「物を持ち上げる、引き寄せる、胸を張る」など、背中を用いる動きで使われる僧帽筋。
鍛えることで、美しい背中を得ることができます。さらには、肩甲骨周辺の血液循環を促進し、肩こり解消の効果まで得ることもできるのです。
そこで今回は、自重、ダンベル、チューブ、マシンそれぞれで僧帽筋を鍛える方法をご紹介します。
フィジーカー 栗原強太
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湘南オープンメンズフィジーク172cm以下の部で5位入賞したフィジーカー。体脂肪率は1桁。複数のジムを掛け持ちして日々トレーニングに励む。 |
僧帽筋とは、肩甲骨、背中の中央付近にある筋肉を指しており、「広背筋」や「脊柱起立筋」などと同様に、私たちの背中部分を形成する大きな筋肉です。
僧帽筋は上部・中部・下部の3つに分けることができ、それぞれが重要な役割を担っています。僧帽筋のトレーニングを効果的に行うために、まずは3つの特徴を理解しておきましょう!
僧帽筋上部とは、背中上部の表面に広がる大きな筋肉を指しており、頸部の伸展動作や、肩甲骨を挙上や上方回旋・内内転させる動作の際に使う筋肉です。
物を持ち上げる、肩をすくめる。
僧帽筋中部とは、背中中部表層に広がる筋肉を指しており、肩甲骨を後退させる動作の際に使われる筋肉です。
僧帽筋中部は、僧帽筋肉で最も大きな面積を占めるため、この部位の安定化が肩甲骨の安定性につながります。
背伸、深呼吸といった胸を張る動き。
僧帽筋下部とは、肩甲骨を内転または上方回旋させる動作や、下製させる動作の際に使われる筋肉です。
僧帽筋の中で最も使われる筋肉のため、トレーニングの種類も豊富にあります。
物を引っ張る、引き寄せる動き。
きちんと僧帽筋を鍛えることができれば、肩こりや猫背といった体の問題を解消することができます。
日々の仕事(デスクワーク)や運動不足によって、あまり体や肩を動かさない生活をしていると、血流が悪くなり、その弊害として姿勢が悪化して肩こりや頭痛、猫背の原因につながります。
特に肩こりを誘発する筋肉は、一般的に僧帽筋およびその周辺の筋肉といわれています。
僧帽筋を鍛えることで、肩甲骨を動かし筋肉を緩ませ、血液循環を改善させることで、血液中の背痛物質の排出・筋緊張の改善を促進させることで、肩こりの症状を改善させることができるのです。
僧帽筋をトレーニングする上で最も簡単に行えるトレーニングが自重トレーニングです。
以下では簡単に行える自重トレーニングを難易度に応じて5種類紹介していきますので参考にしてみてください。
チンニングを行う際のポイントは、腕の力ではなく、僧帽筋を意識して体を持ち上げること。
体を持ち上げる際は、胸を張り、肩甲骨を寄せる動きを意識してください。
チンニングのトレーニングで余裕が出てきたら、持ち上げた状態で約2〜3秒ほど体をキープすると、より効果的なトレーニングをすることができます。
このトレーニングは15〜30回×3セット行うことがおすすめです。回数については筋トレ初心者の方は、トレーニングの頻度や回数をアレンジしながら行いましょう。
このトレーニングは僧帽筋だけでなく、大胸筋や体幹を鍛える際に用いるトレーニングの一種になります。
そのためトレーニングの姿勢や呼吸法を意識するようにしましょう。
このトレーニングを行う際は、背筋をしっかりと伸ばしておくことや、肩甲骨を寄せた状態をキープすることがポイントです。
このトレーニングは元々はラットマシンを使って行うウエイトの一種になります。
そのため3〜5キロ程度のウエイトバーを使い、負荷をかけることでより効果的なトレーニングにすることができます。
このトレーニングのポイントは、体を反りすぎないことです。
単に体を反らすことがいいわけではなく、正しいフォームを意識しながら、ゆっくりと丁寧に体全体を使ってトレーニングしていきましょう。
自重トレーニング以上に、僧帽筋の筋肥大に効果的と言われるトレーニングがダンベルを用いたトレーニングです。
ダンベルを活用することで、自重トレーニングだけでは鍛えることが難しい僧帽筋の細部まで鍛えることができます。
下記ではダンベルを使用してできるトレーニングを3種類紹介します。
このトレーニングのコツは、ダンベルを強く握りすぎないことです。
強く握ることで余計な部位に力が入ってしまい、体のフォームやバランスを崩すことに繋がります。
慣れてくるまでは、呼吸法や、しっかりとダンベルを引き上げることにフォーカスしてトレーニングを行うようにしましょう。
<参考動画 「ダンベルデッドリフト」のやり方>
MYREVOフィジーカーの栗原強太が、僧帽筋の筋トレ種目であるダンベルデッドリフトのやり方を解説します。
デッドリフトは姿勢が崩れると腰痛の原因になるため、セット間で背筋をきちんと伸ばすようにしましょう。
腕の力でダンベルを持ち上げるのではなく、背中と下半身の筋肉で持ち上げることがポイントです。
まずはトレーニングフォームを意識するため負荷は抑えて、トレーニングに慣れてきたら負荷を上げていきましょう。
このトレーニングのポイントはダンベルを引き上げる時だけ肩に力を入れることです。
下げる際にも肩に力が入っていると、肩付近の筋肉を痛めてしまいます。
自重トレーニングやダンベルトレーニングとあわせて行いたいのが、より効果的にトレーニングすることができるマシンやチューブを用いたトレーニングです。
マシンやチューブを使うことで、普段鍛えることのできない僧帽筋の各部位までトレーニングできます。積極的に取り入れていきましょう!
