「パフォーマンス向上にエナジードリンクは本当に役立つの?」
「エナジードリンクは体に悪いんじゃないかな?」
今回は、そんな疑問に管理栄養士の立場からお答えしたいと思います!
佐藤樹里(管理栄養士)
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管理栄養士。アスドリファクトリー代表。フィットネスジムでの運動・栄養指導経験後、約1年海外移住をし、現地のレストランでシェフと共に働く。現在はスポーツイベント開催、アスリートへの栄養講座、栄養個別サポートを通算1000人以上に行う。 |
目次
仕事や筋トレ時にエナジードリンクは全くおすすめできません!
確かにエナジードリンクを飲むことで私たちの体は一時的な興奮状態にはなります。
しかし、長期的に仕事や筋トレのパフォーマンスを上げるために良いかと言われると、そうとは言い切れないのです。
エナジードリンクをおすすめできない理由は大きく分けて2つです。
WHO(世界保健機構)では「成人の1日の砂糖の摂取量は25gまでが望ましい」とされています。
エナジードリンクは種類にもよるのですが、ひと缶(250ml)あたり40g以上の糖が入っていたりしますので、摂取基準を軽々と超える数字です。
また、入っているのは「単糖類」といい、一気に血糖値を上げてしまいます。
血糖値が上がる時、人間は一種の興奮状態になります。興奮状態なので「集中力がついた」「効率的に動けた」という風に思うわけです。
血糖値が急上昇すると、人間の体ではインスリンというホルモンが出ます。このホルモンは、血糖値が下げようという風に働き、バランスをとってくれます。
一気に血糖値を上昇させてしまうことによって、インスリンが出過ぎてしまい、逆に低血糖状態に陥る可能性もあるのです。
低血糖になると急に頭がぼーっとしてきたり、眠くなったりしてしまうので、長時間集中力を保ち続けたいときにエナジードリンクは逆効果ということになります。
エナジードリンクの代わりに、仕事のパフォーマンスを上げるためであれば食事に玄米ご飯とをり入れること。
筋トレの時に摂る糖質ならば、運動の1時間くらい前におにぎりを食べたりといった形で摂ることがおすすめです。
<筋トレをしているからと言って過度な食事制限は危険!炭水化物も摂ろう!>
欧米人と日本人ではカフェインの感受性に違いがあると言われています。
カフェインを大量に摂ることによって不安が誘発されることもあると言われています。(※もちろん個人差はあります。)
日本人は感受性が高いため、人によってはコーヒー2杯程度で不安を感じたり、心が不安定になってしまったりといった場合もあるとされています。
ただし、カフェインには興奮作用や、目が覚めて筋トレへの集中力が上がるなどのメリットも期待できます。
同じカフェインを摂るならば、他のコーヒーやお茶でも摂ることができますよね。
有名なエナジードリンクはカフェイン量がひと缶(250ml)あたり80mg含まれていますが、コーヒーでは同じ量あたり90mg、紅茶ならば63mgを摂ることができるとされてます。
もしカフェインを摂るならば砂糖の含まれないコーヒーやお茶で摂った方が、血糖値の心配なく摂ることができます。
参考:日常生活の中におけるカフェイン摂取 -作用機序と安全性評価-
では、パフォーマンスを向上させたいときはどうすれば良いのでしょうか?
私の場合は、集中力やパフォーマンスをアップさせたい時は、BCAAというサプリメントを飲むようにしています。
BCAA は、
・筋肉の分解を防ぎ筋トレの効果をアップさせる
・疲労感を軽減させる
・集中力を向上させる
などの効果が期待できます。
トレーニングのパフォーマンス向上や、仕事の集中力向上を期待するならば、エナジードリンクよりもBCAAがおすすめです。
私の場合は、大切な打ち合わせやプレゼンがあるときはその30分前に飲むようにしています。摂取したBCAAは30分ほどで血液の中に出始めるとされているためです。
BCAAは単体のサプリとしてはドラッグストアやスポーツショップに置いてありますが、コンビニで売られているゼリー飲料などにもBCAAが入っているものがあるので、探してみてください
*BCAAは、Branched amino acidの略称で、 バリン、ロイシン、イソロイシンという3種類の分岐鎖アミノ酸が含まれています。 アミノ酸というのはタンパク質を分解した最小単位です。すでに分解されているため、消化に時間をかけずに筋肉に行き渡らせることができます。
<サプリメントとして人気のBCAAとEAA!違いを知りたい方はこちらの記事がおすすめ>
仕事、トレーニング両方で言えますが、エナジードリンクよりも栄養バランスの取れた食生活の方が大切です。
特に仕事でパフォーマンスを発揮したい日の朝ごはんは重要。ここで、管理栄養士オススメの「エナジー朝ごはん」をご紹介しましょう。
糖質、ミネラル、ビタミンB1、食物繊維の含まれる玄米は、朝ごはんにおすすめ。
同じ糖質でも白米よりも玄米をおすすめする理由は、ビタミンB1。
ビタミンB1は糖質を代謝してエネルギーに変える栄養素です。
また、食物繊維も含まれており、食物繊維と糖質は同時に摂ることで血糖値の上昇をゆるやかにしてくれます。
玄米をどこで手に入れたらいいかわからない、という方は、通販サイトなどで探すのがおすすめです。
炊き方がわからないという方もいらっしゃると思うのですが、最近の炊飯器には玄米モードがついていることが多いので、ほとんど炊飯器におまかせで炊くことができます。
<ビタミンB群と筋トレの関係をさらに詳しく知りたい方にはこちらの記事がおすすめ!>
納豆は植物性のタンパク質を摂ることができる上に、腸内環境を整えてくれる効果が期待できます。
腸は第二の脳とも言われ、人間のメンタル面とも結びつきがあると言われています。
<大豆が筋トレにもたらす効果をさらに知りたい方はこちらの記事がおすすめ!>
卵はビタミンCと食物繊維以外の、人間に必要な栄養がほぼ摂れるとも言われている食品。
また、卵はアミノ酸スコアが100で、必須アミノ酸を効率よく摂取することができます。(タンパク質の量と必須アミノ酸がバランスよく含まれているかの指標を「アミノ酸スコア」といいます。)
また、アミノ酸の一つ「トリプトファン」はセロトニンというホルモンの材料になります。
セロトニンは精神的な安定に関係するので、メンタル面を安定させて仕事に臨みたいときなどはいいのではないでしょうか。
<アミノ酸を効率的に摂取するならEAAがおすすめ!詳しい記事はこちら>
砂糖の入っていない、無糖のピュアココアを牛乳で溶かすのがおすすめです。
ココアは鉄分や銅といったミネラルが含まれていて、これらは欠乏すると神経過敏、集中力や思考力が低下するとされています。
また、ココアを溶かす時に使う牛乳には、上に挙げたトリプトファンが含まれており、精神面の安定に効果が期待できます。
睡眠の質をあげる効果も期待できるので、前日に飲むのもいいですね。
エナジードリンクのような短期的に力を引き出すものに頼るよりも、食べ物でパフォーマンをいつでも引き出せるようにしてあげるのがおすすめです。
仕事においても筋トレにおいても、一時的にパワーが出すことができても、そのあとにぼーっとしたりバテてしまうようではデメリットの方が大きいためです。
血糖値を一時的にあげるのではなく緩やかに上昇させて、脳にコンスタントに栄養を送ってあげることで、長期的にパフォーマンスをあげることができます。
ぜひ朝ごはんに納豆や卵、玄米を食べて、仕事や筋トレで本来の力を発揮できるように取り組んでみてくださいね。