東京オリンピックの競技種目の1つに選ばれた「スポーツクライミング」の影響もあり、その中の1つである「ボルダリング」の注目度は日に日に増しています。これを機に、新たにボルダリングを始める人も多いのではないでしょうか?
しかしボルダリングはハードなスポーツのため、怪我や故障、疲労の蓄積と隣り合わせで、一人ひとりの成長スピードに合わせて、練習頻度や練習メニューをコントロールする必要があるのです。
果たしてボルダリングが上達するにはどのくらいの頻度で練習をすれば良いのでしょうか?上達スピードが加速するトレーニングのコツと合わせて紹介していきます。
はじめにボルダリングの上達が速い人の特徴について解説していきます。
練習頻度やトレーニング以外にも、上達が早い人に共通する特徴があるので、ボルダリングを上達したい人は確認しておくことをおすすめします。
ボルダリングははじめのうちは良いですが、レベルが上がるに連れて必ず課題があらわれます。ボルダリングという競技は、何度も反復練習する中で、体にムーブや同じルーチンをしみこませながら練習する方法が最も大事な要素と言われています。
初心者にありがちなのが、一度出来たからといってすぐ次の課題に進んでしまうことがあります。一度登れただけで、次も同じ課題を登れるとは限りませんし、偶然を必然に変えられるくらい徹底して体に動きを覚えさせる必要があります。
そのため目の前の課題から逃げずに、淡々とクリアすることが出来る人は上達スピードも速くなります。失敗を恐れず積極的に課題にチャレンジしましょう!
「一人で練習するのが好き」「黙々と登りたい」
このようなやり方が好きな人もいるかもしれませんが、ボルダリングを練習する際に、一人で淡々と練習をしていても上達するまでに時間がかかってしまいます。
なぜならボルダリングは腕力や脚力だけで登るものではなく、頭で戦略を考えながら登ることも必要な要素とされており、上手い人からテクニックやコツなどを教えてもらうことで成長を加速させることができるのです。
上級者であれば、コース選択(オブザベーション)やムーブについての知識や経験もありますので、それらを吸収することで効率よく状態することができます。また、上級者だけでなく、同じレベルの人と切磋琢磨しながら技術を高め合うことで、実力以上の力が発揮できると言ったこともあります。
ボルダリングを上達させたいのであれば、周りの人と積極的にコミュニケーションを図るようにしましょう。上達するには、上手い人に聞きながらセッションすることを欠かしてはいけません。
ボルダリングでは反復練習が大切な要素ということはお伝えしましたが、新しい課題に挑戦せず現状で満足していては上達することはありません。そのためボルダリングは、「常に挑戦できる人」や、「負けず嫌いな人」など、上を目指したいと思っている人に向いているスポーツであると言えます。
人によっては一度失敗してしまうと、人前で失敗するのが怖くなってしまったり、落ちることが嫌で簡単な課題ばかりやる人もいるほどです。
ボルダリングでは、「落ちた箇所=強化すべきポイント」と割り切り、積極的に上を目指す向上心を持って練習に取り組むようにすると上達スピードも速くなります。
上達するのが速い人がいる一方で、やはり上達が遅い人という人も現れます。早くボルダリングが上達するように、上達が遅い人に見られる特徴についても把握しておきましょう。
初心者がボルダリングを始めると、どうしても腕の力だけで登ろうとしてしまい、早い段階で疲労が蓄積しがちになります。
この方法だと、はじめのうちは力ずくで登ることが出来ますが、上級になるにつれてクリアが難しくなってしまいます。
ボルダリングは腕や手だけの力ではなく、上半身や足も上手く使いながら全身を活用して挑むことが求められます。もちろん身体の使い方も大切ですが、「ムーブ」(ダイアゴナル・ヒールフック・キョンなど)や「ホールドの掴み方」をマスターすることも上達の近道になります。
そのため基本的なテクニックを無視して練習を続けていても上達することは難しいと言えるでしょう。
