プロが伝授!ボルダリング上達のコツはオブザベーションにあり

太田裕樹

いざ登ってみたら、次の手が分からなくて行き詰まることや、悩んでいる間に疲れて落ちてしまうといった経験をされた方は多いのではないでしょうか。

 

何も考えずに登るのもそれはそれで楽しいのですが、それだけでは登れない課題も出てきます。それだけでなく1回登るたびに必要以上に体力を消費してしまい、すぐに体力の限界が来て登れない、といったこともなってきてしまいます。

 

実力を上げて上手に登るためには体力・筋力だけでなくテクニックも重要!がむしゃらに登るだけでは体力はつくかもしれませんがテクニックが磨かれません。

そんなあなたに是非実践していただきたいのがオブザベーションです。この記事では、「オブザベーションとは何か」やその必要性、楽しみ方について解説していきます。

太田 裕樹 太田 裕樹
ヒローズアップ!クライミングクラブのコーチ。ボルダリングの全日本大会である、ジャパンカップにも複数回の出場経験を持つ。

オブザベーションとは何か

オブザベーション observation 直訳すると「観察」という意味になります。ボルダリング用語としては登る前に「スタートからゴールまでの登り方を想像していくこと」を指します。一般にオブザベ、と略される事が多いです。

 

予めどうやって自分が登るか決まっていると、壁の中で悩む時間が少なくなるため壁にはりついている時間を減らすことが出来ます。体力的にも余裕が出来るので何回もチャレンジする事や色々な課題に触る事が出来ます。

 

事前の予想が上手く行ってサクッと登れた時の爽快感は格別です。予想していた動きでは上手く行かなかったり、思っていたよりもホールドが持ちにくかったりする時もあるのですが、そうした問題に対して頭を使って課題を攻略していく事もボルダリングの大きな魅力の一つです。

どこまでイメージするものなのか

第一に想像するのは「手」

ボルダリング中の手

初心者の方はまずは手の動きを予想するところから始めてみましょう。

スタートのホールドを持っているところからはじめて、1つ目のホールドに右手でいくのか、左手で行くのか。その次は・・・と考えてみるとゴールまでの道筋が浮かび上がってきます。

 

そうしたら後は実際にやってみる!最初は事前に予想した通りに手を動かす事も難しいと思います。また予想した通りに手を動かせたとしてもその手では持ちにくい、その先に進みにくくなってしまう場合もあると思います。

 

出来た部分も出来なかった部分も、またオブザベ通りに動いたら上手く行かなかった部分も含めて振り返ってみると徐々にオブザベが上達して予想と実際の登りが一致する事が増えていきます。

多方面からホールドを観察しよう

ホールドを見る際、真正面から見て全体だけを把握して終わりにしちゃう方が多いのですが、それだとどのホールドがどれくらい持てるのかって分からないのですよね。

 

正面からみてもどうしても立体視は出来ません。なので、ちょっと横に動いたり壁に近づいたりして、別の角度からホールドや課題を見るようにしてみてください。

 

横から見てみたら「このホールド意外と持てなさそうだ」といったことも分かるので、色んな角度からホールドを見ることで、より具体的なオブザベーションが出来ます。こうしてリアルな情報を集めることでオブザベの精度が全然変わってきます。

 

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手の予想の次は足の使い方を予想する

手の動きについて考えたあとは「足」ですね。手の動かし方に合わせて足をどう動かすかが想像出来ると断然スムーズに登れるようになりますよ。

登っている時って当たり前に感じるかもしれませんが、「手が動いた後はまず間違いなく足が動きます」。手を動かしたら足で、その次は手でと、ずっとこの動きの繰り返しです。

 

手を動かす回数と同じだけ、または手よりも多く足が動くのですが、皆さんどうしても登る時に目につきやすい手のことばかりに意識がいってしまうようです。オブザベーションでどのホールドをどちらの足で踏むのか、またもう一歩踏み込んでどうやって踏むのかまで予想出来るとさらにもう完登はすぐそこです。

よりオブザベーションの精度を上げるために

実際に手足を動かしてみよう!

