本来【スタビリティ】=安定性が求められる部位。

しかし、ねじったりそらしたり、物を取るときなどには丸めたりと、動かしてしまっている人が多いです。

胸椎の関節【モビリティ】

胸椎の関節

腰椎の上部にくっついている胸椎は、長い背骨のうち、胸の部分です。

背骨は小さな骨が連なってできおり、頚椎(≒首の位置にあたる背骨)は7個、胸椎(≒胸の位置にあたる背骨)は12個、腰椎(≒腰の位置にあたる背骨)は5個の骨が連なって居ます。

この中で、胸椎はモビリティの関節に分類されております。

 

本来であればしっかりと動くべき関節である胸椎ですが、私たちの多くはこの関節を動かせていません。

それは、パソコンの操作や家事、読書、スマホの操作など、日常生活において「猫背」の姿勢となることが非常に多く、背中が固まってしまっている為です。

 

いかがでしたでしょうか。

実は、現代人のライフスタイルでは、モビリティとスタビリティ本来の役割が逆転してしまいやすいのです。

 

本来はモビリティ=動いていてほしい足首、股関節は動く機会が少ない。

スタビリティ=安定していてほしい膝ばかりを動かしている、という方が非常に多いのです。

 

こうした状態が続くと、必然的に腰痛や膝の痛み、もしくは肩こりなどにつながりやすくなってしまいます。

トレーニングの効果を左右?モビリティファーストという概念

ストレッチをする女性

トレーニングを行う人たちの間で使われる、「モビリティファースト」という言葉があります。

直訳すると「動作性優先」となります。

 

簡単に言い換えると、トレーニングの前は、モビリティの関節からストレッチをしましょう!ということです。

 

これは、役割が逆転してしまっている私たち現代人の関節の状態を本来の役割通りに動かせるようにするためのトレーニングを行う際に重要な考え方になります。

①人間の実感は[安定<動作]

先にモビリティを確保すべきである理由の一つは、人間は「動く」のと「安定させる」のでは「動く」方が人間は実感しやすく、トレーニングもスムーズに行うことができるためです。

 

最初にしっかり動かせるようにすることによって各種痛みや不良を取り除く、という考え方です。

②人間は動作の見せかけが得意?

代償動作」という言葉があります。

大まかにご説明すると、人間が体を動かす時に、その動きをするのに本来必要な筋肉や関節ではない部分を動かして、頑張ってしまうことを指します。

 

例えば「胸を張る」という動作には胸椎(≒胸の位置にあたる背骨)のモビリティが必要になりますが、胸椎のモビリティが弱い(=動かしにくい)方がいたとします。

 

その方に、腰をそらさないように胸を張って下さい!」とお伝えしたとして、その方がいくら頑張って腰を反らさないよう固めようとしても、胸椎のモビリティが弱いと、胸を張ろうとすると絶対に腰が反れてしまいます。

 

ご本人が正しく胸を張ったつもりでいても、実際の体の動きとしては、腰を反らせて胸を張った「風」になってしまっているのです。

 

こうした方が「胸を張る」という動作を正しく行えるようになるためには、腰を安定させようとするよりも、胸椎のモビリティの確保が優先となります。

このように、先にモビリティが弱い部分を動かせるようにしてから、安定性を確保した方がより効率的に体を変化させることができるのです。

③怪我の防止

座る女性

各関節のモビリティ、スタビリティを確保せずにトレーニングを続けることは、怪我を引き起こすリスクがあります。

特に股関節や胸椎、肩甲骨、肩関節に関してしっかり取れていない場合は要注意。

 

例えば、肩甲骨のスタビリティ、肩関節のモビリティがしっかり取れていない方がベンチプレスなどをすると肩を痛めます。

ベンチプレスをすると、肩の裏や真ん中、前のあたりが痛くなるといった方が多くいらっしゃるのですが、これはただトレーニングをやりすぎでなったのではなく、フォームが悪かったケースが多いです。

 

トレーニングと言うと、最初にマシーンや重りを使う、または自重でとにかく頑張る、ということをイメージされる方が多いのですが、

先にモビリティとスタビリティの概念を理解し、それらを確保してからやるということが抜けてしまうと、効率の良いボディメイクができないばかりか怪我につながってしまいます。

 

スクワットでも同じです。

スクワットで腰や膝が痛いという方は、股関節のモビリティや胸椎のモビリティが不足している方が多いです。

 

特に腰の部分、お悩みの方も多い腰痛は、トレーニングをしなくても起きます。

これはなぜかと言いますと、胸椎と股関節という人体で一番動くべき場所が動かず、代わりに間に挟まれた腰椎が動きをカバーしようとしてやたらと動いてしまい、代償として腰痛を発症するということです。

 

