フルマラソンにノリでエントリーをしてしまったけれど、全く練習をしていなくて後悔している…という方、ご安心ください!
フルマラソンは「練習なし」でも完走できますが、それ相応の工夫が必要です。
そこでこの記事では、私自身が過去に10回以上フルマラソンを完走した経験をもとに、練習をしていない人がフルマラソンを完走するためのコツをお伝えします。
この記事を書いた人 倉本 岳
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参加者3000名を超える都内最大級のランニングチーム「Morning Running Club(通称モニラン会)」の代表。フルマラソンの自己ベストは3時間26分。 |
フルマラソン1週間前から、時系列に沿ってコツをお伝えするので、間に合うタイミングからできることに取り組んでみてください!
目次
そもそもフルマラソンは練習なしで完走できるのでしょうか。
こちらは、国内最大規模のフルマラソンの大会である東京マラソンと、大阪マラソンの2019年の完走率をまとめた表です。
大会名 | 完走率 | 制限時間 |
東京マラソン2019 | 94.30% | 7時間 |
大阪マラソン2019 | 95.80% | 7時間 |
大会によって、フルマラソンの制限時間は異なりますが、基本的には6時間から7時間の間に制限時間を設けている大会がほとんどです。
フルマラソンは42.195kmなので、制限時間内に完走するには時速6~7kmほどで良いということがわかります。
これは、早歩きをしてギリギリ追いつけるペースです。つまり、練習なしでもフルマラソンを完走するのはそこまで難しいことでは無いのです。
ただし気をつけていただきたいのは、各大会5%前後は完走できない人がいると言うこと。
完走できない人は、次のどちらかのケースがほとんどです。
そして、この2つは練習をせずにフルマラソンに挑戦する人に起こりやすい事でもあるのです。
練習なしでフルマラソン完走を目指しているあなたが、今フルマラソンの大会の1週間前であるならば次のことに取り組みましょう。
練習をしていない分、フルマラソン中のあなたの体をサポートしてくれるアイテムを揃えておきましょう。
オススメは、「ランニングタイツ」と「栄養補給のための食べ物」の2つです。
練習をしないでフルマラソンに参加をする人は、フルマラソンに耐えうるだけの筋肉を養いきれてはいません。
「ランニングタイツ」は補助筋肉と呼ばれ、ランニングの際に筋肉の働きをサポートし、下半身への負担を減らしてくれます。
また、練習をしないでフルマラソンに参加すると、どうしてもゴールするまでに長い時間がかかります。
その間にエネルギーを補給しないと、お腹が減って空腹状態になってしまったり、汗で塩分やミネラルが体から出ていくことで足をつってしまったりします。
そういったケースを避けるために、レース中にエネルギーを摂取できるように、「栄養補給のための食べ物」を購入しておきましょう。
レース当日は、スタート地点の最寄りのコンビニで多くのランナーが買い物をするため売り切れになっていることも多いです。事前に購入をしておきましょう。
練習をせずにフルマラソンにチャレンジする場合でも、事前にストレッチだけは行っておきましょう。
ストレッチで、ランニングに必要な関節や筋肉の柔軟性を高めておけば、エネルギーロスの少ないランニングフォームで走ることができます。
中でも、重点的に解してほしいのが「足の裏」と「肩甲骨周り」です。
人間の下半身は、足の裏からアキレス腱、ふくらはぎ、太ももへとつながっています。
革靴やヒールなどを履く機会の多い方は、足の裏がとても硬くなっています。足の裏が硬くなっていると、アキレス腱やふくらはぎがランニング中にうまく連動しなくなってしまいます。
すると、フルマラソン中に「アキレス腱の痛み」や「ふくらはぎの痛み」を引き起こしてしまうことがあります。
そのため、走る練習はしなくても足の裏のストレッチだけはやっておきましょう。
オススメは、「テニスボールを使った足裏のマッサージ」です。次の動画を参考にして、取り組んでみてください。
一方で、ランニング中の上半身は、腕の振りが背骨の動きに連動し、背骨の動きが腰の動きに連動して、最終的には股関節を軸とした足の動きに伝わっていきます。
そのため、上半身は腕をスムーズに振ることが大切です。腕は肩甲骨を軸として動くため、肩甲骨まわりのストレッチをフルマラソンまでに行っておきましょう。
おすすめのストレッチは、こちらの「肩甲骨ほぐしのストレッチ」です。
ここで紹介したストレッチを、フルマラソンまでの1週間お風呂上がりに取り組んでみてください。
走る練習をしないでフルマラソンにのぞむ場合でも、これらのストレッチに取り組んでおくだけでエネルギーロスの少ない走り方に近づけますよ。
練習なしでフルマラソン完走を目指しているあなたが、今フルマラソンの大会の前日であるならば次のことに取り組みましょう。
練習なしでフルマラソンにチャレンジする場合は、前日に糖質を多めに摂取しましょう。
糖質は、マラソンの際に体を動かすエネルギーになります。フルマラソンの途中で、体内の糖質が枯渇してしまうと、エネルギー切れになって体が動かなくなってしまったり、頭がぼーっとしてしまいます。
フルマラソン初挑戦の人は、体がこのような状態になると不安で棄権をしてしまうことがあります。そうなると当然完走はできません。
そのため、フルマラソン前日は糖質を多めに摂取して体にエネルギー源を蓄えておきましょう。
ただし、糖質を多く食含む食事であれば何を食べても良いと言うことではありません。
消化の良い食べ物から糖質を摂取するようにしてください。消化の悪い食べ物が胃腸に残った状態でフルマラソンを迎えると、マラソン中に気持ちが悪くなったり、吐き気を催してしまうことがあるためです。
では、具体的にはどんな食べ物が良くないのでしょうか?
