ボルダリングは筋肉を使うスポーツであるため、筋肉痛になるのは当然だといえます。
しかし、普段スポーツをしない人は、筋肉痛になると辛いと感じたり、なぜ筋肉痛になるのか疑問を抱いたりするケースもあるでしょう。
そこで筋肉痛の原因や対処法、早期に回復する方法や予防法について解説します。
ボルダリングは全身の筋肉を使うスポーツであり、基本的に筋肉痛になるものです。
筋肉が弱い女性である、初心者であるといった理由で筋肉痛になるわけではありません。
筋肉痛になることは、体や筋肉に悪影響を与えるものではないため、安心してボルダリングを楽しむためにも筋肉痛について知識を身につけておきましょう。
ボルダリングで筋肉痛になりやすい部位はどこなのでしょうか。また、筋肉痛になる原因も解説します。
ボルダリングで使う体の箇所は、主に胸筋、腕筋、指先、下半身であり、筋肉痛になりやすいのは肘から指先までの前腕と、肘から肩にかけての上腕、背中や肩が挙げられます。
足の筋肉を使って登れるほど技術が向上すれば、腕の筋肉への負担が軽減され、全身の筋肉で上半身を支えられるようになるでしょう。そのため、どこかピンポイントで筋肉痛が起こることは予防できます。
ボルダリングをした際に最も筋肉痛が起こりやすいのは、肘から指先にかけての前腕です。
腕の力でホールドを保持することが理由ですが、ボルダリングの技術が向上するにつれて全身の筋肉をしっかりと使えるようになるため、前腕の筋肉痛も軽減されることが特徴です。
ボルダリングで前腕の筋肉痛が起こりやすいのは、指を曲げる動きをするためであり、指の筋肉を使ってホールドを握るときに前腕に繋がる筋肉を使用します。レベルの高いボルダリングを行う場合は持ちにくいホールドもあるので、さらに指に力が入るのです。
そのため、ボルダリングでどのように全身の筋肉のバランスを取れば良いのか分からない初心者だけではなく、ボルダリングに慣れている人や上級者であっても筋肉痛になりやすい場所です。
ボルダリングは腕の筋肉を中心に、全身の筋肉を使って壁を登るスポーツです。そのため、特に力が集中する肘から肩にかけての上腕、上腕につながる胸筋も筋肉痛になりやすいといえます。
ボルダリングのテクニックが身につくと、ムーブも正しく利用できるようになります。
そのため、背中や肩の筋肉痛が起こりやすくなることが特徴です。背中や肩は、ムーブを正しく使用できる人が筋肉痛になりやすい部位だといえるでしょう。
筋肉痛は痛みを伴い、思うように体を動かせないケースも多いです。
しかし、筋肉痛になることで得られるメリットもあります。主に2つのメリットについてチェックしておきましょう。
筋肉痛になることによって、自分がボルダリングで体のどの場所を中心に使っているのかが分かるようになります。
例えば、腕は筋肉痛になるのに下半身は筋肉痛にならない場合は、腕の筋肉だけで登っている状態です。下半身にも力を入れて全身のバランスをとることによって上達できるといった、コツがつかめるようになるでしょう。
筋肉痛になる前と比較して筋繊維がダメージを受け、補修される段階で強くなるため、「ダメージを受ける→補修」を繰り返すことによって筋肉が強くなり、筋肉の増強につながるでしょう。
トレーニングを積んでいるプロのスポーツ選手も、強い負荷をかけて筋繊維にダメージを与え、回復する過程で筋肉を鍛えるという方法を実践しています。
筋肉痛は病気でもなく、筋肉に悪影響を与えるわけでもありません。また、初心者だから筋肉痛になってしまうといったこともないのです。
しかし、筋肉痛は痛みを伴うため、可能な限り早く回復したいと考える人が多いでしょう。そこで、筋肉痛から早く回復するための6つの方法をご紹介します。
