女性であれば、くびれを作りたい。
男性であれば、男らしい背中を手に入れたい。
そう感じる方は多いと思います。
これらを実現するためのポイントは背中です。
しかし、背中の筋肉は背面にあるため意識されにくいと言われています。
背面を鏡などでチェックするのが難しいため、自分の背中をしっかりと見たことがある人は少ないのではないでしょうか。
一言で背中と言っても、鍛える順番や鍛え方は様々です。
この記事では、背中を効率的に鍛えるための方法をお伝えします。
背中の筋肉の仕組みから、バーベル・ダンベル・ダンベルを用いた効果的な背中の鍛え方まで紹介していければと思います。
山本 耕一郎(パーソナルトレーナー)
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アメリカンフットボール全国制覇の経験と、3か月で25kgの減量を実践した経験を活かし、数多くのクライアントのダイエットを成功させる。早稲田大学出身。 |
目次
筋トレを頻繁に行っている人の中では、広背筋は特に人気のある筋肉です。
「くびれ」や「広がった背中」を得る上で非常に重要な部位となります。
なぜなら、広背筋は上半身の中で4番目に大きい筋肉であり、体のデザインをする上で重要となるアウターマッスルだからです。
トレーニングをすることで体のデザインに成果が出やすいのです。
まずは、広背筋について詳しく見てみましょう。
肩甲骨の下あたりの腕の付け根から、背骨に沿ってお尻にまで広がっている筋肉です。
広背筋は「何かを引っ張る動作」で主に用いられます。
背中の贅肉が気になったときは、何かそこらへんのもの引っ張ってみましょう。
その時に稼働しているのが広背筋です。広背筋は何かを引く動作で鍛えられるため、背中鍛えるには何かを引く動作をすることが重要になってきます。
肩関節を体の中心に近づける動き(内転)=腕を閉じる動作
肩関節を伸ばす動き(伸展)=肘を後ろにふる動作
肘と肩の間の腕の骨(上腕骨)を軸にして、肩関節を体の内側に動かす動き(内旋)=肩を内側に捻る動作
肩関節の水平伸展=前に挙げた腕を後ろに引いてくる動作
広背筋を鍛えたい時は、上記の4つの動作に負荷を加えてあげるのが基本動作になります。
このことを踏まえて、1つ1つ広背筋のトレーニングのポイントを押さえていきましょう。
広背筋を作る上で非常に効果的なトレーニングが「チンニング」です。
背中の筋トレの王様といっても過言ではないでしょう。
チンニングで広背筋をダイレクトに効かすにはコツが必要です。
「筋力が足りずにいきなりチンニングを行うことが難しい」という方へ向けてのトレーニングメニューも記事の後半で説明します。
その際にも、正しいチンニングの方法は基本として抑えておくべきことになります。
そのため、「自分にはできない」と感じる方も、読んでいただけたらと思います。
バーを正しく握る
肩甲骨を下に下げる
真っ直ぐに上下運動をする
チンニングの握り方は順手と逆手があります。まずは順手の場合を説明します。
この3つを意識することで握りが完成です。
肩甲骨の位置は、下に下げた状態にすることが大切です。
胸を張った状態にして、腕や肩に力が入りすぎないようにしましょう。
懸垂中は胸から真っすぐあがって真っすぐ下がります。
これでチンニングをマスターできる素地が出来上がりました。
チンニングは、ジムや公園に行えるのでぜひ実践してみてください。
次に、逆手の握り方の場合について解説していきます。
逆手の懸垂です。逆手の懸垂に関しては以下がポイントになります。
手幅を狭くしたり広くしたりすることで、広背筋への刺激を調整していきましょう!
手幅が広くなると広背筋への刺激が増えます。
ここまでチンニングのやり方をご紹介してきましたが、
「広背筋を鍛えたいけど、そもそもチンニング(懸垂)ができない」という方もいらっしゃると思います。
そのような方が次の3つのトレーニングを試してみてください。
「ぶら下がるのが難しいのなら、脚をつけたまま行おう!」というのがこの懸垂です。
負荷の調節は脚の位置で行います。
掴んでいるバーや、手を支えている壁などから、
脚を離せば負荷が増え、近づけば負荷は軽くなります。
この方法は比較的簡単に出来ると思います。
「できる気がしてきた!」と思った方は、公園の鉄棒に行ってらっしゃいませ!
「懸垂の姿勢でゆっくり降りてくる」これがネガティブチンニングです。
「ネガティブ」とは筋肉が伸ばされながら力を発揮する局面のことを言います。
通常筋肉は、縮むことで筋力を発揮します。
ですので、伸ばされながら力を発揮することを「ネガティブワーク」「エキセントリック」などと言います。
この「ネガティブワーク」は通常収縮することで発揮できる力の120~180%の出力があると言われています。
負荷が非常に高いので、回数を調整して行ってみましょう!
