腹筋ができない人にオススメのトレーニング(正しいやり方、種類、必要な筋肉とは)          

栗原強太

腹筋は割れているとかっこいい、あるいは美しく見えるものです。アスリートやボディービルダーなどの腹筋を見て鍛えたいと考えるようになる方もいるでしょう。

 

しかし、腹筋をしたいのに全然できない、あるいは、腹筋をしていてもいまいち効果が実感できない方も中にはいます。何が問題で腹筋ができないのか?なぜ腹筋トレーニングの効果を上手く得られないのか?など腹筋の筋トレで悩んでいる方の問題をこの記事では解決します。

栗原強太
フィジーカー 栗原強太
湘南オープンメンズフィジーク172cm以下の部で5位入賞したフィジーカー。体脂肪率は1桁。複数のジムを掛け持ちして日々トレーニングに励む。

腹筋の効果・役割

効率的な腹筋トレーニングに取り組むためにも、まずは腹筋トレーニングで鍛えられる筋肉の種類と消費カロリーについて解説します。腹筋と一口に言っても、実は複数の筋肉によって構成されているのです。まずは、腹筋を行うことで鍛えられる筋肉の名前と各筋肉がどういった体の動きに使われるのかを解説します。

鍛えられる筋肉

腹筋すると鍛えられる筋肉で有名なのが、「腹直筋」です。体の腹部全面にある筋肉で、シックスパックとも呼ばれます。腹筋を鍛えるのは、この腹直筋をきれいに割るための方も多いでしょう。

腹筋を構成する筋肉

一般的には、腹筋が腹直筋だけと思われてしまっている面がありますが、実際はそのほかに「腹斜筋」や「腸腰筋(ちょうようきん)」など4種類ほどがあります。中心部であるおへその周りは(1)腹直筋、その横に(2)腸腰筋、これらの上部・下部に位置しているのが(3)腹斜筋です。ちなみに、腹斜筋には上側の「外腹斜筋」と下部の「内腹斜筋」があります。

 

そして、横腹が痛いといった時に押さえる場所にある部位が(4)腹横筋です。

各部位の役割

それではこの4つの筋肉の役割を見ていきます。

<(1)腹直筋>

体幹(脊柱)を曲げる(屈折する)動きを行う役割があります。前傾姿勢や骨盤位置の固定補助などもしています。

 

<(2)腸腰筋>

股関節を曲げる役割があります。階段の昇りやボールをける動作なども腸腰筋が関わっています。

 

<(3)腹斜筋>

身体を左右のひねる動きや回旋する動きの役割があります。

 

<(4)腹横筋>

腹圧の上昇や身体の回旋運動をする役割があります。呼吸時の筋利用、内臓の位置固定などにも効果があります。

 

これらの腹筋が複合的に鍛えることで人間はさまざまな動きの動力源となることが知られています。例えば、何かを持ち上げたり動こうとした時、まずはそれぞれの腹筋の内圧が高まって、背中(脊柱)や体の中心を安定させます。

消費カロリーの目安

腹筋の消費カロリーは1回、0.2kcal程度です。

 

消費カロリーは、「メッツ」という単位で求めることができます。詳しい計算方法が気になる方向けに、算出方法を下記に記載しておきますのでご参照ください。

<メッツとは>

運動の強度が安静時の何倍に相当するかを表す単位。運動の強度(メッツ)に、運動の実施時間をかけることで、おおよその消費カロリーの算出が可能です。腹筋のメッツは3.5程度。

 

<消費カロリーの計算方法>

「消費カロリー(kcal)=1.05×メッツ×時間(時間)×体重(kg)」となり、体重60kgの人が1分間に20回の腹筋をした場合の消費カロリーは次の通りです。1.05×3.5メッツ×1/60(時間)×60(kg)=3.675kcal(腹筋20回分)


腹筋ができない理由

部活動や体育などで知られる昔ながらの腹筋トレーニングがクランチです。中にはこの腹筋運動をできない人がいます。腹筋ができない理由には2つのケースがあります。1つは、フォームが間違っていることでしょう。もう1つが筋力不足です。

 

まず、フォームが間違っていると、身体に適切な負荷がかからない、あるいは体の一部に負荷がかかりすぎます。例えば、足を伸ばして地面に寝そべった状態(フォーム)でするケースです。腰や股関節、背骨に無理な力がかかり、腹筋動作がしにくいだけでなく、腰や首、関節・背骨などを痛める原因になります。

 

次に、普段から運動しない人は、筋力が足りていないので、普段は使わない腹まわりの筋肉が衰えていて、クランチの動きができないケースです。最初は少しずつ、できるようになったら回数を増やします。これでたいていの人は、できるようになります。

 

5回だけでもかなりきつい人が、腹筋を続けていけば次第に回数ができるようになります。軽い腹筋運動程度であれば、1~2ヶ月もあれば10~15回までは3セットを続けられるようになります。(期間や回数は個人差あり。)

 

