ボルタリングは難易度が低い課題のうちは腕力や脚力のみで登れる方もいるかもしれません。しかし、ボルタリング初心者の方が意識しておきたいのは、初心者のうちに基本的な登り方を習得しておくということです。
ボルタリングでは腕力や脚力も大切ですが、それ以上に全身に負荷のかかりにくい登り方を身につけることが重要です。
このポイントをおろそかにすると、すぐに腕がパンパンになったり、最悪の場合は大きなケガにつながったりする可能性もあります。そこで今回は初心者から中級者の方に役立つボルタリングの登り方、コツ、テクニックなどを徹底解説します。
目次
先にポイントをお伝えしますが、ボルタリングの基本姿勢は、以下の3点を強く意識しておくことが大切です。
それでは、理解して実践に活かせるように、ご説明をしていきます。
ボルタリングは極力、腕の筋肉にかかる負荷を軽減する必要があるため、下半身をいかに上手く使えるかがカギを握っています。
良い例をひとつ挙げるとチンパンジーの木登り。
チンパンジーは握力が約200㎏~300㎏と、人間(日本人男性20代)の約5倍ほどありますが、実は木登りをするときは上半身(腕)にほとんど力を入れていません。このチンパンジーの木登りの特徴は、ボルタリングにもそのまま活かすことができます。
では上半身に力を入れずに、どうやって登るのか?ここで利用したいのが下半身の力です。
前述のようにボルタリングは「腕は伸ばす」「足は曲げる」というのが基本です。
この2点を意識することで、自然と自分の体重は下半身(足)で支えられるようになります。
足、特に太もも部分の筋肉量というのは腕の筋肉量の数倍あります。そのため、上記のような基本姿勢をとってもかかる負荷は少ないです。
もともと私たち人間は日常生活において下半身で体重を支えていますので、ボルタリングの基本姿勢でもできるだけ同じような箇所(部位)に負荷をかけることが重要となります。
ボルタリングは全身の細かい筋肉を効率的に使う全身運動です。
そのため、上手く登れない、登れなかったという壁に当たったときは各部位の体の使い方などを見直すようにしましょう。登れないときに見直しておきたい主なポイントは以下のとおりです。
前述のようにボルタリングは全身を使って行うものですから、どこかひとつでも間違ったポイントがあると、上の課題にいくにつれて「次のホールドに手が届かない」「上半身(腕)が疲れてきた…」「体のバランスが崩れて安定した姿勢を保てない…」といった弊害を招くことになります。
そのため、現在ボルタリングが上手くできないという方は、このあとご紹介する各部位の効率的な使い方を参考にしてみてください。
ボルタリング初心者で最もありがちなのは「すぐに腕が疲れて力が入らなくなる…」というものです。先ほども解説したようにボルタリングでは上半身の使い方を間違うと、短時間で腕の疲れを招くことになります。
これではボルタリングの技術を高めるのは困難なため、初心者のうちから正しい腕の使い方をしっかりと覚えておきましょう!