一度出来た成功を誰かに教えたくなることは当たり前ですよね。
先ほど上達が速い人の特徴の際にも触れましたが、コミュニケーションをとることで上達が早まったり、他人と教え合うことでボルダリングに対する理解度が深まったり、成長スピードがぐんと伸びることはあります。
もちろん誰かに教えることも悪いことではなく、指導を通して登り方の再認識ができるため、上達するうえでは必要な要素になります。しかしここで危惧しなければならないのは、「誰かに教えている=自分はボルダリングができている」と錯覚を起こしてしまうことです。
このサイクルに陥ると、人前で失敗するのが怖くなったり、恥をかくのが嫌になってしまったりと成長がストップしてしまいます。教えることも良いですが、自分の成長の妨げになるおそれもありますので、ほどほどにしておくとよいでしょう。
初心者であればコースが上級になるにつれ、一回で登りきることはとても難しくなります。そのため反復練習や基礎動作の見直し、課題への取り組みなど、地道な努力が同時に必要となるのがボルダリングという競技です。
再三お伝えした通り、課題をやらなくなったり、反対に一度出来たからといって課題に取り組まなくなったりと、粘り強くなかったり、諦めるのが早い人では上達することはありません。
もちろん怪我や体のケアのために課題を避けるということであればそれは良いことです。しかし、単に「辛いから」や「苦手だから」という理由で諦めてしまうのであれば、ボルダリングの上達は極めて困難になります。
ボルダリングの上達速度が速い人と遅い人を見比べてみると、ボルダリングを練習する「頻度」が重要な要素となります。
そこで本章では、ボルダリングの練習頻度によってどの程度の上達が期待できるのかを解説していきます。
月2〜3回となると、週に1回通うかどうかになりますので、ボルダリングが上手くなりたいという話であればかなり難しいでしょう。初心者の場合はボルダリングの基礎や技術が体にしみついていないので、トレーニングから時間があいてしまうと、せっかくの体の使い方やコツを忘れてしまいかねません。
ボルダリングは1回あたり2〜3時間の練習が限界のスポーツであり、上達するまで反復練習を必要とするため、月2〜3回の練習となると、前回の勘を取り戻すだけで終わってしまいます。
ボルダリングの初心者レベルをキープしたいのであれば、週1回を目安にクライミングジムに通うと良いでしょう。理想的な回数としては筋肉痛や体のケアも含めて週2回通いたいところですが、時間が取れない人のことも考慮して週1回で現状維持することを目標としましょう。
ただし、この練習頻度の目安はあくまでも“初心者レベルの現状維持”が期待できるほどです。初心者であれば、手の皮が痛くなったり、疲れが取れないこと、練習自体が長時間おこなえないことも想定されます。
そのためまずは週1回の頻度で様子を見ながらトレーニングして、確実にボルダリングの基礎や登り方をマスターするようにしましょう。週1回の練習頻度しか確保できない場合は、継続的にトレーニングをすることで、回数の穴埋めをすることも1つの手段です。
ボルダリングを上達させたいのであれば、週2〜3回がベストです。
週2回であれば先ほどの筋肉痛や体のケアも含めながらトレーニングすることが可能となります。より上級者を目指すのであれば、週3回、練習する時間としては1〜2時間を目安にトレーニングすることをおすすめします。登るコツや反復練習を体に覚えさせるには、この頻度で通うと人が一番多いようです。
また週2〜3回の複数回となると、日によってトレーニングの内容を変えることができます。例えば、パワー系やバランス系でトレーニングをわけてみたり、課題の反復練習と新しいステージへの挑戦でトレーニングの質を変えてみるのも上達スピードを高める工夫の1つになります。
上達したいからといって週4回以上クライミングジムに通うのは注意が必要です。