フォームについては、特に始めたばかりの方は、頭を持って引っ張ろうとしたり、腕の反動で腹筋の曲げる動きをしようとしてしまいます。それでは、実際には腹部の筋肉だけでなく、他の部位の筋肉も使ってしまい、腹筋だけを鍛えることができません。

 

最後に、稀なケースとして筋トレ中に「呼吸を止めてしまう」ために、力んで腹筋ができない方がいます。筋肉は収縮して曲げたり伸ばしたりの動きを可能とするので、息の仕方を意識することで、全くできなかった腹筋ができるようになる方もいます。それほど多くないケースですが、フォームよりも前に呼吸を変えることで改善する人もいるのです。

 

腹筋は正しいフォームと適切な手順・注意点(呼吸を止めないなど)を踏まえて行う必要があります。次にそれらの正しいやり方を説明します。

正しい腹筋のやり方

腹筋を正しいやり方でできている人は少ないでしょう。実際、腰を痛めたりするケースでは間違ったやり方でしてしまっている証拠です。

 

腹筋は経験則でそれっぽいやり方をするのはよくありません。見よう見まねでトレーニングするのは効果が落ちるだけでなく、間違ったフォームで筋肉を傷めて、効果が著しく低下することさえあります。

 

腹筋にはきちんとしたフォームと動作の手順が必要です。そこで、腹筋(クランチ)の正しいやり方をご紹介しましょう。

一般的な腹筋のフォーム

一般的な腹筋の正しいフォームと手順は以下です。

MYREVOロゴ
previous arrow
next arrow
Slider
<正しい腹筋のフォーム>
  1. ベンチ(イス)とマットを用意する。
  2. 地面・床にマットを敷き、ベンチ(イス)に足を乗せます。このとき太ももの位置が垂直になるように調整します。
  3. 手を頭の後ろに組んで、力を抜きます。
  4. 身体を少しずつ丸めていき、おへそが見えるまで上げます。
  5. おへそが見えたら2~3秒停止して、地面に上体を戻していきます。

一般的な腹筋のコツ

上体を早く起こしすぎないことが大切です。ゆっくりと腹筋を使うイメージで行います。たまに、ピストンのように早く屈折運動をする人がいますが、勢いをつけて行ってもそれほど筋肉には負荷がかからず、反動で起き上がってしまっている状態です。時間をかけて腹筋を使い身体の中心から少しずつ屈曲していく動きで腹筋することを心がけましょう。

 

また、普通の腹筋ができない人や反対に普通の腹筋では強度が物足りない方もいるでしょう。次からは、強度を調整(軽減・増強)することでその人に合った方法で腹筋を鍛えるトレーニングについて説明します。

【初心者・できない方向け】2種類の負荷の少ない腹筋

普通の腹筋(クランチ)は、正しく行うと結構な負荷になります。慣れていないと、フォームを間違えたり、そもそもトレーニングの回数をこなせないなど、高強度からスタートすることはあまりおすすめできません。

 

そこで、筋肉の少ない女性の方やトレーニング不足の方で「普通の腹筋ができないから他の方法で腹筋部位を鍛えたい」という方もいるでしょう。とはいえ、腹筋は腕立てのように、気軽に体位や姿勢を変えるだけで強度軽減の操作することが難しいトレーニングに含まれます。

 

強度は上げられますが、負荷を軽くするバリエーションが少ないのが実際のところです。そこで今回は、初心者の方や腹筋のできない方向けの腹筋を中心とした専用トレーニングを紹介します。

アブアイソメトリクス

MYREVOロゴ
previous arrow
next arrow
Slider

普通の腹筋(クランチ)との大きな違いは、うつ伏せになって腹筋を鍛える方法であることです。

<やり方>
  1. マットを敷いてうつぶせに寝る。
  2. 両手のひじをマットにつけて上体を少し上げ、足はつま先だけマットにつけて身体を支えます。
  3. 手のひらを軽く握り、30~60秒ほどそのままの上体で停止します。
  4. 体のラインが床と平行になることを意識します。お尻も落とさず上げすぎないことがポイントです。

 

アブアイソメトリクスは、休憩を挟んで、決めたセット数だけ行います。

フラッターキック

MYREVOロゴ
previous arrow
next arrow
Slider

フラッターキックは仰向けに寝て、足をばたばたするだけの簡単なトレーニングです。

<やり方>
  1. マットを敷いて仰向けに寝ます。
  2. 足を上げて、両手は地面に手のひらをつけた状態で離さないようにします。
  3. 水泳のバタ足の要領で上下にばたばたとゆっくり動かします。
  4. 20~30秒ほど行ったら足を下ろします。

 

以上が初心者向けにおすすめの腹筋トレーニングです。次は、ある程度トレーニングで腹筋を鍛えて、普通の腹筋程度ならできるという中級者のトレーニング方法について説明しましょう。

【中級者向け】2種類の部位別の腹筋

腹筋は日を追うごとに筋肉が鍛えられ、次第に慣れてきます。ある程度筋肉がつけば、1度に30回くらいは楽にできるようになります。そこで、強度を上げてみましょう。

 