このトレーニングを行う際は、バーを握る腕にほどんど力を入れず、広背筋や僧帽筋に力を入れて、脇を締めるようにして引っ張るようにしましょう。
この時、勢いをつけた状態でバーを引っ張ることもやめましょう。
続いて紹介するのは僧帽筋のストレッチです。
僧帽筋のトレーニングを効率的に行うために必要不可欠なストレッチですが、ポイントやコツを把握しておかないと、効果的な僧帽筋の回復には至りません。
ここでは僧帽筋を効果的に伸ばす2種類のストレッチの手順とポイントを解説します。
このストレッチのポイントは、背中が伸びた状態で行うことです。
背中が伸びていないと、僧帽筋ではなく他の部位に刺激を与えることになります。
ストレッチを効果的にするには、後ろ側に回している手の肩を挙げないことや、痛みが出るまで前に倒さないなどといったことを意識しましょう。
このストレッチのコツは、呼吸を安定させた状態で取り組むことです。
背中を丸めたり、急に体を起こしたりするのではなく、僧帽筋を意識しながらストレッチをすることで、効果的に筋肉を伸ばすことを心がけてください。
最後にお伝えするのは、僧帽筋をトレーニングすることによって伴う筋肉痛や、そのほか痛みを感じた際の対処法についてです。
僧帽筋への定期的、または過度なトレーニング、誤ったストレッチは、当然として、背中や肩周辺に筋肉痛や痛みを引き起こします。
下記ではそれらを想定した上での対応策を紹介します。
僧帽筋のトレーニングをすることで、当然として背中や肩まわり周辺の筋肉で、筋肉痛になることも想定されます。
特に僧帽筋の筋肉は日常生活で使うことが多い筋肉になるため、生活に支障をきたす可能性を最少限にするためにも、あらかじめ筋肉痛の際の対処法について知っておく必要があります。
僧帽筋の筋肉痛が軽度であれば1〜2日(多くて3〜4日ほど)の休養をとることをおすすめします。
軽度の筋肉痛であれば、時間をかけて適切な休養をとることで回復を促すことができます。
ただし、当初より痛みがひどくなったり、回復において適切な日数を設けたにもかかわらず改善が見られない場合は医療機関にて診察を行ってもらいましょう。
また、筋肉痛の予防策は、先ほど紹介した僧帽筋およびその他(首・肩・背中など)のストレッチをトレーニング後に取り入れることも効果的な対処法です。
筋肉痛が起きた際は、激しい動作や回数を抑制したり、十分な休養をとることで、回復力を高めることを意識しておきましょう。
僧帽筋のトレーニングを行っていると、筋肉痛以外にも痛みを引き起こす可能性があります。以下ではその一部について紹介します。
肩関節周囲の筋肉や靭帯・腱が、炎症や老化、損傷、断裂など、単独または複合して生じる痛みのことを指してきます。
これは年代問わずによく起こるため、原因に応じた治療を行うことが最適となりますが、主な対処法としては、安静にすることや鎮痛剤の服用や湿布の貼付が該当します。
腱板の一部またはすべてが切れてしまうことを指しています。
「肩が痛い」という患者さんの大半に腱板の断裂が見られ、明らかな外傷が原因となるケースもありますが、肩関節の使い方によっては、日常生活を送っているだけでも断裂が見られるケースも存在します。
僧帽筋の上部および中部などに肩こりや痛みがある際のテーピング方法について紹介します。
テーピングを巻くことで完治や治療をすることはできません。下記を留意しておきましょう。
テーピングを貼ることの効果は、傷害を受けやすい部位の補強、または可動範囲を制限させることにより怪我や傷害の予防・再発を防ぐことです。
今回は僧帽筋についての役割や基本的な説明をはじめ、僧帽筋の各部位を鍛えるトレーニング方法、またトレーニング方法だけでなく、体を鍛える上で重要なストレッチ方法や怪我等の対処法について紹介しました。
僧帽筋は3種類に分類されるため、トレーニングする目的や理由によってトレーニング方法を使い分ける必要があります。
しかしトレーニング方法をマスターするだけでは筋肉痛や怪我を引き起こすため、正確かつ効果的なストレッチや身体をほぐす方法についても覚えておく必要があります。
身体を効率的に鍛えるためには、トレーニング方法、ストレッチ方法、怪我等の対処法など、どの点も欠かすことはできません。
僧帽筋をより正確に鍛えるために正しい知識とともにトレーニングしていきましょう!