オススメは、「白米」や「お餅」、「うどん」などの消化に良い炭水化物で糖質を摂取することです。
レースの前日は、これらの炭水化物をいつもより少し多めに食べて体にエネルギーを蓄えておきましょう。
練習なしでフルマラソンにチャレンジする場合、前日はレーススタートの3時間前までに起きられる時間に寝るようにしましょう。
これまでフルマラソンに向けた練習が不十分であったため、せめて体が1日のうちで最も動きやすい時間帯にフルマラソンを迎えられるようにしてあげることが大切です。
起きてすぐは筋肉が固まっている状態なので、起床後1時間や2時間後にレースがスタートしてしまうと体が思うように動きません。
ただし、起きてからレースのスタートまでの時間が空きすぎても良くはありません。
ものを食べてから、栄養素が血中に運ばれてエネルギーに変わるまでは3時間程度の時間が必要だと言われています。
そのため、フルマラソン当日はレーススタートの3時間前を目安に朝食を取るようにしましょう。
3時間前までに起きる前提で、夕食やお風呂の時間などを組み立てて、ベストな状態でフルマラソン当日を迎えられるように工夫をしましょう。
練習なしでフルマラソン完走を目指しているあなたが、いよいよフルマラソンの当日を迎えたのならば、レース前に次のことに取り組みましょう。
フルマラソンの当日は、レースのスタートまでに改めて制限時間を確認しておきましょう。
レース全体で、制限時間が6時間ないし7時間等と制限時間は決まっていますが、実は5キロを●時●分までに通過しなければならない、10キロを●時●分までに通過しなければならない、といったようにいくつかの関門が設けられています。
制限時間の確認をする際は、一緒にコース中の程度やトイレの場所、坂道の有無なども見ておきましょう。これらのコースの特徴を理解しておく事は、練習なしでフルマラソンにチャレンジする際の大きな助けとなるでしょう。
また、レースのスタートはランナーが密集して非常に混雑します。大規模な大会だと、フルマラソン開始の時間からスタート時点を超えるまでに、10分程度要することもあります。
そのことを頭に入れた上で、関門の制限時間に間に合うようなレースを展開しましょう。
フルマラソンの当日は、まずはレーススタートの3時間前を目安に朝食を食べましょう。
さらに、練習なしでフルマラソンに挑戦する場合、朝食に加えてレーススタートの1時間前にバナナとカステラを食べるようにしてください。
バナナで摂取できる炭水化物は果糖に分類されます。果糖は、パンやおにぎりなどの炭水化物と比べて体への吸収が早く、エネルギーに早く変わりやすいです。
さらにバナナはマグネシウムやカリウムなどのミネラルが含まれています。ミネラルはマラソン中に足がつるのを予防する効果もあるのでバナナはレース直前の栄養補給として相性が良いです。
カステラも砂糖と卵で作られており、こちらもエネルギーに変わりやすいです。
朝食の代わりとしては量が少ないですが、レース直前に食べる捕食としては最適です。
これまで練習ができなかった分、レース直前のエネルギー補給は上手に行いましょう。
練習なしでフルマラソン完走を目指す場合、フルマラソンのレース前半に必ず次の3つのことに取り組みましょう。
レースの序盤は体力があるからといって距離を稼ごうとペースを上げてしまうと後半に息切れして完走できなくなってしまいます。
また、レースの序盤は周囲にたくさんのランナーがいます。彼らのペースにつられて、ついハイペースになってしまうランナーが多いです。
そのため、フルマラソンの前半は特に走るペースを抑えることを意識してください。目安は8割程度の力で走ること。
これを徹底することで練習なしの人でもフルマラソンの完走が見えてきます。
練習なしでフルマラソンに参加する場合、5時間以上は完走までに時間がかかるでしょう。
これだけ長時間の運動では、レース前に食べた食事だけではエネルギーは足りません。どんなランナーも、レース中に栄養補給せずにフルマラソンを走ると30キロを過ぎた位で空腹状態になってしまいます。
