デッドリフトをやっている方は、筋トレ歴に関わらず少なからずいる印象です。初心者の方でも聞いたことがある人も多いのでは無いでしょうか。
それだけ有名なデッドリフトですが、どうやるのが正しいのか、どの筋肉に効果があるのかをしっかり理解して実践出来ていますか?
正しいフォームでやっていないと効果も弱くなりますし、怪我のリスクもあります。何となくでやっているとよくありません。
今回の記事では、デッドリフトの種類とやり方、そして正しいフォームについて解説していきます。
目次
デッドリフトの種類に共通して鍛えられるのは、主にもも裏(ハムストリング)・お尻(大臀筋)・腰(脊柱起立筋)・背中(僧帽筋。広背筋も多少関係します)です。
加えて、フォームの違いによって、前もも(大腿四頭筋)・内もも(内転筋)を鍛えることが出来ます。
デッドリフトで起きやすいエラーは、以下の3点です。
それぞれ1つずつ見ていきましょう。
この状態は、最初のポジションが間違っているか、フォームの入り方がおかしいことを表しています。
鏡で横を見ながらやっていただければ、腰が丸まってる=腰椎の部分が丸まってるということが分かるかと思います。
腰が丸くなる理由は、以下の2パターンに分けられます。
・背中の筋肉が弱くて背中をまっすぐ保つことが出来ない
意識でどうにかなる部分ではありますが、背中の筋肉が弱い人や猫背の人には厳しいかもしれません。
・もも裏の筋肉が硬すぎて骨盤が後傾し、つられて腰が丸まる
一番多いのはこのケースです。この状態でデッドリフトをやると確実に腰を痛めます。
腰を丸めるのは、上級者であれば別ですが初心者は決してやらないようにお願いします。
※バーの位置が体に近いほど重いおもりをつけて上げられるようになるので、近づけるために腰を丸めるテクニックを上級者は使いますが、決して健康ではありません。
バーが腰から離れるほど、てこの原理でおもりの負荷はあがり、腰への負荷も上がります。
怪我のリスクが上がるため、バーがスネに当たらない程度の位置に調整してください。
デッドリフトは、バラバラに身体を動かす(例:腰を先に上げて肩を上げる)と、特に腰に瞬間的に負荷が強く掛かってしまいます。
原則として、肩から上げるようにしてください。
※実際に試して調節した方が良いため、分からない方は近くのトレーナーに相談しましょう。
ここまで、よくないやり方やフォームについて説明してきましたが、では実際どうやったら良いのでしょうか。怪我のリスク以外にもフォームを直すべき理由はあるのでしょうか。
デッドリフトは主に体の背面部をしっかり鍛えること出来るトレーニングなので、以下のようなメリットがあります。
・姿勢不良の改善(猫背など)
・複数の筋肉/関節を大きく動かしてエネルギーを大量に使うため、ダイエットにも効果的
・女性の場合、形の良いお尻やお尻からももにかけてのラインを綺麗に出来る
・男性の場合、厚みのある背中も作ることが出来る
このようなメリットがあることを頭に入れて、いざフォーム改善に挑みましょう。
腰が丸まるのを防ぐには、基本的なデッドリフットの動きを最初にやることです。
具体的には「ヒップヒンジ」をやることでデッドリフトの動きを綺麗に再現することが出来ます。
*膝が内側に入らないようにすること。
*写真のようにももの付け根に手を当てて、はさむようにして行うとわかりやすくなります。
ヒップヒンジの動きをしてみて股関節を90°ぐらいまで曲げられない方は、もも裏の柔軟性が足りていないので、もも裏のストレッチやモビリティエクササイズなどにまずは取り組むようにしましょう。
もしくは、後ほど紹介するルーマニアンデッドリフトから入るのもおすすめです。
(※ヒップヒンジのおもりを持ったバージョンのようなイメージです)
その種目をすることでもも裏の柔軟性を上げつつ筋肉も助けることが出来ます。
まとめると、以下の通りです。
・デットリフトが出来ない
→ヒップヒンジをやってみる
→どうしてもできない場合、ルーマニアンデッドリフトを試してみる
初心者の方にオススメするのがルーマニアンデッドリフトです。
使える筋肉はメインがもも裏とお尻、と背中(僧帽筋と広背筋)です。
簡単に言うと、デッドリフトの逆バージョンで、バーを上の位置から上げて下にゆっくり下ろしていきます。この時、バーを持ってヒップヒンジの動きをするようにしてください。
やり方が2種類ありますが、バーが多少体から離れてもいいので背中は多少まっすぐにして行う方法が良いかと思います。
背筋を伸ばして行うので背中の筋肉を鍛える効果が高いため、初心者や腰が怖い方且つ背中もしっかり鍛えたい人に向いています。
