ランニングを最近始めたという方にも、市民ランナーとして経験を積んできたという方にも共通するお悩みが「ランニング中の体の痛み」。
痛みがあると走りたくなくなってしまったり、ペースを落とさざるを得なくなってしまいますよね。
そこで今回は、プロのランニングコーチの立場から、脇腹や肩、腰、膝、ふくらはぎなど、部位別に痛みへの対処法をお伝えします。
こうした部位の痛みを経験しているランナーの方はもちろん、ランニング初心者の方もぜひ参考にして事前に対処してみてくださいね。
目次
初めて走る方はもちろん、ランナーの方でも久しぶりに走るときは脇腹痛になりやすいのではないでしょうか。
脇腹の痛みは、原因を絞るのが難しいです。
考えられる原因は、
・ごはんをたべすぎた
・水分不足
・筋肉不足(インナーマッスルが弱い)
・普段以上のペースで走っている
などがあります。
事前準備などで予防していくのが一番ですが、私がレース当日に行なっている対処法は、脇腹を圧迫すること。
右の腹なら右の腕で押しながら走ることで、痛みが緩和されます。
紐がついているパンツであれば、紐をぎゅっと縛るのも有効です。
圧迫しながら2〜3kmペースコントロールをして、落ち着いてきたらペースを戻してあげるといいのではないでしょうか。
肩の痛みは、力が入っている、力んでしまっていることも原因の一つです。
大会の場合は、レース前半から事あるごとに肩をリラックスするよう努めてあげましょう。
・腕を上下に動かしてストレッチする
・肩を回してあげる
といった方法が有効です。
また、大会本番でいざ肩が痛くなってしまうとなかなか治らないので、普段からのストレッチをしっかりしておきましょう。
胸椎の動きが良くなかったり、肩関節や肩甲骨の動きが悪いと、どうしても他の部分に負担がかかってしまいます。
普段から肩関節や肩甲骨、胸椎の部分のストレッチをすることが大切です。
原因としては、背中の張りが強い、お尻まわりの筋肉が張っているといったものが考えられます。
お尻や太もも周りの筋肉が硬いと股関節の動きが悪くなり、骨盤が過剰に前傾、または後傾してしまい、腰への負担が大きくなります。
対処法は、股関節の上下についた背中や、お尻のあたりの筋肉をほぐす・動きをよくすることです。
別のケースでいうと、肩が動かないのに腕振りを頑張っていると、胸が反ってしまい、胸が反ることで腰も反ってしまい負担がかかりが痛くなる、といったこともあります。
詳しくは個別に見てみないとわからない部分もありますが、概して言えるのは上半身のストレッチも大切だというとです。
関節を日頃からほぐしておきましょう。
例えば、20分のトレーニング時間を確保しているならば、走る距離を少し減らしても2〜3分をストレッチにあてるなどを行なってみましょう。
股関節は色々な方向に動かすことができるので、横、前、後ろの筋肉にどのように負担がかかってしまっているかは、個別にみてみないとわかりません。
ただ、お尻周りなど股関節の近くのストレッチを今やっていないのならば、普段からやっておくことで痛み対策になる可能性はあります。
例えば、股関節は腰骨にもつながっているのですが、この腰骨が安定しないために、股関節を無理やり動かさざるを得なくなっているという場合もあります。
私も股関節が痛くなることがあります。
どういう時に痛くなるかといえば、ゆっくり長い距離を走るとき。
ゆっくり長く走ることで、接地時間が長く負担が大きくなるということもありますが、体幹が意識しにくく、安定しないという理由もあります。
体幹部が安定しない中で走ると、股関節に負担がかかってしまうのです。
人間の体は、安定している関節と動く関節が交互に連なっています。
腰は安定していてそんなに動かないはずの関節で、股関節は色んな方向に動く関節です。
膝関節は縦にしか動かないし、足首は色んな方向に動く関節です。
それぞれの役割がしっかり行えると、全身がスムーズに動いてくれます。
股関節が痛い場合は、本来安定しているはずの腰が安定しておらず、その下の股関節に負担がかかっている可能性があります。
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動く関節、安定する関節についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
筋トレの効率性を高めるために関節のモビリティとスタビリティを意識しよう
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膝は、一番痛みを抱える方が多いと言われている場所です。
膝の痛みの原因箇所は大きく分けて3つ。
・膝の外側の腸脛靭帯の炎症
・膝の内側の鵞足(がそく)の炎症
・膝のお皿の下の膝蓋靭帯の炎症
膝が別の筋肉に引っ張られることで痛みにつながっている場合が多いです。
例えば、膝の上にある筋肉、太ももの外、前、内側の筋肉が張ってしまい、その下にある膝が引っ張られて痛くなっているなど。
そのため、上にある太ももの筋肉をほぐす、ゆるめるというのが対処法になります。
また、太ももの負担を減らすため、その上にあるお尻を使えるようになることが近道。
ですので、お尻の筋トレを行うことをおすすめします。
走っていて痛みが出てくると、痛みが出た部分の筋肉が足りないのかな?と思って筋トレをしがちですが、そうでない場合が多いです。
お尻が使えるようになると、いつもより太ももの筋肉疲労は少なくなり、膝への負担も減るはずです。
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ランナーの方で、ふくらはぎが張りやすいという人は非常に多いです。
ふくらはぎの筋肉は、縮むと足首が反り、すねの筋肉が縮む。
逆にすねの筋肉が縮むと、ふくらはぎの筋肉が伸びます。
足首の運動に連動しているのです。そのため、足首をたくさん使い、地面を蹴って進む人は、ふくらはぎの筋肉が発達します。
この状態は間違いではないのですが、ふくらはぎの筋肉は小さいので、地面を蹴る力にばかり頼っていると疲れてしまいやすいです。
また、ふくらはぎはアキレス腱〜足底にもつながっていて、炎症や痛みが出ることにも関与する可能性があります。
ふくらはぎの疲労は、足首の痛みや、足底筋膜炎にもつながっています。
ランナーの方でよくあるのが、足首や足裏の痛みをとるためにふくらはぎをほぐしたけれど、また走り始めたらふくらはぎが硬くなってしまった、というパターン。
ふくらはぎの負担を減らすには、股関節をしっかり動かすこと。
股関節がしっかり動いていないと膝が上がりにくく、歩幅が出にくいです。
歩幅が出にくいのにスピードを出そうとすると、地面を蹴って推進力を出すことになります。
こうすると、ふくらはぎの負担が大きくなりますよね。
こうした状態を解消するために、体幹を安定させ、股関節の筋肉がスムーズに動くようなトレーニングをおすすめします。
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今回は、脇腹や肩、腰、膝、ふくらはぎなど、部位別に、痛みへの対処法をお伝えしました。
大会当日になってしまった時に対処はできますが、基本的には普段の練習の段階で、ストレッチを怠らないことが大切です。
筋肉や関節は全身つながっているので、足や股関節だけでなく、肩や肩甲骨のストレッチもぜひ行なってみてくださいね。
以上、「ランニング中の膝や脇腹の痛みの対処法」でした!