筋肉痛は、筋肉が損傷しており修復に向かっている途中の段階です。そのため、筋肉痛を実感している時には筋肉に負荷をかけないようにして、しっかりと休ませましょう。
動けないほどの痛みがある場合、体が動くことを拒否しているという状態です。ダメージを受けた筋繊維を修復するためにも、無理に筋肉を動かさずに安静にしましょう。
筋肉痛は、ダメージを受けた筋肉を修復している過程であるため、筋肉の補修に必要な栄養を摂取することも重要です。栄養を摂取することで修復の時間を早めたり、しっかりと筋肉を修復して強くしたりといったことにもつながります。
ボルダリングのために筋トレをしている場合はプロテインといったタンパク質を積極的に摂取することがポイントです。筋肉を補修することによって、次にボルダリングをした際により高度な動きにチャレンジできるようになるでしょう。
プロテインは苦手という場合は、タンパク質を多く含む食品を取り入れましょう。手軽に摂取できる食品としては鶏肉や卵が挙げられます。さらに、ドラッグストアやコンビニで販売されているゼリー飲料で栄養を摂取する方法も有効です。仕事が忙しく食事を意識するのが難しい場合には、便利なゼリー飲料を活用しましょう。
筋肉痛で全身が傷んでいると安静にすることを重視してしまい、一切動かないというケースもあるでしょう。
ある程度安静にする必要はありますが、筋肉痛が治るまでの期間放置すると、次にボルダリングをする際に動きにくくなる可能性があります。
筋肉は伸縮するものであり、筋肉を使わなければ動きが鈍くなるため注意が必要です。しかし、筋肉痛になっている時には運動をするのではなく、マッサージで筋肉をほぐしましょう。
力を加えずにマッサージをして、筋繊維を1つ1つほぐすようなイメージでマッサージをします。マッサージをする際には、筋肉に負担をかけるのではなくゆっくりと行い、気持ち良いと感じる程度に揉むことがポイントです。
手が届かない箇所も筋肉痛になっている場合、マッサージ専門店や整体に行ってマッサージを受けるのも良いでしょう。筋肉痛になった経緯や痛む場所を相談することで、筋肉痛に適したマッサージを受けられます。
手でマッサージをする以外にも、適度にストレッチをする方法も有効です。ストレッチによって張っている筋肉がほぐれるため、伸縮性が良くなります。
さらに、血流も促進されることで全身の血液が循環し、筋肉にも栄養素が届きやすくなる点もメリットです。筋肉の回復を促すためには、栄養素を運搬することは非常に重要だといえます。痛みを感じない程度にストレッチを行いましょう。
ストレッチを行う際には、息を止めてしまうと全身の筋肉が硬くなるため、息を吐いてゆっくりと伸ばしながら、時間をかけて行うことがポイントです。
筋肉は温めることで伸びる特徴があります。そのため、温めることで筋肉がスムーズに動くようになり、筋肉痛の回復につながるでしょう。
また、ボルダリングを行う前に温めることで、ケガの予防になるといったメリットもあります。筋肉を温める方法は、適度にストレッチをするだけではなく、外側から熱を加える方法も有効です。
普段はシャワーで済ませている場合も、筋肉痛になっている時には湯船に浸かって温めましょう。筋肉を温めると、血流の促進にもつながるため、栄養を届けて筋肉の回復を促す効果も期待できます。
筋肉痛になっている時には、筋繊維を修復するためにしっかりと睡眠をとることが重要です。睡眠をとっている際には、細胞を修復する役割を果たす通称「成長ホルモン」が分泌され、筋肉を含め細胞を修復するため、筋肉痛をスムーズに治す効果が期待できます。
しかし、夜遅くまで仕事をしている、寝つきが悪いという人も多いでしょう。しっかりと睡眠をとるためにも、温かいお湯にゆっくりと浸かり、体を温めて入眠しやすくするなど工夫が必要です。湯船に浸かることで筋肉を温められるうえに、睡眠を促すという2つの効果が期待できます。