「チンニングの自分は動かないバージョン」と考えるとわかりやすいかもしれません。
軽い負荷でも可能なので広背筋を意識してやってみましょう。
<ラットプルダウンの詳しいやり方はこちらがおすすめ>
これでチンニングが難しい人でも、広背筋を鍛えることが出来るようになりました。
フォームを教えてくれる人をそばにつけて取り組めるとより良いですね。
今回ご紹介した方法で、フォームを確認しながら背中のトレーニングに取り組んでください。
<サプリメントでトレーニングの効率をUP!おすすめの記事はこちら>
次はバーベル・ダンベルを使った広背筋のトレーニングを紹介します。
「ぶら下げたバーベル・ダンベルを下から引いてくる」というのがベントオーバーロウになります。
※この時に肩がすくんでしまうと広背筋への負荷が減ってしまうので、首を長くして肩がすくまないようにしましょう。
※同じく腕に力を入れ過ぎず肘を後ろに引いていきましょう。
背中が丸まってしまうと十分な負荷が入らなくなってしまうため、背筋は真っすぐをキープしましょう。
肩甲骨が動いていないと、どうしても腕に力が入りやすくなってしまいます。それをなるべく防いであげることで広背筋への負荷を上げていきましょう。
逆手で行うと広背筋ではなく背中の中心に負荷を効かせることができます。
順手で行うと重たい重量を扱うことができ負荷を載せることができます。
握力がきつくなったら握力を補助してくれるアイテムであるパワーグリップなども使ってみましょう!
メインの負荷は広背筋ではなくなりますが、肩の裏の筋肉などに効かせることができます。このベントオーバーロウもしっかりと動作を丁寧に行っていきましょう!
<大会に出るような人はどのようなトレーニングをしているの!?フィジークに興味のある方はこちら>
「ジムに行かずに広背筋のトレーニングをする方法はないの?」という方も、
広背筋の機能に立ち返って考えてみると自宅でも出来ることがわかります。
「買い物後にベントオーバーロウ」をすればいいのです!
この場合は片手になりますが、ここまでご紹介したトレーニングと原理は一緒です。
「引く動作が広背筋の動作」ということに気付いていれば、日常生活で重たい荷物を見つけたら、広背筋を鍛えたくて仕方なくなるでしょう。
その時に、「なにやってんの?」と聞かれたら、「広背筋を鍛えてる!」とドヤ顔で答えてやりましょう。
こうして皆、背中の筋トレの虜になってしまうのです。
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ハードなトレーニングを終えたらストレッチをすることを推奨します。ストレッチの目的は2つあります。
激しい筋トレをして筋肉がダメージを負うと、体は筋肉を修復しようとします。
その際に筋肉が固くなる原因となる結合組織が増えすぎてしまうことがあります。
固くなってしまいトレーニング中のパフォーマンスが低下してしまった、という事態を防ぐために「広背筋のストレッチ」を紹介します。
手を挙げて頭上でクロスをさせます。この時に肘と肘をなるべく高い位置でくっつけられるように意識をしましょう。
正座した状態から両腕を前に伸ばします。なるべく手を遠い位置へ持っていきお尻は浮かないようにしましょう。(※秒数目安:深呼吸しながら20秒ほど)
ハードなトレーニングを行ったあとはストレッチをしてクールダウンしましょう。
<トレーニングの前にはストレッチも大事!背中におすすめのストレッチはこちら>
チンニングに関しての論文を一つ紹介してこの記事を締めくくります。
【Scapula kinematics of pull-up techniques: Avoiding impingement risk with training changes】
この論文では、3つの種類のチンニング(1ナロー:手幅の狭いチンニング、2ワイド:手幅の広いチンニング、3リバーズ:逆手のチンニング)を比較して、「けが(ここではインピンジメント:肩を上げていく過程で痛みやひっかかりを感じそれ以上挙げられなくなる症状)のリスクを低減するにはどうしたら良いか」というテーマで語られています。
省略してお伝えすると、結論で語られているのは、
「ワイドグリップ、リバースグリップはナローグリップよりも肩関節への負荷が増している」
ということでした。
これを踏まえて言えることは、肩への痛みを感じることがもしあったとしたら、「ナローグリップ(手幅の狭いチンニング)」ならトライできるかもしれないということです。
ケガが無いようにするためにも違和感を聞いてくれる指導者や、正しいフォームを教えてその定着を促してくれる人がそばにいると安心ですね。
<論文を元に大胸筋についても解説しています!合わせておすすめ>
背中の筋トレの中でも、広背筋のトレーニングの一部をご紹介しました。広い背中を手に入れるためにも今すぐジムに駆け込みましょう!さぁ!ぼーっとしている時間はないぞ!
トレーニングで広背筋を意識するは、最初は難易度が高く感じられると思います。
私の経験側ですが、日ごろから広背筋を意識すると筋トレで「広背筋」が動いているという意識を持つことができるようになったと感じています。
そしてこの広背筋のトレーニングにおけるよくある間違いは「肩甲骨の位置があがってしまうこと」です。肩甲骨の位置があがってしまうと僧帽筋を働かしすぎてしまうことがあります。そんな経験があるため、下記の3点をトレーニングのポイントとしてあげます。
広背筋の動作を日ごろから意識する
肩をすくめない=首を長くするような意識=肩甲骨を下げる意識でトレーニングに取り組む(しっくりくる表現で個人にあった感覚を得てください!)
ジムに行こう!(ジムに行かないとはじまらない)