そのため、フルマラソンのレース中はこまめにエネルギーを補給することが大切です。お腹が減っていると感じなくとも、フルマラソンの前半から、5キロに1回は塩飴などを食べてエネルギー補給をするようにしてください。
練習なしでフルマラソンに参加する人は、早ければ10キロを超えたあたりから足に痛みを感じだすかもしれません。
その状態で残り数時間もゴールへ向けて走らなければならないため、完走するにはメンタルの強さが求められます。
苦しい場面でも諦めずに走り続けるために、レースの前半にペースメーカーになるランナーを見つけましょう。
自分と同じ位のペースで走っている人を探し、足が痛くなってもその人にできる限りついていきましょう。
1人で走っていると心が折れやすいですが、ペースメーカーを見つけておけば、諦めずに頑張りやすくなります。
練習なしでフルマラソン完走を目指す場合、フルマラソンのレース後半に必ず次の2つのことに取り組んでください。
練習なしでフルマラソンに参加する方こそ、レース中は決して立ち止まらないようにしましょう。
立ち止まらなければ歩いてしまってもOKです。フルマラソンの後半であれば、ゆっくり歩いてもゴールにまでたどり着ければ、制限時間内に完走できることも多いです。
決してたちどまらない強い気持ちを持って頑張りましょう。
どうしても足や腰が痛い場合は、レース中でもすぐにストレッチを行いましょう。
この場合も行うのはあくまでストレッチだけ。ストレッチを行ったら立ち止まらずに、すぐにまた走り出しましょう。
フルマラソンの際は、ふくらはぎや足の付け根に痛みを感じることが多いです。それぞれレース中にお勧めのストレッチ動画を下記にご紹介します。痛みを感じたら取り組んでみてください。
<参考動画 ふくらはぎストレッチ>
<参考動画 腸腰筋ストレッチ>
練習なしでのフルマラソン完走を達成した直後は、まだ気を抜かずに必ず次の2つのことに取り組んでください。
フルマラソンを走り終えた後は、筋肉が破壊された状態です。
レース後はタンパク質を取り筋肉の回復を促しましょう。ただし、フルマラソンにより内臓も疲れています。
油が多い食べ物でタンパク質をとるといの消化が追いつきません。そのため油分の多いお肉などは避け、赤身のお肉やカツオ、マグロなどの食物からタンパク質を補給するようにしてください。
フルマラソン後の疲労を早く回復するためにも、体内の疲労物質の循環を良くする必要があります。
そのためフルマラソンが終わって数時間休憩をしたら、寝るまでの間にしっかりと湯船につかって血流を良くして疲労回復を促しましょう。
練習なしでのフルマラソンを走りきった分、体にはかなりのダメージが残っています。フルマラソンの翌日以降も次の2つのことを意識して過ごしてください。
足や腰などの体の痛みだけでなく、食欲がすぐれない、胃腸の調子が悪いなどフルマラソン後には体にさまざまな影響が出ます。
練習をしてフルマラソンに参加した人と比べると、練習なしでフルマラソンを走った人の方がよりダメージが強く残っているでしょう。
自分で判断せず、体の不調を感じたら医療機関などを訪れ専門家の診断を受けましょう。練習なしのフルマラソンはそれほど大きなダメージを体に与えると言うことをしっかり自覚しておいてください。
しっかり練習をしてフルマラソンに参加した人でも、フルマラソン後の2、3日は筋肉に痛みが残ります。
それだけの負荷が体にかかっているので、フルマラソンの後2週間程度はお風呂上がりにストレッチを行い筋肉のケアを行いましょう。
足の裏や足首、ふくらはぎ太もも腰周りなどを重点的に解してあげてください。特にフルマラソンなどで筋肉が激しく使われた後は、筋肉は硬くなる性質があります。
ストレッチを怠ると、フルマラソンで使った筋肉は柔軟性を失い、それが原因で今後腰痛などを引き起こすことにもなりかねません。
フルマラソン後2週間のストレッチを徹底してください。
この記事では練習なしでフルマラソンに挑戦しようとしている方が、完走するためのアドバイスをご紹介しました。
フルマラソン1週間前からレース後まで、練習なしでフルマラソンに参加する場合は様々な注意が必要です。
ご自身のフルマラソンまでの残りの期間と照らし合わせて、できることから始めてみてください。