次にボルダリングに行く時に、筋肉痛を起こさないための方法を紹介します。
ボルダリングをした後は、筋肉が熱を持っている状態です。筋肉に保冷剤を当てたり袋に氷を入れて冷やしたりと、アイシングをすることによって痛みが伝わりにくくなるうえに、筋肉に起こっている炎症も和らげる効果が期待できます。ボルダリングした後、1回10分程度、2回行うと良いでしょう。
しかし、アイシングすることによって血流が悪くなるため、筋肉痛になりそうだと感じる時やボルダリングをした直後に筋肉が痛む時にのみ行いましょう。
筋肉の多くは水分でできており、水分が不足すると筋肉が硬くなります。ボルダリングの後に喉が乾いている場合は、水分が不足している状態であるため、可能な限り水分補給をして筋肉を含めた体の機能を高めましょう。
水分不足の状態では筋肉の補修にまでエネルギーが使われず、筋肉痛が起こりやすくなります。
ボルダリングをした直後は、動けないほどの筋肉痛でない限り、アクティブに動くことを意識しましょう。軽く腕立てをしたりスクワットをしたり、普段エスカレーターやエレベーターを使っている場所で階段を使用したりといった方法が有効です。
食品から摂取できる栄養素には、筋肉の中にあるタンパク質の分解を抑える作用があり、筋肉痛を予防できる栄養素が存在します。筋繊維の修復をサポートするマグロや牛肉といった赤身、牛乳に含まれるBCAA などです。
特に、BCAA については体内で自然に生成されないうえに、ボルダリングをしている際に消費されます。そのため、ボルダリングを行う前に、サプリメントや食事から摂取する方法が有効です。
さらに、日頃からバランスの良い食生活を意識することによって、筋繊維が丈夫になりダメージを受けにくくなるため、筋肉痛の予防につながります。タンパク質を含めて、糖質やビタミンなど様々な栄養素を積極的に摂取しましょう。
筋肉痛を予防するためには、普段から運動することを心がけて、筋線維を太く丈夫にすることがポイントです。筋肉を使用しておらず慢性的な運動不足の場合、筋線維が弱くなり、ボルダリングで若干負担がかかるだけでも筋繊維がダメージを受けます。
そのため、筋肉を使用する有酸素運動を取り入れる、ジムに通うなど運動不足を解消しておきましょう。
ボルダリングの前にはしっかりとストレッチを行っていても、ボルダリング後に丁寧なストレッチをしていない人が多いです。ボルダリングの前と後では、ストレッチの目的や意味も違います。
ボルダリングをした後は筋肉痛を予防するためにも、全身のストレッチをすることが理想です。ただし、時間がない場合は、下半身や腕など筋肉痛になりやすい部分だけでもストレッチを行いましょう。
ボルダリング後に重要なのは、肩とふくらはぎのストレッチです。肩のストレッチ方法は、両手を組んで上に大きく伸ばし、その状態で左にゆっくりと体を倒します。右側も同じように体を倒して、筋肉を伸ばしましょう。
次にふくらはぎのストレッチ方法す。立った姿勢で左足を半歩前に出し、つま先を上に向けて背筋を伸ばします。お尻を後ろに引いて、ふくらはぎを伸ばしましょう。バランスが取れないのであれば、壁に捕まる、もしくは両手は腰に置いて行います。
日頃から運動をしていない人が筋肉痛になると、どのように対処すれば良いのか、どのように予防すれば良いのか分からないというケースも多いです。
しかし、筋肉痛のケア方法や予防方法を知ることによって、辛い筋肉痛も乗り越えられます。筋肉痛に関する知識をしっかりと身につけ、対処法や予防法を実践することが大切です。筋肉痛みに悩まされず、ボルダリングを楽しみましょう。