筋力トレーニングの中でも、腕立て伏せはイメージしやすい種目ですよね。
場所を選ばずに自分の体重だけで行うことができ、しっかりとしたフォームで行えば怪我のリスクも低い。とても優秀な種目と言えます。
ただ、「腕立て伏せがまったくできない」という方もいらっしゃいます。
これは筋力不足であったり、フォームが間違っているなどの理由があります。
そこで今回は、負荷の少ない腕立て伏せをはじめ、レベル順に腕立て伏せの種類と正しいやり方を紹介していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
山本 耕一郎(パーソナルトレーナー)
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アメリカンフットボール全国制覇の経験と、3か月で25kgの減量を実践した経験を活かし、数多くのクライアントのダイエットを成功させる。早稲田大学出身。 |
目次
腕立て伏せは、別の名を「プッシュアップ」といいます。自分の体重を使って行う簡単なトレーニングです。
しかし、自分の体重を使ってできる、行いやすいトレーニングでありながらも、その種類は多くあります。
この記事では7種類の腕立て伏せ(プッシュアップ)をご紹介します。自分のレベルにあったものから取り組んでみてください。
まずは、腕立て伏せ(プッシュアップ)で鍛えられる筋肉をご紹介します。
腕立て伏せでは、腕の筋肉(上腕二頭筋・上腕三頭筋)と胸の筋肉(大胸筋)、肩の筋肉(三角筋)をメインに鍛えることができます。
また、腕立て伏せ(プッシュアップ)の姿勢を維持するために、僧帽筋や、腹斜筋など腕・肩・胸の筋肉以外の多数の筋肉も使われます。
腕立て伏せ(プッシュアップ)は、腕の裏、胸の筋肉、体幹、前腿や全身を支える力が必要です。そのため、エクササイズとしても非常に有効なトレーニングなのです。
<メインで鍛えられる筋肉の解説>
腕の力こぶにあたる筋肉。主に肘を曲げる際などに使われる。
肘より上の腕の裏側の筋肉。主に肘を伸ばす際などに使われる。
胸の厚みを作っている筋肉。主に腕を前に押し出す際などに使われる。
肩についている筋肉。主に肩を固定する、動かす際に使われる。
腕立て伏せの消費カロリーは1回、0.2kcal程度です。
消費カロリーは、「メッツ」という単位で求めることができます。
詳しい計算方法が気になる方向けに、算出方法を下記に記載しておきますのでご参照ください。
運動の強度が安静時の何倍に相当するかを表す単位。運動の強度(メッツ)に、運動の実施時間をかけることで、おおよその消費カロリーの算出が可能です。腕立て伏せ(プッシュアップ)のメッツは3.5程度。
「消費カロリー(kcal)=1.05×メッツ×時間(時間)×体重(kg)」となり、体重60kgの人が1分間に20回の腕立て伏せをした場合の消費カロリーは次の通りです。1.05×3.5メッツ×1/60(時間)×60(kg)=3.675kcal(腕立て伏せ20回分)
腕立て伏せ(プッシュアップ)ができない場合、考えられる原因は主に次の2つです。
まずはフォームが間違っていないかを確認してみましょう。
次の章で正しい腕立て伏せ(プッシュアップ)のフォームをご紹介しますので、正しいフォームを確認した上で、改めて取り組んでみてください。
また、正しいフォームで取り組んでも腕立て伏せ(プッシュアップ)ができない場合、前の章でご紹介した筋肉の筋力不足です。
そういった方向けに、負荷の少ない腕立て伏せ(プッシュアップ)の種類をのちの章でご紹介しています。まずはそちらから取り組んでみてください。
まずは一番オーソドックスな、皆さんがイメージしやすい「ノーマルプッシュアップ」のやり方をご説明します。
腕立て伏せ(プッシュアップ)はたくさん種類がありますが、ノーマルプッシュアップが基本のフォームになります。
ノーマルプッシュアップ、このあとご紹介する膝つきプッシュアップ、ウォールプッシュアップ、どの種類もコツは同じです。
いずれも手の向きを、中指が内側にやや傾くよう行ってみましょう。
手の向きの目安は内側へ45度です。
また、腕立て伏せをして、地面に胸が近づいていく時に肩甲骨も寄せてあげましょう。
自分の背骨を肩甲骨で潰していくようなイメージです。
手と手の間隔は、肩幅よりも手1つ分広いぐらいが一般的です。
広くなるほど胸の負荷が増え、狭くなるほど腕の筋肉の負荷が増えていきます。
正しいフォームで取り組んでみたけれど、「ノーマルプッシュアップが1回もできない」という方も大丈夫です。
これから負荷のさらに少ない腕立て伏せ(プッシュアップ)のやり方をご紹介していきます。
基本の腕立て伏せ(ノーマルプッシュアップ)をできるようになるために、負荷の少ない腕立て伏せ(プッシュアップ)を2種類ご紹介します。
ご紹介するのは、「ウォールプッシュアップ」と「膝つきのプッシュアップ」です。
腕立て伏せ初心者の方は、どちらのトレーニングも2日〜3日に1回を目安にやってみるのが良いでしょう。
まずは、壁を使った「ウォールプッシュアップ」です。
壁を使うことで腕にかかる力を低減します。
負荷が少ないやり方ですので、プッシュアップの第一歩として始めやすいですよ。
ノーマルプッシュアップに比べて垂直方向にかかる力が少ないため、ご年配の方や力のない女性でも安心して行うことができます。
ノーマルプッシュアップができない方は、まずはこちらに取り組んでみてください!