この種目の最大のメリットは、ももの筋肉の柔軟性を上げつつ鍛えることが出来る点です。そのため、デッドリフトの導入として非常におすすめです。
動きはヒップヒンジと同じなので、まずは鏡を見てヒップヒンジの動きを確認してからやるようにしましょう。
伸ばす時に負荷を上げる種目なのですが、最初全然下ろせない方でも、やっていくうちにバーが深くまで下ろせるようになります(柔軟になっていく)のでご安心ください。
ノーマルのデッドリフトで、主に背面部全体(もも裏、おしり、腰、背中)を鍛えることが出来ます。
ルーマニアンデッドリフトと似た動きをする種目なのですが、2つの違いがあります。
・下から上にバーを引き上げる
・ひざ関節の屈曲がルーマニアンデッドリフトよりもはるかに大きい
このとき前ももの筋肉も多少使うので、大腿四頭筋を少しだけですが鍛えられます。
非常に良い種目なのですが、様々あるデッドリフトの中でも一番怪我をしやすいので注意が必要です。
怪我が起きるのは、以下の原因が考えられます
・背中の筋力が足りずに、スタートのポジションの時点で姿勢をとることが出来ない
・股関節の筋肉の柔軟性が足りずに腰が丸まってしまい、骨盤が後傾してしまう
・股関節の可動域が詰まった感じがして、正しいフォームが取れずに腰が丸まる
代表的なのはもも裏の筋肉の柔軟性不足で、ストレッチやモビリティエクササイズ、セルフマッサージなどで改善することが出来ます。
3つ目については、前ももの筋肉や股関節の腸腰筋の柔軟性が不足しているのが原因のため、
腸腰筋や前ももののストレッチやセルフマッサージをすると良いでしょう。
ワイドスタンスデッドリフトとも呼ばれる、足を思いっきり開いてやるデッドリフトです。
具体的には足を開いて、バーは肩幅くらいに握ります。膝が絶対に内側に入らないようにしながら、引き上げるように動作します。
メリットは
・ももの柔軟性がない人でも実施しやすい
・下半身の筋肉(内ももや前もも)を使う度合いが大きく、腰への負担も軽減される
などが挙げられます。
一見おすすめのように聞こえますが、股関節をしっかり開けない方がやると、ひざ関節を怪我する確率が上がります。
この種目中ずっと足を開きつま先もある程度開いた状態でやるのですが、上げる/下げる途中に膝が少しでも内側に向いてしまうと、膝の関節を怪我する可能性に繋がります。
余談ですが、胴が長くちょっと手足が短い日本人にとっては、結構重いおもりを上げやすい種目です。なので、重さを追求する方はこの種目を採用する方がとても多いです。
別名トップサイドデッドリフトと呼ばれ、初心者の方や背中だけを鍛えたい方におすすめの種目です。
やり方は、以下の通りです。
・高めの位置(膝上くらい)にセーフティーバーを設置してバーを乗せ、
・バーをラックから引き上げます。なるべくちょっと体から離した方がいいです。
・その状態でバーを引き上げます。
・一番トップポジションになった時に肩甲骨をぐっと思いっきり寄せます。
・そのあとにまたゆっくりとバーを元に戻します。
※戻す動きの際に背中の筋肉に思いきり刺激がかかります。
メリットは、重いおもりを使うことで、サイズの原理によって背中を効果的に鍛えることが出来る点です。物理的な刺激を筋肉にあたえてサイズの原理によって背中のボリュームを増やすことが出来ます。
また、普通のデッドリフトよりも可動域が狭いため初心者にもおすすめです。
どうしても床からデッドリフトが出来ない方はラックプルで慣らして、徐々にバーの位置を下ろしていく特訓することをおすすめします。
デメリットは、意外と重いおもりは誰でも持ててしまう点です。
腰に負担がかかる種目なので、身の丈に合わないおもりを使うと腰を痛めるためご注意ください。
また、本当にもも裏が固い人ですとラックプルでも実施が出来ない方もいますので、適当にやらないように腰の位置・丸まり具合を意識しながら実施するようにお願いします。
デッドリフトを正しいフォームで行うべき理由、リスク、そしてデッドリフトの種類とそのやり方について説明してきましたが、意外と奥が深いと感じていただけましたでしょうか。
重要なことは
・正しいフォームで行うこと
・柔軟性が低い方は、まずは柔軟性を高めること
→ヒップヒンジを試してみる
→ルーマニアンデッドリフトを試してみる
→ラックプルで特訓してみる
・デッドリフトにも種類があり、効果が違うということ
デッドリフトをやる際は怪我なく最大限の効果を発揮できるように、ご説明した内容を年頭にトレーニングしてみてください。