「練習すること=上達に近づく」と考えがちですが、トレーニング用語のなかに「オーバーロードの原則」という言葉があります。
オーバーロードの原則は「過負荷の法則」とも呼ばれ、さらにパフォーマンスを高めたいのであれば徐々に負荷を上げたり、回数を増やすことで、筋肉に刺激を与えて限界点を高めていくことを指しています。
しかしただ負荷を増やせばいいというわけではなく、練習回数が増えれば必然的にオーバーワークが予想され、怪我や故障するリスクも高まります。そのため早く上達したいからといって無理をしたり、過度な練習はデメリットに繋がりますので、練習頻度を調整しながら着実に上達することを目指しましょう。
ボルダリングを上達させようと思ったときに、トレーニングする最適な頻度は週2〜3回(3回であれば月水金のようにコンスタントに練習することが可能)がおすすめです。
最適な頻度と合わせて大切な要素となるのは、上達に効果的な練習メニューはどんなものか、また最適な練習頻度を保てない場合はどうすればよいかについて紹介していきます。
上達に最適な頻度の日数を「週3日」であると仮定した場合、具体的にはどのようなトレーニングをこなすことが効果的なのでしょうか。
ボルダリングは長所・短所が顕著化しやすいスポーツになります。再三お伝えしている通り、ボルダリングを上達されるためには反復練習や筋力や持久力を高めるトレーニングだけでなく、超回復を促す休養も大切なトレーニングの一部になります。
そのためより効果的なメニューとするために休養日であっても、ストレッチをしたり、家で筋トレをしたり、できる努力をすることが上達する一歩となります。
週に2〜3回の練習をすることが理想的な頻度と言われているものの、仕事などで練習時間が確保できないときは、どのような工夫をすれば上達するのでしょうか。ここではいくつかの具体的なアイデアを列挙しておきます。
○自宅に簡易的な登れる壁の商品を設置する
ジムに行く時間はないけど、自宅にボードや壁があればと思ったことはありませんか?
近年では、自立式ボルダリングボートを設置することが可能です。
自立式ボルダリングボートであれば、状況に応じて壁を移動できたり、手間なく設置できたり、簡単に購入することができるなど、多くのメリットを有したトレーニング器具になるため、時間が作れない人でも効果的に練習することができます。
○筋トレにはげむ
筋トレと言ってもどこをトレーニングすればよいのでしょうか。
まずは「体幹」です。
体幹を鍛えることで安定的な姿勢の維持が可能となるとともに、無駄のない動きを作り出すことができます。ボルダリングは体の負荷が少なければ少ないほど、長時間のクライミングが可能となり、技術の向上や上達に直結します。
その他にも鍛えるべき箇所は「手(指)の保持力」や「広背筋(引き付け力)」になります。ボルダリングを登るときは、指の関節でホールドに固定する保持力や、保持した身体を壁の上方へ推進させるために必要な引き付け力は重要な要素と言えます。これらの部位を鍛えるには、砂や水の入ったペットボトルや近所にある公園の鉄棒などを活用してトレーニングすることができます。
数少ないトレーニングをより濃密なものにするために、体力をつけることもおすすめです。ランニングやウォーキングであれば、どこかに通う必要がなくおこなえるため、コンスタントに通うことが難しい人でも最適であると言えます。
今回はボルダリングを上達させるためにどのくらいの頻度で練習するべきか、また少しでも早く成長するにはどんなトレーニングを心がければ良いかなど、上達が速い人・遅い人の特徴も含めて紹介してきました。
本稿では週3回のトレーニングを上達するベストな回数と推進し、効果的な練習方法や理想的な練習頻度を補助するメニューを記載しました。もちろん初心者であれば、初めから無理するのでなく、ボルダリングの基礎やマインドを持つことから始めても良いかもしれません。
手足の使い方や登り方も大切な要素ですが、「上達したい!」という気持ちや意志も大事な項目の1つになりますので、諦めずにトライすることをおすすめします。