壁などを使い角度が浅くするほど負荷が小さくなり、机などを使い角度が深くなるほど負荷が増えます。これを利用して、自分が鍛えやすい負荷で行いましょう。
回数は20〜30回ぐらいを目安にして、この回数をギリギリ行えるかどうかの負荷で行うことをおすすめします。
30〜40回できて余裕だなと思う場合には、その角度を徐々に地面の方向に向けていくことで、ノーマルプッシュアップの習得が近づいてきます。
膝つきのプッシュアップは、文字通りノーマルプッシュアップの膝をついた状態で行うものです。
また、膝をつく位置によって腕や胸にかかる負荷が変わってきます。
膝が胸から遠くなればなるほど負荷は増え、膝が胸に近づいていけばいくほど負荷は小さくなります。この負荷のコントロールを利用して、自分が今できる精一杯のところでやってみましょう。
回数は20回〜30回を目安に行なってください。
もっとできる方は40回、50回とやっていき、これができる頃にはノーマルプッシュアップができるようになっているかと思います。
基本の腕立て伏せ(ノーマルプッシュアップ)ができる方は、フォームを変えて鍛える筋肉の部位を変えていきましょう。
胸の筋肉を鍛えたい時はこちらの「ワイドプッシュアップ」がいいでしょう。
大胸筋をメインに鍛えることができます。
ノーマルプッシュアップよりも幅を広げて動作を行いましょう。
胸の筋肉を使う割合を増やすことができます。
<胸を重点的に鍛えたい時はこちらの記事もおすすめ>
<腹筋を鍛えたい人にはこちらもおすすめ>
次に、上腕三頭筋(二の腕の裏の筋肉)を鍛えたい場合は、腕の幅を狭くしてあげて腕立て伏せ(プッシュアップ)を行なっていきましょう。
肘が開かないようにして、体を押し上げていきます。
体を押し上げるのができない方は、ノーマルプッシュアップと同様に、こちらも膝をつき負荷を減らすフォームから試してみてください。
<上腕三頭筋のすぐ近く、上腕二頭筋を鍛えたい方はこちらもおすすめ>
もしノーマルプッシュアップも難なく回数を行えるようになったら、レベルを上げたプッシュアップに挑戦してみましょう。
以下にご紹介する2種類の腕立て伏せ(プッシュアップ)は、いきなりレベルが上がりますが、是非チャレンジを楽しんでみてください。
基本はノーマルプッシュアップと同じフォームで行います。
体を上げる際に腕で地面を思いっきり押し出すようにし、上体を一瞬浮かせます。
これを「ジャンピングプッシュアップ」と言って、瞬発力が主に鍛えられるトレーニングです。
ジャンピングプッシュアップの動作中に、手で一度拍手をするプッシュアップです。
手を叩く間があるため、ジャンピングプッシュアップより高く腕で地面を押さなければいけません。
プッシュアップは他にも、「360度プッシュアップ」という空中で体を回転させるものや、「プランシェ」という足を上げて腕の力だけで腕立て伏せを行う種目もあります。
これらは筋力トレーニングというよりも曲芸のようなものですが、気になった方は動画を検索してみてください。
<ジムに行って本格的に鍛えたいけれど、どんなジムが自分に合うのかわからない方にはこちらもおすすめ>
腕立て伏せができない方が、できるようになりたいと思って、この記事をご覧いただいた方が多かったのではないでしょうか。
腕立て伏せは決して難しいものではなく、順序を追っていけば必ず達成することができます。
腕の裏、胸の筋肉、体幹、前腿や全身を支える力が必要ですので、エクササイズとしても非常に有効なトレーニングです。
有名アスリートなどを数多く指導する筋力トレーニングのトレーナー(S & C トレーナー)の方々も、この腕立て伏せ(プッシュアップ)を重要視しています。
オーソドックスかつ意外と重要な「腕立て伏せ(プッシュアップ)」ですが、今はできないという人も、大丈夫。
できなかったことができるようになっていくのは、筋トレの醍醐味でもあります。
今回は負荷の少ない順に腕立て伏せ(プッシュアップ)の種類をご紹介しましたので、1つずつ段階を踏んで行なってみてください。
以上、腕立て伏せ(プッシュアップ)ができない人へ向けた、トレーニング方法のご紹介でした!