ここでは腕の使い方で重要なポイントをいくつかまとめましたので解説します。
ボルタリングでは上半身に過度な力を入れるのは逆効果です。初心者の方は落下という恐怖感がどうしてもあるため、ホールドをつかむときに上半身(腕)に力を入れがちです。
しかし、これでは常に腕に負荷がかかっている状態ですから短時間でのパンプアップ(腕がパンパンになること)を誘発させます。そのため、ボルタリングを行うときは上半身の力は抜き、下半身で自分の体重を支えることを意識しておきましょう。
もちろんホールドも力強く握る必要はありません。種類にもよりますが、ホールドは「指で引っ掛けるイメージ」を意識してください。これだけで腕の筋肉のエネルギーは十分に温存することができます。
こちらも基本姿勢の項目で解説しましたが、ボルタリングでは基本的に「腕を伸ばす」ことを意識しましょう。これは腕を曲げたままの状態だと下半身に上手く体重がのらず、全身の体重を腕で支えることになってしまうからです。
腕を伸ばすという基本ができていると、腕の負担を下半身にも分散できますので、長い時間登ることも可能になります。
前述の「脱力姿勢」に関連したテーマですが、上半身と壁の距離感はできるだけ近いほうが好ましいです。これは上半身と壁の距離が短いと、腕にかかる負荷を軽減できるからです。腰を壁にひっつけるようなイメージで行うようにしましょう。
ムーブを考えるときは、この基本姿勢の状態を維持しておくと、体力や筋力を温存することができます。
また上半身と壁の距離が近いと、次のホールドに手が届きやすいというメリットもあります。ただし、ムーブを起こすときは壁から体を離したほうがよいケースもあります。具体的には次のホールドが遠いときに、体を一旦壁から離してその勢いでホールドをつかみにいくときなどが該当します。
ボルタリングではすべての動作に対して「上半身と壁との距離は短く」とはいえないため、壁との距離感は状況に応じて柔軟に変化させるようにしましょう。
ボルタリング上達のコツは足の使い方です。足を上手く使うことができれば、上半身の負荷も軽減させることが可能になり、長い時間登れるようになります。ここでは足の基本的な使い方などを解説します。
ボルタリングは上へ、上へと登るため、初心者の方はどうしても次のホールドばかりに視線がいきがちです。その結果、不安定なホールドに足を置いてしまったり、体勢がツラくなる位置に足を乗せてしまったりという弊害を引き起こします。
これだと上半身にかかる負荷も大きくなるため、長時間登ることは難しくなります。そのため、ムーブを起こす前には足元をしっかりと見て、体のバランスがとりやすい位置を見極めるようにしましょう。
難易度が低い課題の場合は、ホールドに足裏全体をかけられることもあるかもしれません。しかし、難易度が高くなってくると、ホールドの大きさや形状も複雑になってきます。そのため、ボルタリングでは足の置き方に関するテクニックがいくつか存在します。
そのうちのひとつが「ホールドにはつま先を置く」というものです。ホールドにつま先や爪先のみを置くメリットについてですが、小さなホールドにも足を置ける、足や体の向きを変えやすい、足の入れ替えがしやすいなどがあります。
前述のようにボルタリングでは難易度が高くなるほど、小さなホールドが増加しますので、初心者のうちからつま先のみを置くテクニックを習得しておくことは非常に大切です。
また、ボルタリングは真上だけではなく、左右に体の向きを変えてムーブを起こさなければならないケースも多々あります。つま先立ちはこの体の向きや足の向きを容易に変えやすいという効果が期待できます。
そしてボルタリングではひとつのホールドで左右の足を入れ替えるテクニックも求められることがあります。このようなときもつま先立ちの状態だと、スムーズな足の入れ替えが可能になりやすいです。
次のホールドへ移動するときは「足→手→足→手」の順番を意識しておきましょう。つまりこれは足の筋肉を使って体を持ち上げ、次のホールドへ登るということです。
またこのときに大切なのが右足で登ったら右手でホールドをつかむ、左足で登ったら左でホールドをつかむということです。ボルタリングに慣れていない初心者の方は左足で上がり、右手でホールドをつかみにいくなど左右の手足を使って登ることがあります。
これは無意識のうちに行っている動作だと思われますが、このような手足の使い方は重心が左右に振られるため、不安定な状態に陥りやすいです。このような理由からムーブを起こすときは「足→手→足→手」「左足左手(右足右手)」の順番を守るようにしましょう。
