痩せるために炭水化物を抜こうと考える方は多いです。
ダイエットの際に悪者にされやすい炭水化物ですが、実は極端に抜くことがダイエットにマイナスなのを知っていますか?
極端な炭水化物抜きダイエットは痩せにくい体を作ってしまうため、おすすめできません。
フィジーカー 栗原強太
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湘南オープンメンズフィジーク172cm以下の部で5位入賞したフィジーカー。体脂肪率は1桁。複数のジムを掛け持ちして日々トレーニングに励む。 |
目次
痩せるには、「消費カロリー」が「摂取カロリー」を上回る必要があります。
炭水化物抜きダイエットとは炭水化物を抜いた食生活をすることで、摂取カロリーを抑えたダイエット方法のことです。
代表的な炭水化物には米、パン、小麦、芋類があげられ、一般的に健康的な生活をおくるためには1日の「総摂取カロリー」の50~60%を炭水化物で摂取することが必要と言われています。
そのため過度な炭水化物抜きダイエットを行う際は、健康を損なう恐れがあり注意が必要です。
最低限の栄養についての知識を得てから、行う必要があります。
炭水化物について掘り下げてみます。
炭水化物は「糖質」と「食物繊維」の2つから成る栄養素です。
ダイエットの際に注目されるのは「糖質」です。そのため、炭水化物抜きダイエットは「糖質制限ダイエット」「低糖質ダイエット」などとも呼ばれます。
糖質は人間が生活する上でのエネルギーとなる重要な栄養素です。
しかし、エネルギーとして必要な分以上に糖質を摂取した場合、体内で余った糖質は中性脂肪となり体に蓄えられます。そのため、糖質はダイエットの際に悪者として扱われることが多いのです。
また、糖質を摂取すると、膵臓からインスリンというホルモンが出ます。
インスリンは、各種栄養素を筋肉に送る役割を果たしています。
そのため、糖質の摂取を過度に制限すると、体内のインスリンの働きを弱めることになります。その結果、筋肉が作られにくくなるのです。
炭水化物を抜こうとしているのであれば、「体重を減らす」ことと「体を引き締めること」の違いについての理解が欠かせません。
この点を理解せずに炭水化物を抜くダイエットを行うと、痩せにくい体になるリスクがあります。
そもそも、「体重を減らす」には2つの方法があります。
1つは筋肉を減らすこと。もう1つは脂肪を減らすことです。
先ほど述べたように、炭水化物を抜くことによる過度な糖質制限は、体内のインスリンの働きを弱め、筋肉を作りにくくします。
これは筋肉を減らすには効果的です。
しかし、脂肪を減らすには脂肪をエネルギーとして使用する必要があります。
そのためには、運動が必要です。
運動を行わずに炭水化物だけを抜くダイエットを行なった場合、筋肉量の減少によって体重は減っても、脂肪が思うように落ちないという結果になりかねません。
実例として、こちらの画像をご覧ください。
(※著作権の関係上、画像は実際の写真をイラスト化しております。)
この画像は、左右どちらも同じ背丈の女性、体重も同じ55kgです。
しかし、同じ体重にも関わらず、右側の方が引き締まっています。
その理由は、左右で脂肪量と筋肉量のバランスが違うためです。
筋肉は脂肪よりも重いため、同じ体重でもより筋肉の比率が高い右側の方が引き締まって見えるのです。
さらに、筋肉量が落ちて脂肪の比率が高くなった体は「痩せにくい体」とも呼ばれます。
これは、筋肉量が落ちることで、基礎代謝も落ちてしまうためです。基礎代謝のうち約22%の消費を筋肉が生み出すと言われています。
ダイエットには、基礎代謝、食事の時間、生活習慣、栄養バランス、筋肉量など重要な要素がたくさんあります。
それらの要素を考えず、今までと全く同じ生活のまま、食事だけを炭水化物抜きに変えても本質的な解決になりません。
一生、炭水化物を抜くのであればある程度の成果を出せるかもしれませんが、それも運動をしなければ痩せにくい体を作る悪循環にはまってしまいます。
知識のないまま炭水化物抜きのダイエットを行うと、食べられるものがかなり限られるだけでなく、効果もでにくいです。
例えば、お肉のみを積極的に摂れば脂質過剰になります。
かといって、野菜のみを積極的に摂ればたんぱく質が不足します。
こういった栄養バランスの偏りは、様々な体の不調を引き起こします。
(※栄養バランスの取り方は記事の後半で詳しく解説します。)
精神面の障害も無視できません。
炭水化物を抜く生活をしていても、やむを得ず食べてしまうときがあるはずです。
一度炭水化物を食べると、リミッターが外れ、炭水化物を爆食いしてしまうなんてこともよく耳にします。
運動を怠り太りやすい体になっていると、一度の爆食いですぐにリバウンドしてしまいやる気がなくなってしまいます。