ここでは、普通の腹筋(クランチ)はできるからもっと強度を上げて効率的に腹筋を鍛えたい中級者向けのトレーニング方法をご紹介します。

コア(体幹)腹筋トレーニング

標準的な腹筋の要領でコアトレーニングを意識した方法です。複斜筋や腹横筋など、普通の腹筋(クランチ)では集中的に鍛えられないコア部位も鍛えられます。

MYREVOロゴ
previous arrow
next arrow
Slider
<やり方>
  1. マットを敷いて仰向けに寝ます。足は膝角が90度になるように起こし、タオルなどを左右の膝の間に挟んで落とさないようにします。
  2. 右手をおへその周辺か丹田の辺りに置きます。
  3. 反対の左手を右膝に向かって上体を起こしながら指先を触れて上体を戻します。それを10回行います。
  4. 次に、左手をおへその周辺か丹田の辺りに置きます。
  5. 右手を左膝に向かって上体を起こしながら指先を触れて、上体を元に戻します。これも10回行います。

 

それらを1セットとして交互に行います。ポイントは、腹筋の速度よりもさらに遅くしたイメージで行います。

レッグレイズ

腹筋でよくある上体を起こす動作ではなく、下半身を動かして腹直筋を鍛える腹筋トレーニングです。

MYREVOロゴ
previous arrow
next arrow
Slider
<やり方>
  1. マットを敷いて仰向けに寝ます。
  2. 両腕を外側に開き、膝から先まで腕全体を使って身体を支えられるように置きます。
  3. 手のひらで身体や腕を固定し、両足をそろえてまっすぐ持ち上げていきます。このとき、膝が曲がらないようにします。
  4. 胴と足が直角90度になるまで上げたら、一時停止。
  5. ゆっくりとおろして、マットに両足を下ろします。これを10回行います。

 

背中が浮いたり反動をつけることで、腰を痛めたり上手く筋肉が鍛えられなかったりするので注意しましょう。

 

以上は中級者がトレーニングとして加えたい部位を意識したトレーニングです。次に、中級よりさらに負荷を高めたトレーニングを取り上げます。

【上級者向け】2種類の高強度負荷をかける腹筋

普段から腹筋を鍛えている方やスポーツなどで腹筋には自信がある方もいるでしょう。腹筋はマシンを使って強度を上げる方法だけでなく、フリーのトレーニングでも十分に負荷を上げることができます。そこで、最後に上級者向けに高負荷の腹筋をするトレーニング方法をご紹介します。

ドラゴンフラッグ

ドラゴンフラッグ

上級向けのドラゴンフラッグはハリウッドの映画俳優などが行っていたことで有名になった高負荷腹筋トレーニングです。その方法は、レッグレイズをさらに強度を高めたものといえるでしょう。

<やり方>
  1. トレーニング用のベンチ(ベッド等)にマットを敷き、仰向けに寝ます。
  2. 肩甲骨を内側に寄せて、耳か頭の近くに両手でベンチの端を掴んで身体を支える準備をします。
  3. 腰を浮かせたまま、膝を曲げた状態を作ります。
  4. 足をマットから離して、足から上にまっすぐ伸ばしていきます。
  5. 足がマットから60~90度になったら、その姿勢をしばらく維持します。
  6. 停止後、足を曲げながらゆっくりと下ろします。
  7. 元の状態に戻ったら、同じ動作を繰り返します。

 

注意点はクビや肩甲骨部分をマットから離さないこと、呼吸を止めないことなどです。フォームを間違えると、腰を痛める原因になるので、初級・中級の方にはおすすめできません。

ハンキングレッグレイズ

ハンキングレッグレイズ

中級のレッグレイズでは床に寝た状態で垂直に足を上げる方法でしたが、ハンキングレッグレイズはさらに強度を上げて、鉄棒などにぶら下がった状態で行います。

<やり方>
  1. 鉄棒のバーを手で握り、懸垂前の状態(ぶらさがる)で待機します。
  2. 腹筋を使って股関節を上体と直角になるようにゆっくりと上げていきます。
  3. 少しの間停止したら、ゆっくりと足を下ろしていきます。

 

10回を1セットで目標セット数分だけ行いましょう。

まとめ:腹筋ができない方へ

今回は、腹筋で鍛えられる筋肉の部位や正しいトレーニングフォーム・方法を解説しました。腹筋ができない理由や問題点を押さえて、腹筋をできるようにしましょう。

 

ただ単に、強度を上げて限界まで鍛えればよいのではなく、その人に合った強度と正しいフォーム・手順で適切に鍛えることを一般の方は意識しましょう。科学的には、筋トレの50%の強度で行うのと100%の強度では、トレーニング効果にほとんど違いがないことが明らかにされています。

 

「無理にでも強い強度でトレーニングした方が筋肉が育つ(鍛えられる)!」という勘違いをしている旧時代根性論の方がいまだに多いので、それは間違いだと知った上でトレーニング強度を選びましょう。特に初心者の方にとっては、よく知られた腹筋より、強度が低く身体を傷めずに筋力が増す初級・中級のトレーニングがおすすめです。

この記事を書いた人
栗原強太
フィジーカー