つま先でホールドにのっかる感覚がつかめたら、基本的なフットワークの練習も行ってみましょう。
ボルタリングのフットワークにはさまざまなテクニックがありますが、ここでは基本中の基本ともいわれるインサイドエッジング、アウトサイドエッジングの2つをご紹介します。
インサイドエッジングはおそらく最も多く使われるであろうフットワークのひとつです。インサイドエッジングとはつま先の内側、親指の部分でホールドに乗るフットワークのことを指します。
インサイドエッジングのコツは、足の親指の付け根付近(拇指球)をホールドに乗せることです。ボルタリング用のシューズの多くは拇指球に力が入るように設計されているため、正しいインサイドエッジングを習得すれば体の安定へとつなげることができます。
アウトサイドエッジングはインサイドエッジングとは逆、つまり足の外の小指側をホールドに乗せるフットワークです。
アウトサイドエッジングは主に前傾壁で遠いホールドをつかみにいくときに用いるフリ、片方の膝を落とすキョン(ドロップニー)などを行うときに重宝されることが多いです。
やり方や要領はインサイドエッジングと同様ですので、インサイドを覚えたらアウトサイドの練習にも取り組んでみましょう。
ただしアウトサイドエッジングの場合は、親指ほど力が入らない小指を使うことになるため、慣れるまでは踏ん張りが効かず、難しさを感じることもあるかもしれません。
ちなみにインサイド、アウトサイドのエッジング練習を同時に行いたい場合は、ホールドの上を歩くような技術を習得できる壁の横移動がおすすめです。
私たち人間が持つ筋肉の中で最も大きいのはももの前側の筋肉(大腿四頭筋)とお尻の筋肉である大殿筋です。そのため、全身の筋肉を使うボルタリングでは、いかにしてお尻やももの筋肉を効率的に使えるかがカギを握ります。
太腿四頭筋や大殿筋のような体積が大きい筋肉を効率的に使えれば、他の筋肉の負担を軽減することができ、長時間登ることも可能になります。ここではお尻やももの基本的な使い方を解説します。
ボルタリングにおいてのお尻、ももの使い方は簡単に説明すると、スクワットのような動きをイメージして取り組むとよいでしょう。
ボルタリングは下半身(足)が非常に重要なポイントとなり、ホールドをつかみにいくときは足で踏み込み、立ち上がるという動作が基本です。スクワットも一度下半身を沈み込ませ、そこから太ももやお尻の筋肉を使って上体を起こすため、ボルタリングと近い動きを持っています。
ボルタリングでは体重をしっかりと足に乗せておくことができれば、三点支持(手と足いずれかの3点で三角形を作り、三脚のように安定して立つ方法)も容易になります。
そのため、ボルタリングのプロや上級クライマーなどは下半身強化のためにスクワットをトレーニングに取り入れていることが多いです。
次のホールドをつかみにいくとき、ムーブを起こすときは腕の疲れを軽減するためにお尻やももの大きな筋肉を使って体を起こす(立ち上がる)ようにしましょう。
たとえばですが、左足で上がるときにお尻やももの位置がそのままだと体の重心は完全に左へ傾かないため、体勢が不安定になりがちです。
この問題を解決するには、お尻やももも含めた下半身全体も移動させることです。具体的には以下のような手順、ポイントを意識しておくとよいでしょう。
上記のような手順で登ることができれば、ムリなく次のホールドをつかみにいくことが可能になります。
初心者の方がボルタリング用語で難しいと感じるうちのひとつがホールドの種類です。ボルタリングのホールドには、主に以下のような種類があります。
ホールドの種類 | 特徴 |
ガバ(ジャグ) | 大きくて持ちやすいホールド |
カチ(クリンプ) |
指先しか掛けることができない浅いホールド
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スローパー | 大きくて丸い形状のホールド |
ピンチ | 手で挟むようにして持つホールド |
ポケット | 穴が開いているホールド |
各ホールドは形状や大きさが異なるため、それぞれ適切な握り方、持ち方も変わってきます。ここでは上記5種類のホールドの握り方や注意点を解説します。
ガバ(ジャグ)はボルタリング初心者の方でも握りやすいホールドであり、文字通り「がばっ」と持てることが名称の由来になっています。ガバは非常に持ちやすいホールドですから、コツらしいコツはありません。