ボルダリング前のオブザベーション

ワールドカップなどでオブザベーション中に選手たちが何人かで「こんな感じかな?」と手足を動かしているシーンを見たことがある人もいるかと思います。

 

あれは、別にカメラが見ているからパフォーマンスしている訳ではありません()手や足を実際に動かしてみることで、より具体的な想像が出来て且つ覚えやすいのです。

 

トップレベルの選手達はその重要性をよく知っており、必ず手足を実際に動かしながらオブザベーションを行っています。腕を組みながら頭の中だけであれこれ想像しているだけだと、どんなに馴れている人でも正確に予想していく事は困難です。

 

ですが、ちゃんと手足を動かしてみる事で「あれ?なんか思っていたように自分の身体動かないな?!」「こんな角度じゃ力入らないじゃん」といった発見があったりします。恥ずかしいことは一切無いので、積極的に手足を動かして確認してみてください!

 

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一歩上のオブザベを目指す

前項でオブザベーションの時には手足を動かす重要性について書きました。さらにそれを一歩勧めて実際に登る予行演習をしてみましょう。

ただ単純に右手→右足→左手のように動かすだけでなく、実際に登る時と同じように力を入れて「力み方の練習」をやってみてください。

 

例えば「アンダーホールドを両手で持って、右手を出す」という動作に対して実際にアンダーを持っている時のように両手を下からぐっとひきつけ、その後すばやく右手を次のホールドに出すような動作をする、といった事です。

 

予行演習をしておくことで実際にその場所にたどりついた後にいつもよりスムーズに体を動かす事が出来ます。

 

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友達と話し合ってセッションしてみよう!

友達と一緒にオブザベーションするのは、クライミングの楽しい時間の一つだと思います。

「この課題どうやって登る?分かんなくない?!」「こうやったらいけないかな!」とアイデアを出し合って、お互いに試しあってみましょう。

 

こうしてみんなで登る事をセッションと言います。みんなでベータ(※)を出してこの動きで良さそうっていうのを作って行く、これが非常に楽しく、完登の喜びが何倍にも膨らみますのでぜひ友達を誘って一緒にセッションしてみてください。

どう動くかを想像して出した一連の動き。

 

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出来る人はなるべく見守って欲しい

ボルダリングする子供を見守る親

クライミングジムで、たまに教えたがりになってしまう人がいます。クイズでも答えを分かっちゃうと教えたくなっちゃう気持ち、ありますよね。

 

教えてもらえるのは非常にありがたいことではあるのですが、考える時間というのもボルダリングの大きな楽しさの一つだと思います、知っている人は是非見守る時間を作って自分が経験した考える喜びをその人にも伝えてあげましょう。

 

それでも煮詰まっちゃってどうしようもなさそうだったら助け舟を出してあげるときっと喜ばれるんじゃないかな。

悩みすぎても楽しくないから区切りをつけてみよう

ボルダリングを初めて間もない方などには特に、スタッフに聞くのをちょっと我慢して自分でまずは考えて欲しいという思いはあります。

ただ、ゲームの攻略本をついつい先に読んじゃうときのような、うずうずが抑えきれなくて聞きたくなっちゃう気持ちも非常に分かります。

 

登る事がそもそも楽しい事です。「今日はもう考えたくない!無理!」といった気持ちの時は、我慢せず聞いちゃって「打ち込む楽しさ」の方に向かい合ったら良いのかなと僕は思っています。

 

自分で考えたくて「これはどうすんだろう」と悩むのが楽しいっていう日は、ぜひとも心ゆくまで考えて、悩んで欲しいです。楽しんでボルダリングをする事が何よりも大切です。

おわりに

オブザベーションについて、なぜ重要なのか、どういったことが大事かについて解説してきました。

ポイントは、以下の8点です。

1.まずは手の動きを想像する

2.手の次は足の使い方

3.真正面からだけでなく多方面からホールドを観察する

4.練習の時には足を目で追ってみる

5.実際に手足を動かしてみる

6.より上達したい方は「力み方の練習」を!

7.友達とのセッションを通してオブザベーションの精度を高めてみる

8.それらを通して「より具体的に想像」出来るようにすること!

面白いな、オブザベーションって大切なんだなと思っていただけたら、やってなかった方は次の機会からぜひ実践してみてください!

この記事を書いた人
太田裕樹
ヒローズアップ!クライミングクラブ コーチ
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