股関節はランニングの際に最も重要だと言われるほど、ランニングに重要な影響を及ぼす部位です。
股関節を上手に使ってランニングをしないと、思うように走るペースを上げることができなかったり、ランニング中に股関節の痛みを感じてしまいます。
そこでこの記事では、股関節を上手に使った走り方と、股関節に痛みを生じてしまう方向けの対処法をまとめます。
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この記事を書いた人 倉本 岳
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参加者3000名を超える都内最大級のランニングチーム「Morning Running Club(通称モニラン会)」の代表。フルマラソンの自己ベストは3時間26分。 |
目次
ランニングと股関節の関係を知る上で、股関節のことを最低限は理解しておきましょう。
股関節は太ももの付け根と骨盤をつなぐ関節です。そのため股関節の動きは、骨盤周辺のお尻の筋肉(大臀筋)、腰の筋肉(腸腰筋)、太ももの筋肉(大腿四頭筋、ハムストリングス、内転筋)の影響を大きく受けます。
では、ランニングで股関節が痛むのは具体的にどのような理由なのでしょうか。ここでは理由を詳しく見ていきます。
<このようなお悩みの方は注目>
ランニングすると左股関節が壊れるくらい痛くなるーーー
— えのき くるみ (@___happinets96) March 16, 2020
どんだけ体歪んでるんだ( ˙꒳˙ᐢ )癖のある走り方でもしてるのかね
股関節が痛い ランニングのフォームが悪かったかなー
— 牛乳 (@dacho1_1dacho) March 16, 2020
ランニング中に股関節がうまく使えない、股関節に痛みを生じてしまう、それらの方は体幹の筋力が弱い場合があります。
体幹は体の芯の部分、背骨の周りを支える筋肉です。
体幹の筋力が弱いとランニング中に体幹の筋肉だけでは姿勢を支えきれなくなり、背骨から太ももの付け根へと伸びる股関節周辺の腰の筋肉(腸腰筋)への負担が大きくなってしまいます。
腸腰筋への負担が大きいと、腸腰筋がつながっている股関節への負担も増えるため、体幹の筋肉の弱さはランニング中の股関節の痛みを引き起こしてしまうのです。
ランニング中に股関節がうまく使えない、または股関節に痛みを生じてしまう場合、お尻や太ももの筋肉の柔軟性にも目を向ける必要があります。
体が沈み込んでしまうと沈んだ体を持ち上げようと太ももの筋肉に負担がかかります。
この時、太ももの柔軟性や筋力が弱いと、太ももでも負荷を受けきれずに、股関節へ負担がかかり痛みを生じてしまうのです。
股関節まわりの筋力や柔軟性は、ランニングのフォームの中でも足を開く動作の際にとても重要です。
股関節が固いと歩幅は狭くなり、歩幅が狭いと着地の際に膝が曲がってきます。
膝が曲がった状態で着地をすると、重心が下にかかり、着地のたびに前に進む推進力にブレーキがかかります。これではランニングのペースが思うように上がりません。
股関節を上手に使った走り方とは、股関節の柔軟性が確保され、股関節を軸に振り子のように足を大きく開いて走ることのできるフォームなのです。
ここでは前の章でご紹介した、股関節を上手に使ったランニングフォームを実践するためのエクササイズをご紹介します。
股関節を意識して足を上手に回して走りたい方はぜひ取り組んでみてください。
<こんな気持ちの方におすすめ>
寒い1日でした。最近ふくらはぎが張ってて、マラソンの先生に聞いたら「走り方が悪い」と言われてしまいました。股関節から脚を動かすこと、何回も原稿に書いているのに自分ではできない…。意識するようにします。
— ランニング編集市村 (@RunningEditorM) March 14, 2020
今日は軽くランニング!
— 雪のだらけもの (@MSOFBR2qkm44Me9) March 15, 2020
ユウトレ始めてからランニング中のフォームが崩れない!
腰、お尻と太ももの間、足の裏とか走後によく変に引きつれてたんだけど最後まで気持ちよく走れたー🎵
肩甲骨意識して腕振れたし、股関節意識して足を回せた。
走後はユウトレのストレッチですっきり!#ユウトレ
股関節をうまく使って走るために、ランニングの前は股関節周辺のストレッチを行いましょう。
ここでは、以前にランニングコーチの森川さんに教えてもらったストレッチを3つご紹介します。ランニングの前はこのストレッチを行うように心がけてください。
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プロランニングコーチ森川千明
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元スターツ陸上部、UNIQLO陸上部。主な成績は、1500メートル全日本実業団3位、日本歴代9位記録保持。2018年函館マラソン、初フル大会新優勝2°46’37など。現在はプロランニングコーチとして活動。 |
股関節から太ももの内側にかけて付いてる太ももの内転筋をほぐすためのストレッチです。
<参考動画>
股関節の前側から背骨に伸びる腸腰筋をしっかり伸ばすためのストレッチです。
<参考動画>
太ももを持ち上げる際に、腸腰筋を、膝を沈みこませる際に太ももの裏のハムストリングス、お尻の大臀筋が伸びるストレッチです。
<参考動画>
先に述べたように、体幹の筋力は股関節に負担をかけない走り方をする上で非常に重要です。ここでは、ランナーにお勧めの体幹トレーニングのやり方をご紹介します。
プランクは姿勢をキープすることで体幹を全体的に鍛えることができる代表的な体幹トレーニングです。プランクを継続的に行うことで、ランニングフォームが安定して股関節への負担が少ない走り方ができるようになります。
<参考動画>
体幹と、太ももの内側の内転筋、お尻の大臀筋を鍛えるトレーニングです。慣れるまで体側を床につけた「サイドレッグリフト」と呼ばれる状態で行い、慣れてきたら体側も床から浮かせる「サイドレッグレイズ」に取り組んでみましょう。
<参考動画>
この種目は、体幹の筋力と脇腹の腹斜筋を鍛える体幹トレーニングです。
<参考動画>
ここでは、実際にランニングチームの練習の際に、参加者からいただいたこのある股関節に関する悩みに回答します。読者の方もご自身のケースに当てはまるようでしたら、参考にされてください。
私が代表を務めるモーニングランニングクラブでは、基本的には皇居1周をベースに活動しています。
参加者の中には、1周の5キロを過ぎたあたりから股関節の痛みを感じると言う方がいらっしゃいます。
人間の体は、肩→胸→腰→股関節とつながっています。
ランニングは肩の肩甲骨を軸に腕を振ることで、その動きが背骨から腰の骨盤と連動して伝わり、足を前に出す推進力になります。
しかし、肩甲骨が固いとこの連動がうまく生み出されずに、下半身に一層の負担がかかります。そのためランニングを続けていくうちに、下半身に負担が溜まり股関節の痛みにつながっている場合があります。
肩甲骨周りをしっかりほぐしてランニングに取り組むようにしましょう。
<オススメのストレッチ>
走り始めから股関節の痛みを感じる方は、私のランニングチームでは走るのをやめるように伝えています。
走り始めから痛みを感じる場合、変形性関節炎という症状であったり、股関節周辺の筋肉が極端に硬くなってしまっている可能性があります。
この状態でランニングを行うと、ヘルニアやぎっくり腰などより重い症状になってしまうリスクがあります。
この記事では、ランニングにおける股関節のお悩みに付いて解説しました。
股関節の痛みは、体幹の筋肉の不足と、股関節周辺の筋肉の硬さからきます。ここでご紹介したエクササイズに取り組み、股関節を上手に使い、痛みのないランニングフォームを見につけてくださいね。