筋トレをしていると、より効果的に筋肉を増やそうとたんぱく質を沢山摂る方。
糖質制限をしようと炭水化物や野菜類を控えめにする、という方法を取る方などもいるかと思います。
実際、糖質制限は効果はありますし、たんぱく質をしっかり摂ることはとても良いことなのですが、気をつけないと体の不調に繋がってしまうことがあります。
その中でも気をつけたいのが便秘。
もし便秘に悩んでいる方がいましたら、ぜひ今回の記事を読んでいただき、食生活の改善に役立てていただければと思います。
佐藤樹里(管理栄養士)
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管理栄養士。アスドリファクトリー代表。フィットネスジムでの運動・栄養指導経験後、約1年海外移住をし、現地のレストランでシェフと共に働く。現在はスポーツイベント開催、アスリートへの栄養講座、栄養個別サポートを通算1000人以上に行う。 |
目次
筋トレを始めたばかりの人に、たんぱく質を主にして食事をする方が多く見られます。
中でも、食物繊維をとれる野菜をとらない方をよく見かけます。
おそらく、野菜にも糖質が含まれているから食べるのを避けているのだと思います。
しかしそうすると腸内環境が悪くなってしまい、便秘がちになってしまいます。
また、便が酸性に傾いてしまって便の色が黒くなる、悪臭が出てしまう、お腹が張っておならが臭くなってしまうなど、さまざまな腸内の異常に繋がっていきます。
また、腸内環境を整えようと思って発酵食品を食べるようにしている方もよく見かけますが、納豆やキムチ、漬物といった発酵食品は肝心の食物繊維があまりありません。
含まれている菌は食物繊維をエサにして腸内環境を良くしているので食物繊維がそもそも不足している場合は、効果的とは言えないでしょう。
食物繊維は2種類あり、1つが水溶性の食物繊維、もう1つが不溶性の食物繊維です。
腸内環境を整える上でそれぞれどういう役割を果たしているかを解説します。
名前の通り水に溶け、食品の水分を粘着性のあるものに変える特徴があり、食べ物などを胃や腸の中に長く留まらせることができます。
血糖値を上がりづらくしたり、空腹感を感じにくくしてくれる働きをしてくれます。
こちらは、腸内で水分を吸収して大きく膨らむ特徴があり、それによって腸を刺激して蠕動運動を活発化させ、便通を良くする働きをします。
どちらの種類の食物繊維を摂った方が良いか、という点についてですが、やはりそれぞれ効果が違うのでどっちかに偏ることなくバランスよく摂ることが良いとされています。
また、先にも書いた通り発酵食品などに入っている菌は食物繊維をエサにして活動をします。
そのため、発酵食品だけでなく2種類の食物繊維をバランスよく摂り、菌が腸内環境を整える働きをしやすい状態にしてあげましょう。
不溶性食物繊維を含む食品は、主に野菜に、そのほか豆類やきのこ類などに入っています。
水溶性食物繊維を含む食品は、主に海藻類に入っています。
もちろん野菜にも入ってはいますが、量を摂るなら昆布やわかめなどを食べた方が良いでしょう。
現代ではWEB上に情報が錯綜しており、サイトによって紹介されている水溶性・不溶性の食物繊維を多く含む食べ物は異なるかもしれません。
ここでは、私が管理栄養士として学んできて、おすすめの食材をご紹介しました。
というもの、ブロッコリーにはたんぱく質が含まれていてかつ鉄分も入ってますし食物繊維も豊富で、ブロッコリーを食べることで様々な必要なものが同時に摂取出来ます。
食物繊維を摂る目的で野菜を食べる方はレタスやキャベツを食べることが多いようですが、レタスやキャベツは食物繊維の量は他と比べて多いわけではありません。
摂るとしたら緑黄色野菜の色の濃い野菜を選んで取ってあげると良いです。
食物繊維だけでなくビタミン類なども含まれているので、おすすめです。
他には、野菜だけでなく、きのこ、きくらげ、こんにゃく、ひじき、おからなどにもよく含まれているので、普段の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。
炭水化物を摂る場合は、玄米には食物繊維が多く含まれるため普段白米を食べている方は玄米に置き換えていただくのもおすすめしています。
外食が多い方ですとコントロールがしづらいかもしれません。
ただ、外食する際もトッピングや小皿によって食物繊維を増やすことが出来るので、そういった組み合わせをしてみましょう。
(お蕎麦屋さんに行く場合は、例えばわかめそばにするなどです。)
余談になりますが、やはり野菜は水分が豊富なので、鶏胸肉やささみなど、パサつきやすいものを調理するときはひと工夫加えましょう。
野菜と一緒に蒸してあげることで、美味しさにも還元することが出来ます。良かったらぜひ試してみてください。
調子が悪いなと思ってもそのままトレーニングをすることもあるかと思いますが、まず腸の調子を整えるところを意識した方が良いかと思います。