太りやすい体にしないために、運動が必須であることはここまでお伝えしてきた通りです。
そもそも運動には、有酸素運動と無酸素運動の2種類があります。
有酸素運動とはランニングやウォーキング、無酸素運動とは筋トレのことです。
筋肉をつける際に適した運動は無酸素運動、つまり筋トレです。
そこで、ここからは筋トレと炭水化物の関係について触れます。
筋トレの際に使われるエネルギーは、炭水化物から摂取する糖質です。
糖質は体内で、グリコーゲンへ変化し、最終的には筋グリコーゲンという形になって筋肉に貯蔵されます。
この筋グリコーゲンは、筋トレをする際にエネルギーとして使われます。
つまり、筋トレをするためには、炭水化物を摂取して筋グリコーゲンを蓄えておかなければなりません。
<筋トレの際の炭水化物の摂取法はこちらの記事もおすすめです!>
<ダイエットのために運動を頑張りたい方はこちらの記事もおすすめです!>
厚生労働省が定める1日のエネルギー必要量は、男性の場合2650kcal、成人女性の場合は2000kcalです。(※数値は身長や体重を考慮していないため、個人差が生じることを踏まえた上であくまでも目安として参考にしてください。)
健康的な生活をおくるためには1日の「総摂取カロリー」の50~60%を炭水化物で摂取することが必要と言われているため、上記のカロリーの50~60%を計算すると下記になります。
さらにこれからの数値を糖質量に換算すると次のようになります。
一般的に、お茶碗1杯のご飯は150gと言われます。
これは、55g程度の糖質量に換算されます。この数字を1日の目安量に換算すると次のようになります。
前の章で炭水化物の摂取量の目安を知っていただいた上で、それでもダイエットのために炭水化物を抜きたいと考えている方へ、「PFCバランス」という方法をお伝えします。
ダイエット時は、「PFCバランス」から炭水化物の摂取量の目安を導き出すのがおすすめです。
PFCとは、タンパク質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)の頭文字。この3つの栄養素から、1日の摂取カロリーをどんな割合で摂るかを計算する食事管理の方法のこと。
P(タンパク質)、F(脂質)、C(炭水化物)は三大栄養素と呼ばれ、どれも体に必要不可欠な栄養素です。
極端に炭水化物を抜くダイエットをした場合、C(炭水化物)の割合が著しく低下し、痩せにくい体になってしまうことは前述の通りです。
では一体、P(タンパク質)、F(脂質)、C(炭水化物)のバランスはどの程度が理想なのでしょうか?
初めてPFCバランスに取り組む際は、厚生労働省が出している下記の基準に従うことをおすすめします。
<よりPFCバランスの方法を知りたい方は下記の記事がおすすめです!>
こちらは、炭水化物を抜く、減らすのが辛いけどダイエットをしたいという方へ向けた章です。
炭水化物の量を減らさずに、体につく脂肪の量を減らす食事のテクニックをご紹介します。
食事で炭水化物(=主に糖質)を摂取すると血糖値が上昇します。
特に炭水化物が多い(=糖質が多い)食事をした際に、血糖値の上昇幅は大きくなります。
血糖値が上昇すると、上昇した血糖値を下げようとインスリンが出ます。
インスリンは前述の通り筋肉に栄養を運ぶ役割を果たしますが、インスリンには糖を脂肪に変える働きもあります。
このように、糖質はインスリンとの関係により、少なすぎても多すぎてもダイエットにはマイナスなのです。
そこで、炭水化物(=主に糖質)を摂取しつつも血糖値の上昇を抑えるために、炭水化物(=主に糖質)と食物繊維を一緒に摂りましょう。
そうすることで、糖質の吸収がゆっくりになり、血糖値の上昇をゆるやかにすることができます。
丼ものやパスタ、おにぎりなどの炭水化物を食べる際は、食物繊維が含まれるサラダなどの食品と食べあわせましょう。
「(丼ものorパスタorおにぎり)×野菜サラダ×(みそ汁orスープ」がおすすめの組み合わせです。外食の際は定食を頼むのもおすすめです。
<コンビニに食事が偏る方の食事法はこちらの記事がおすすめです!>
また、炭水化物を食べるタイミングも大事です。
せっかくサラダや、みそ汁・スープを一緒に摂ったとしても、炭水化物(=主に糖質)から食べ始めてしまっては血糖値が上がってしまいます。
サラダ、みそ汁、スープをある程度食べて、体内に食物繊維を取り込んでから、炭水化物を食べ始めましょう。
炭水化物を抜くダイエットの危険性や正しいやり方をお伝えしてきました。
炭水化物の過多はもちろんですが、極端に炭水化物を減らすことはダイエットには不向きです。
炭水化物抜きダイエットに取り組む際は、PFCバランスで栄養素のバランスを保った上で、炭水化物を減らすようにしましょう。
過度な食事制限をするダイエットは体への負担も大きいので、慎重に取り組んでくださいね。