ただし握るときは抱え込むようにするのではなく、指で引っ掛けるイメージは忘れないようにしましょう。正しい握り方以外だと、次の動きがとりづらくなることもあります。
指先だけを引っ掛けるホールドとなるカチ(クリンプ)。初心者の方の中には、このカチが苦手という方もいます。カチの持ち方、握り方は大きく分けて2つあり、ひとつは「カチ持ち」、そしてもうひとつは「オープンハンド」です。
カチ持ちとは人差し指から小指までの第2関節を曲げつつ、第1関節を内側に反らすように指先をホールドに押しつける握り方です。このとき親指は人差し指の上に添えるような形になります。
そしてもうひとつのオープンハンドは、指を伸ばし気味にして先端を引っ掛けるだけの持ち方を指します。安定度でいえば指を折り曲げてしっかりと固めることができるカチ持ちに軍配があります。
しかし、カチ持ちの状態で激しい動きを必要とするムーブを起こすと、指の関節を痛めることもあります。そのため、カチ持ちとオープンハンドは両方とも習得しておき、状況に応じて握り方を変えていくとよいでしょう。
サイズが大きく、丸みを帯びた形状が特徴的なスローパー。初心者の方だけではなく、中級者や上級者の方でも手こずることが多いホールドのひとつです。スローパーは面積が広いため、基本的には手のひら全体を使って握るようにします。
このときによりへこみがある箇所に手を添えると、安定する傾向にあります。片手でサッカーボールやバスケットボールを持つようなイメージを抱いておくとよいでしょう。
ピンチは縦に細い形状が特徴的です。形状が細いため、親指とその他の指で挟む(つまむ)ようにして握ります。ピンチを確実に処理するには、親指が重要なポイントとなります。
親指はその他4本の指よりも力が強いですので、ピンチをつかむときは親指にしっかりと力を入れるようにしましょう。また親指以外の指は揃えて握るようにするとよいでしょう。
ポケットはホールドに穴が開いており、この穴に指を入れて持つことになります。基本的に穴の外側から握ることは難しいため、他のホールドと持ち感が大きく異なります。
穴のサイズによっては指が1本、2本しか入らないこともありますので、ポケットを苦手とする方も多いです。
また、ポケットはカチと同様に指を痛めやすいホールドです。特に落下の際に指を穴に残してしまうと、大きなケガにつながりやすいため、注意しておきましょう。
ボルタリングは安定した姿勢を保つために、目を配るポイントや関節を上手に使う方法なども重要です。ここではホールドをつかむときやムーブを起こすときの目線の振り方、関節の使い方をまとめましたのでご覧ください。
前述のように目線の振り方の基本は「下にやること」です。ボルタリングではどうしても上に目線がいきがちですが、目線が上方向にいくとアゴも同時に上がることになります。
アゴが上がると体のバランスが保ちづらくなり、その結果腕が曲がってしまう可能性も高くなります。目線を上にやるときは、あくまでも次のホールドを確認するとき。
このときもずっと上を見るのではなく、ホールドの位置を確認するためのチラリ程度にしておきましょう。目線を下中心にしていると、自然と首にかかる負担も軽くなりますので、首に不調や痛みが現れる確率も低下させることができます。
またホールドをつかみにいくときの首の使い方ですが、距離を伸ばしたい場合はターゲットとなるホールドとは逆の方向に向けてみましょう。これは人体の構造上、手を出す向きと首の向きを真逆にすると、首から肩にかけての筋肉がよく伸びて距離が出るためです。
関節には股関節、肩甲骨などがありますが、いずれも柔らかい方のほうが難しい課題もこなせる可能性が高いです。特に股関節は柔軟性が高い方だと、以下のようなメリットが期待できます。
股関節が柔らかいことで、傾斜が強いポイントなどで活躍するキョン(ドロップニー)を深めに行うことができたり、遠くの位置にあるホールドに足が届いたりといったメリットが期待できます。
また正対(ボルタリングの基本姿勢)では股関節をしっかりと広げることで、足への加重を増やすことが可能です。その他、肩甲骨の柔軟性が高い方も腕や肘の曲げ伸ばしは不要で長いリーチを作ることができます。
著名なクライマーの方のムーブをチェックするとわかりますが、肩甲骨が柔らかい方は、腕ではなく肩の力を抜いて脇を伸ばしながら次のホールドをとりにいくイメージです。もちろん体を引きつけるときも、肩を上手に使っていることが多いです。
これによりパンプを防ぐことにもつながります。肩、脇、背中の筋肉は腕の筋肉よりも大きなパワーを持っています。そのため、腕の疲れが顕著に現れるという方は肩甲骨の柔軟性を高めて、肩の可動域で登ることを意識してみましょう。