なぜかというと、腸の不調をそのままにして筋トレを続けてしまうと、腸内環境が悪いことでうまく吸収が出来ていなかったり、せっかくたんぱく質を沢山摂っているのにきちんと消化されない=吸収されずに栄養にならない可能性もあります。
せっかく食べたたんぱく質を無駄なく筋肉の材料として届けていくためにも、きちんと腸内環境を整えるようにしていきましょう。
<コンビニ食が多くて腸内環境が不安な方はこちらの記事もおすすめ!>
トレーニーにありがちなのが、プロテイン中心の食生活にしてお肉だけガツンと摂ったり、サラダチキンや卵とかだけを中心に摂っていたりします。
たんぱく質メインの人だと、糖質制限をされている人も多いです。
そう言った方にお願いしたいのは、糖質を悪者にしないで欲しいということです。
糖質は摂取の仕方次第で筋トレの効率を高めてくれます。
<こちらもおすすめ!パーソナルトレーナーが筋トレと糖質について解説>
また、たんぱく質の摂り方としては1回でガツンと食べるよりも少量頻食をおすすめします。
1日4回以上に分ける、トレーニングをする日は5〜6回に増やして少しの量を頻度を上げて食べる方が、胃に優しく、1回あたりの胃の負担が減ります。
例えばどんな食生活になるのか、一般の会社員で且つ筋トレをしている人をイメージしてみていきしょう。
7時頃:朝ごはんを食べます。
10時頃:ちょっとプロテインを飲んでみます。
12時頃:お昼は普通に食べてOKです。
14~15時頃:捕食のため、プロテインなどたんぱく質を含む食品を摂ります。サラダチキンでもOKです。
筋トレ前:ご飯など消化の早い炭水化物、ドリンクなどで糖質を摂取しましょう。
筋トレ後:タンパク質メインの食事にしましょう。
頻繁に食事をすることを想定するとこのような流れになるかと思います。
ここで大切なのは、朝昼晩のメインとなる食事時には、きちんと食物繊維を取ってあげることです。
その補食として、10時や15時などのちょっと小腹が空いた時にたんぱく質を摂るようにすることが非常に大事になります。
たんぱく質は、理想的には1日を通して均等に3〜4時間ごとにたんぱく質を入れてあげるというのが筋肉にとって良いと言われています。
しかし、普通に生活をしていると難しいと思いますので、30 gを朝昼晩3回摂るよりも、例えば15gを5〜6回に分けて摂るようにすれば、理想に近い状況を作ることが出来ます。
<バランスの良い食事の具体的な計算方法はこちら!>
ダイエットや筋トレをする人だけでなく、多くの人はカロリーを気にして脂をなるべく避ける方も多いかと思いますが、脂を取らなすぎるとそれもそれで便秘になったりします。
なぜなら、脂自体は、吸収されづらいという特徴、便自体の滑りを良くする働き、腸を刺激して蠕動運動を促したりする働きがあるためです。
そのため、便秘の改善には良い油を取ることが非常に大事になっていきます。酸化されてない油で且つオメガ3系の油を摂ることをおすすめしています。
※オメガ3を多く含むのは、青魚の脂、亜麻仁オイル、なたね油などです。オメガ3系の油には酸化しやすいという欠点があるため新鮮な油をなるべく摂るようにしてください。
<青魚に多く含まれるDHA、EPAが筋トレにもたらす効果を知りたい方におすすめ!>
今まで紹介してきた栄養素以外にも、腸内細菌を摂るのも良いでしょう。
摂ると良いと言われてるのはヨーグルトなどに含まれているビフィズス菌や乳酸菌です。
ただ、1つ注意していただきたいのは、ビフィズス菌が多いヨーグルトなども沢山売っているのでつい買ってしまいますが、人によってはビフィズス菌が合わないタイプの人もいて、個人差があるということです。
そのため、ネットの記事を鵜呑みにして1つのものを食べ続けるのではなく、自分の体や便とかを観察してきちんと向き合っていくことが大切です。
まずは一週間試してみて何かしらの改善が見られなかったら別のヨーグルトの種類に変えてみて、「何が自分に合うか」を探してみてください。
ヨーグルト以外の発酵食品にはまた別の菌が入っていて、一緒に摂ってはいけないということはなく、むしろ色々な菌を取ってみて試してみることは非常に大事になります。
例えば納豆、キムチ、味噌、たくあんなどの漬物といったものを食事に取り入れてあげるといいかなと思います。
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今回の記事では、筋トレをする人にありがちな、たんぱく質をメインにして食事をすることの盲点とその改善方法をご紹介しました。
1.たんぱく質ばかり摂っていると腸内環境が悪くなって便秘になってしまうことがある。
2.その改善のためにはまず食事を見直すこと。大事なのは以下の3点です。
1.野菜をきちんと食べて食物繊維を摂取すること
2.良い油を取って腸の潤滑を良くすること
3.そして良い腸内細菌を色々試してみて自分に合うものを見つけていくこと
3.たんぱく質を一気に摂取するのではなく、少量にして頻食を意識すること。
これらのことを意識して、たんぱく質をしっかりと吸収して身体に蓄え、無駄なく筋肉の材料にして行きましょう!