この記事ではフルマラソンやハーフマラソンの大会における給水のやり方を解説します。
レース中はどれぐらいの量を目安に水分補給をすれば良いのか、またマラソンのレース前はどの程度水分補給をしておけば良いのか、こういったマラソンの給水にまつわる基本的なことは事前に知っておきましょう。
この記事を書いた人 倉本 岳
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参加者3000名を超える都内最大級のランニングチーム「Morning Running Club(通称モニラン会)」の代表。フルマラソンの自己ベストは3時間26分。 |
目次
フルマラソンやハーフマラソンに参加する際は、あらかじめ給水のやり方を学んでおく必要があります。
マラソン大会のエイドは多くのランナーで混み合い、給水の取り損ねや、給水を取れたとしても走りながら水分補給をするために紙コップの中身をこぼしてしまうことがあります。
狙い通りに給水ができないと、脱水症状になり足をつってしまうなどのアクシデントが起こります。
マラソン大会の環境を考慮したうえで、正しい給水のやり方を事前に学んでおく必要があるのです。
フルマラソンやハーフマラソンの大会のエイドに用意された給水は、基本的には紙コップに入っています。
走りながら紙コップをつかんで、こぼさずに給水をするにはコツが必要です。
まず、紙コップは横から手を入れて取るのではなく真上から手をかぶせるようにつかみましょう。
紙コップに対して横から手を入れてしまうと、ランニングの勢いで中身がこぼれてしまいます。そのため真上から手で蓋をするように紙コップをつかむのです。
紙コップを掴んだら、手のひらを握り締めて飲み口をつぶしましょう。飲み口を潰すことによって中身をこぼさずに紙コップを取ることができます。
中身をこぼさずに紙コップを手に持つことができたら、給水をしますがこの際にもいくつか注意点があります。
まずは飲み方です。
走りながら給水をする際は、紙コップの口をつぶして縦長にした状態で給水をしましょう。コップの口が正円の状態では走っている際の振動で中身がこぼれてしまうためです。
続いて、飲むタイミングです。
エイドで食べ物を補給する際は、食べ物を食べた後に給水をしましょう。これは、食べ物を食べて乾燥した口の中を潤わせるためです。
最後に飲み込み方です。
エイドの給水が、冷えており冷たい場合は、給水を口の中に一定時間は含み、温めてから飲み込むようにしましょう。
マラソン中に冷たい飲み物を急に飲んでしまうと、内臓が冷えて調子が悪くなったり、お腹を下してしまうことがあるためです。
フルマラソンやハーフマラソンのエイドでは、給水に水とスポーツドリンクがそれぞれ用意されていることがあります。
この場合は、スポーツドリンクを選ぶことをお勧めします。
スポーツドリンクの場合は水分に加えて、運動のエネルギー源となる糖質も摂取することができるためです。
また、厳密にはスポーツドリンクにも、ハイポトニック飲料とアイソトニック飲料の2種類があります。
体液の浸透圧と同程度のものをアイソトニック飲料、体液よりも浸透圧が低いものをハイポトニック飲料と呼びます。
ランニング中は発汗により体液が薄くなっている状態ですので、給水はハイポトニック飲料の方が相性は良いです。具体的にはランナーにもお馴染みのVAAMやアミノバイタルが該当します。
一方でポカリスエットや、アクエリアスなどのスポーツドリンクはアイソトニック飲料に分類されマラソン前に飲む方が相性は良いでしょう。
フルマラソンやハーフマラソンの最中は、一体どれくらいの量の水分補給をするべきなのでしょうか。
必要な水分補給の量と、1回の給水で摂取できる水分量の目安を見ていきましょう。
ランニングに関する研究会や講演会などを実施しているランニング学会の発表しているレポートによると、マラソン中の給水量の目安は体型や季節によって異なり、個人差があるため一律に定めるのは難しいと書かれております。
またレポートの中では、事前に1時間のランニングを行い、体重を比較することで自分の脱水量を知っておくことを推奨されています。
走る前後の体重を比較して、その差を自分の体から抜けた水分量だと認識する方法です。もちろん途中で水分補給をした場合は、補給した分を加味した上で差分を計算しましょう。
自分の体から抜ける水分量を、フルマラソンやハーフマラソンの際は給水で補うようにしましょう。
ハーフマラソンやフルマラソンの大会では、7オンスの紙コップが使われていることが多いです。
7オンスの容量は205mlです。注がれている給水の量は紙コップの7~8割程度ですので、1回の給水で150ml前後の水分補給が行えていると考えると良いでしょう。
フルマラソンやハーフマラソンの大会によって、エイドの間隔は異なるため、自分に必要な水分補給の量と1回のエイドで補給すべき水分量を計算してからレースに臨んでください。
私自身、気候が秋冬の東京マラソンや横浜マラソン、気候が夏の北海道マラソンやホノルルマラソンに出場したことがありますが、季節によって給水のやり方に差をつけるべきだと感じます。
夏の大会では、給水の際に水分補給をするだけでなく体を冷やすことも重要になってきます。
夏の大会の場合は、1回のエイドで秋冬の大会より+1紙コップ給水を取るようにしましょう。
冬の大会よりも夏の大会は発汗量がどうしても多くなるため、+1紙コップの半分は飲んで水分補給にあてましょう。
もう半分は体温が上がっているので首元や太ももにかけて体を冷やすために使いましょう。
+1紙コップを取る工夫で、脱水症状や熱中症になるのを防ぐ給水の工夫が大切です。
フルマラソンやハーフマラソン中に喉が渇くことを心配して、レースの前日や当日に多くの水分を摂取する事は避けましょう。
大量に水分を摂取してしまうと、留守中にトイレに行きたくなるリスクが上がります。トイレに行くとその分タイムをロスしてしまうだけでなく、いちど立ち止まることになりますので体はいっそうの疲労感を感じます。
フルマラソンを完走するには、できるだけ立ち止まらないことがポイントです。
そのためレースの前日や当日に多くの水分を取るのではなく、ここまでお伝えしたレース中の水分補給のやり方を工夫して脱水症状になるのを防ぐ方法を重要視してください。
この記事ではマラソンの給水にまつわる基本的なことをお伝えしました。すべての基本は、マラソンの給水エイドで紙コップをしっかりと取ることです。
給水を怠らず、健康な状態でマラソンを完走できるように皆さん気をつけてレースに参加してください。