マラソンランナーの方によくあるお悩みに「レースの前半は調子がよかったけれど、後半失速してタイムが出なかった」というものがあります。
どうしたら後半ペースを落とさなくなるのだろう?という風に考えがちですが、私は、失速の原因を分析するのとは別の方法をおすすめしています。
今回はそんな後半の失速に悩む方に、プロランニングコーチの視点から改善方法や練習法などを解説します!
目次
「レースの後半に失速した…」というときは、後半頑張りきれなかった理由は?と考えがちです。
例えば、前半は5分/kmペースで走れていたけれど、後半はペースが崩れて6分/kmを超えてしまった。
結果、4時間を切ることを目指していたけれど、4時間20分になってしまった。
こうした相談をお受けした時にお伝えするのは、「試しに6分/km、ペースダウンした時のペースで走ってみてください」ということです。
おそらく序盤〜中盤は余裕で、終盤にペースアップできるのではないでしょうか。
結果としてはおそらく同じ4時間20分か、少し早いくらいのタイムで走れるはずです。
この結果からわかることは、そのくらい前半のペースが早すぎたのだということ。
これを認識して頂くのがファーストステップです。
まず、能力以上で走ってしまっている、ということを認識しましょう。
ランニングの競技としての特徴として、「ペース」と「走る距離」が重要だということです。
ペースがゆっくりならば長く走れるし、速く走れば距離は短くなります。もちろん内的、外的要因はいくつかありますが、この「ペース」と「走る距離」を考えることが大切なのです。
「今日はがんばった」「がんばれなかった」ということをおっしゃる方もいらっしゃいます。
そういったメンタル的な要素はゼロではありませんが、走るペースと距離をコントロールすることが基本です。
フルマラソンならば42.195kmを最後までペースダウンせずに走れるペース配分を行います。
35kmでペースダウンをしてしまった!ということは35kmならばそのペースで走れる実力があった。けれど、残りの7キロは実力以上のものだったということです
今ある実力にフォーカスして、1kmあたり何秒ペースを維持できるのかを計算して、イーブンペースで走ったほうがトータルのパフォーマンスは高くなるはずです。
4時間以内に必要な練習をしてタイムや距離の設定ができていれば、目標タイムはクリアできているはずなのです。
それでも切れていないということは、4時間の実力ではない状態で4時間の練習をしているということです。
闇雲にキャパ以上の練習をすることは、思わぬ怪我や、体調不良にもつながりかねません。
4時間20分が現在のレベルならば、自分にちょうどあった練習をしましょう。
具体的な方法としては、4時間20分の次は、4時間15分を目指しましょう。
そして、次は4時間10分以内を目指しましょう…という風に細かく目標をおいていきます。
こうすることで、4時間20分のランナーの方は、1年~1年半くらいで4時間切りを達成できる計算になります。
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2時間半〜サブ3を目指す方の練習方法はこちら
現役選手が解説!2時間半~サブ3でフルマラソンを走るための練習法
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思ったようにタイムが伸びない方の中に、体が回復しきっていないのに、本人がそれに気づかないまま練習をしすぎているという方もいらっしゃいます。
例えば、3時間切りを目標に努力をしていて、いい練習をしていて、試行錯誤も重ねていながら、なかなか目標タイムに届かない…というランナーの方がいました。
その方が、レース前に少し仕事が忙しくなってしまい、練習量が半減してしまったことがありました。
しかし、その方はそのレースで3時間切りを達成したのです。
もちろんその他に様々な要素がありますが、おそらくそれまでが練習をやりすぎていたのが大きな要因です。
また、もし他の人だったら絶対に走らないような危険な痛みがあるにも関わらず、無理をして走ってしまうという方もいらっしゃいます。
「ふくらはぎや足の裏に痛み、張りがあるまま走ってて、大丈夫だとは思ってたんですけど…」という方が、足底筋膜炎になってしまったという事もあります。
どうしても自分の体感でしかわからない部分ですので、痛みが危険信号なのかどうかは判断が難しいですよね。
こういった場合は、第三者に見てもらうという方法がおすすめです。
疲労感や痛みは、自分の主観的な認識に加えて、第三者に客観的に見てもらう事をおすすめします。
例えば、スポーツマッサージを専門にしているお店に通うこと。
たとえ足が痛くなくても、月に1回〜2回でもいいので通うようにしましょう。
そして、できれば毎回同じ方に見てもらうようにします。こうすることで、調子の変化に気付きやすくなりますよ。
「今日はここが凝ってますね、何か練習したのですか」
「いつもより調子よさそうですね」
などなど、コメントしてもらいながら、レースに合わせて自分の状態を調整していくことも可能です。
ウォームアップは全身の動きをよくすることで、怪我や痛みを予防することができます。
ウォームアップの適切なやり方がわからない場合は、ランニングコーチなどに教えてもらったり、調べてみることをおすすめします。
例えば、走り方がよくないために、足の裏とふくらはぎに痛みが出てしまっているランナーの方がいました。
その方はマッサージに通って痛みがよくなり、スピードも取り戻してきたと思ったら、また同じところに痛みが出てしまったのです。
こういった方は、意外とたくさんいらっしゃるのではないでしょうか
この方の足の裏とふくらはぎの痛みの原因は、ふくらはぎが疲れてしまうこと。
ふくらはぎが疲れる原因は、股関節をうまく使えないことにあります。
そして、股関節を使えない理由は、腰が硬くなっているため。
腰は胸椎とつながっていて、胸椎がうまく機能していない。
胸椎がうまく機能していないために、肩がうまく使えていない…といった流れで、痛みの原因がふくらはぎとは全く別のところにある場合があります。
肩から胸椎、胸椎から腰、腰から股関節、股関節からふくらはぎという風に全身はつながっています。
そのため、ふくらはぎの問題一つとっても、全身の関節を動かせるように改善しないといけない場合があります。
もちろんウォームアップをせずに、その時間に仲間との会話を楽しむというのも一つのランニングのスタイルです。
ただウォームアップをしていない方が痛みを抱えていたり、そのためにタイム向上ができていないならば、ぜひウォームアップをおすすめします。
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レース後半の失速の原因は、失速しているのではなく「全体のペース配分を作れていないこよ」にあります。
ペース配分を見直して練習をすることで、記録の向上が期待できます。
そして、どうしてもタイムが縮まないときは、自分の体の状態をもう一度見直してみましょう。
ぜひ今回の方法を参考に、タイム短縮を目指してみてくださいね!
以上、「大会後半の失速を防ぐための考え方」でした!