本当なら動いてほしくない部位に負担をかけている為、これを繰り返すうちにぎっくり腰や酷い方だとヘルニアになったりします。

 

スクワットを正しくすることによってこれらも防げるようになります。

スクワットが正しくできる=股関節のモビリティ、胸椎のモビリティがしっかりしているということなので、酷い腰痛を防いだり膝の痛みを防止することができます。

④効率性について

トレーニングする男性

モビリティを欠いていると筋トレの効率も悪くなってしまいます。

 

例えば、背中のトレーニング。

肩関節のモビリティが低い方がいくら頑張っても、その効果が上手く広背筋や大円筋など背中の逆三角形のラインを作る筋肉に入らないのです。

僧帽筋と言われる背中の厚みやボコボコ感を作る筋肉にも同様に効果は得られません。

 

なぜなら、モビリティを欠いた肩関節はトレーニングの際にしっかり後ろにグッと移動してくれないので、手や首の上あたり(僧帽筋の上辺り)の肩や首の厚みを作るような筋肉にばかり効いてしまい、肝心の背中の部分には効いてこないということが起こるのです。

 

トレーニングの効果の効かせ方やフォームの意識も大事ですが、それ以上にこの準備運動の部分=モビリティの部分ができていないことで、いつまでたってもどんな指示を受けてもトレーニングそのものが成り立たないと言う方は非常に多いです。

 

モビリティ・スタビリティ導入エクササイズを行うだけで、全然効き方が変わってきますので、トレーニングの効率性の為にぜひ行っていただきたいと思います。

トレーニングの効率性を高めるモビリティ・スタビリティ導入エクササイズ

運動① アンクルモビリティエクササイズ

足首のモビリティを確保するためには「アンクルモビリティエクササイズ」がおすすめです。

エクササイズ用のゴム製のバンドを、重たいものに固定して行います。

 

こちらのゴムは通販サイトなどで、強度別のセットになったものが1000円前後で買うことができますよ。

1.モビリティを確保した方の足首にバンドを固定し、片膝をたてる。

トレーニングする男性

2.足裏は地面につけたまま、立てた膝に体重を預け、踵が浮かないギリギリのところまで倒す

トレーニングする男性

*少し高いステップ台の上に足を置くと効果的です。

*バンドの位置は、足首の関節のあたりに固定する。わかりにくい時は、くるぶしの下を目安にするといいですよ。

運動② ヒップヒンジ

股関節のモビリティエクササイズには、ヒップヒンジが非常に有効です。

1.足は腰幅に開く。

トレーニングする男性

2.お尻を後ろに突き出すようにして、背中が一直線になるようにキープしながら上体を倒す。

トレーニングする男性

*膝が内側に入らないようにすること。

*写真のようにももの付け根に手を当てて、はさむようにして行うとわかりやすくなります。

運動③ バンドプルアパート

トレーニングする男性

バンドプルアパートは肩関節と肩甲骨のモビリティ確保に役に立ちます。

 

肩甲骨のモビリティを確保することで、胸椎のモビリティ確保にも役立ちますので、是非取り入れてみてくださいね。

 

使用するチューブは通販サイトなどで2000円程度で買うことができ、しまうのにも場所をとらないのでおすすめです。チューブの硬さは「がんばらなくて伸ばせる程度」が目安です。

  1. チューブを肩幅くらいで握り、腕を胸の前あたりに上げる。

トレーニングする男性

  1. チューブを左右に引っ張り、肩甲骨を寄せながら、チューブを胸に当てる。

トレーニングする男性

モビリティとスタビリティを意識してトレーニングを効果的に

ダンベル

私たち現代人は仕方のないことですが、日常生活であまり動かなくてもよいという部分が増えてしまいました。

これによって全く動かなくなってしまった本来であれば動くべき部分、特に胸椎や股関節などをしっかりトレーニングで動かしてあげることにより、より健康的な体に近づけることができます。

 

今回ご紹介した動きをやるのとやらないのでは筋肉へのトレーニングの効き方や、何よりも安全性が違ってきます。

ぜひ、日頃のトレーニングに準備運動というかたちで取り入れてみてください!

 

何よりも大事なのは動かせていない部位を動かせるようにすること。

これをすることによってトレーニング中の代償動作によるエラーなども防ぐことができますよ。

この記事を書いた人
松浦晴輝
パーソナルトレーナー

MYREVOはパーソナルトレーニングジム、ヨガスタジオ、
ストレッチ、ダイエット、ランニングに関する
プロ集団が著者・監修を担当

パーソナルトレーナー

山本耕一郎

パーソナルトレーナー

斎藤裕香

パーソナルトレーナー

松浦晴輝

パーソナルトレーナー

YOKO

フィジーカー

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