ボルタリングの課題で多くの人が最初に当たる壁が「次のホールドにもう少しで手が届きそうなのに、やっぱり届かない!」というものです。ここでは高い位置や遠い位置にあるホールドをつかみにいくときのコツを解説します。
高い位置にあるホールドを無理やり取りにいっても不安定な体勢になるため、体にかかる負担が大きくなります。そのため、このようなときは足の位置を動かすことを意識してみましょう。
やり方は取りにいくホールド側の足を今の位置よりも高い箇所に上げるだけです。高い位置にあるホールドに足をのせたら、徐々にその足に重心を移動させていきます。
そしてそのまま体をゆっくりと持ち上げれば全身の位置が上がるため、高い場所に位置するホールドもつかめるようになります。
万が一、この対策を施しても届かない場合は、高く上げた足をもう一段階高くしてください。ちなみに体重が乗っていない足は壁側に沿わせるようにすると、安定した姿勢を維持することが可能です。
遠い位置のホールドに足を置くには、ボルタリングの基本ムーブでもある「ハイステップ」と呼ばれるテクニックを用います。ハイステップとは簡単に説明すると、一気に足を上げてホールドに乗り込んでいく動作です。
ハイステップのやり方ですが、まずは両手で体をしっかりと保持させ、足を高い位置のホールドに置きにいきます。その後、両手で引きつけるようにして体を壁に近づけてください。
ハイステップを行うときのコツは、重心を足にしっかりと移動させることです。イメージとしてはかかとにお尻を乗せるようにするのが理想的です。
最後にボルタリング初心者の方が抱えることが多い、腕が疲れたときの対処法を解説します。
ボルタリングは正しい方法で登っても腕に負荷がかかるスポーツです。そのため、登っている途中に腕が疲れるケースは高い確率で訪れます。仮にこのような上半身の疲れを覚えたときは、腕をシェイクしてみましょう。
シェイクとは登っている最中に腕の疲れを取り除く方法を指します。シェイクの基本的なやり方ですが、まずは持ちやすいホールド(ガバなど)を片方の手でつかみ、反対の腕を地面の方向に向けます。その後、下に下げた腕をふるふると振るようにします。
こうすることで腕の血流を多少なりとも戻すことができるため、次のホールドがつかみやすくなります。シェイクは腕の血行を回復させることが目的ですので、心臓よりも下で行うようにしましょう。
初心者の方でも習得しておきたい基本ムーブのひとつにダイアゴナルというものがあります。ダイアゴナルとはバランスを保ちながらホールドを取りにいくテクニックのことを指し、体力を温存させながら登ることができるムーブのひとつとされています。
ダイアゴナルは体全体のバランスを保ちながらホールドを取りにいくのが大きな特徴です。基本的なやり方としては、左足(右足)をホールドに乗せたら対角線の力を利用して右手(左手)でホールドをつかみにいきます。
こうすることで体全体の重心が安定するため、負荷がかかることなく次のホールドを取りにいくことが可能です。これはカウンターバランス系のムーブともいわれており、壁から体が離れるなどのデメリットを解消させる効果もあります。
重心をかける足とは逆の腕を動かす必要があるため、最初は難しいと感じる方もいるかもしれません。このような場合はいきなりボルタリングで実践するのではなく、地面が安定した地上で練習を行うようにしましょう。
今回は初心者、中級者の方を対象にしたボルタリングの登り方を解説しました。ボルタリング初心者の方が犯しがちなミスというのは「腕の力のみで登ろうとすること」です。
基本的に腕の筋肉は下半身の筋肉より少ないため、腕に負荷がかかる登り方はパンプを引き起こす原因にもなります。そのため、これからボルタリングを始める方は「上半身は脱力」「下半身を上手に利用する」という基本を覚えておきましょう。
またボルタリングは全身を使って行うスポーツです。そのため、腕や足の使い方はもちろんのこと、体のひねりや重心移動のことも考えて行うことが課題クリアには必要となります。
課題の難易度が上がれば上がるほど、全身にかかる負荷やダメージは大きくなります。このような理由からボルタリングは体に負荷がかからないムーブ、腕が疲れたときの対処法などもしっかりと身に付けておくことが大切です。
非常に奥が深いスポーツでもありますので、全身の各部位の使い方などをひとつずつチェックしながらレベルアップを目指していきましょう。