「ダイエットのために走ろう!」
「ランニングして痩せてキレイになるぞ!」
そんな風にお考えのあなた!痩せるため、美容のために頑張る姿、本当に素敵です!
しかし!そんな「美しくなりたい!」という思いとは裏腹に、ランナーはお肌などの美容トラブルを抱えやすいことをご存知でしょうか?
痩せるだけでなく美しい肌や髪を維持するには、十分な栄養摂取が必要になります。
そうは言ってもランニングと関係のある栄養素なんて、なかなかわからないですよね。
ランナーが気にするべき栄養素はタンパク質・鉄分・ビタミンの三つです。
もちろん他にもたくさんの栄養が必要ですが、特に注意したほうが良い栄養素はこの三つです。
では詳しく見ていきましょう!
佐藤樹里(管理栄養士)
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管理栄養士。アスドリファクトリー代表。フィットネスジムでの運動・栄養指導経験後、約1年海外移住をし、現地のレストランでシェフと共に働く。現在はスポーツイベント開催、アスリートへの栄養講座、栄養個別サポートを通算1000人以上に行う。 |
目次
まず第一にあげられるのがタンパク質です。タンパク質というと筋肉を作る栄養として印象が強いですよね。
タンパク質は筋肉以外にも、髪の毛や爪から美しい肌まで、体の多くの部分を作っています。
免疫機能をサポートの役割もタンパク質が担っているんですね。
ですからタンパク質は筋肉だけでなく人体にとって非常に重要な栄養素です。
ですが、ランニングに必要なタンパク質量を摂れていない人が多くいます。
私自身、管理栄養士としてお客さまの栄養相談に乗る場面もあるのですが、女性の食事一般を見るとこのタンパク質が不足気味の傾向があります。
まず食事量が少ない方が多く、野菜中心やパスタだけのようにタンパク質が足りていない食事をとっている方が多いです。
そんな状態でランニングしたり、トレーニングをしたりするとかえって筋肉が減ってしまう可能性もあるんです。
タンパク質不足のデメリットはそれだけではありません。筋肉が減る可能性があるだけでなく、肌がボロボロになったり、髪の毛がバサバサになったりしてしまう可能性があります。
せっかく美しくなるためにボディシェイプのためにランニングを始めたのに、肌や髪のトラブルに悩まされてしまうのでは本末転倒ですよね。
体を壊してしまう可能性すらありますから、走る前にタンパク質を取って栄養のベースを整えていただくことはとても重要です。
もともと私も栄養学を学ぶ前は、カロリーだけ見て低カロリーのもの選んだり、サラダ単品にしたり、という食事をしていてかなりタンパク質が足りていませんでした。
結果として貧血気味になったり、肌ツヤが悪かったり、化粧ノリが悪くなったり…と今から思うとタンパク質不足だったなと思うことがあります。
栄養学を学び、ランニングや筋トレを始めていく中で、タンパク質を摂取するように意識し始めました。積極的に摂ろうと意識してから髪の毛の艶も良くなりましたし、爪も伸びるのが早くなりました。このようにとてもなタンパク質はとても重要で意識して食べる必要のある栄養素です。すこし摂りすぎているかなと思うようなぐらいで、実際ちょうどいいと思います。
もちろん、ランニングや筋トレの後にタンパク質を追加で摂ることができれば、ランニングや筋トレで壊れた筋肉を修復しようとタンパク質が働き筋肉を作ってくれます。
この時にもしタンパク質がなかったら、せっかくランニングをしても傷ついた筋肉がそのままになってしまい、かえって弱ってしまいます。
ですからランニングの後にタンパク質を摂ることはとても重要です。しかもこのときタンパク質だけではなく糖質もあればさらに合理的な筋合成が可能になりますので、タンパク質と糖質を合わせて摂るようにしてください。
<プロテインでタンパク質を摂取するのもおすすめ!具体的な方法はこちら!>
では実際にこのタンパク質、どのような食品から摂ればいいでしょうか?
特にオススメはお魚です。例えばカツオやマグロ等の赤身の魚が非常に良いと言われていて、タンパク質以外にもこの後にご紹介させていただく鉄分等の栄養素も含まれています。
しかもこれらの赤みの魚の油がコレステロール値を下げたり、動脈硬化を防いだりする効果があると言われていますのでどんどん食べることをおすすめします。
お肉の場合ですと、脂質の少ない赤身肉がタンパク質だけでなく鉄分も摂れるのでおすすめです。
特にローストビーフ等の油が少ない調理法をかがいいです。赤身肉意外ですとささみ肉等の脂質が少なめなお肉がタンパク質の摂取にとっては好ましいです。
ランニングは有酸素運動です。有酸素運動は酸素を非常に使いますから、その酸素を運搬するのに必要な鉄分を原料とするヘモグロビンをたくさん必要とします。
ですからランナーにとって鉄分は最も大事なものの一つです。
しかも女性のランナーには男性のランナー以上に鉄分が必要な理由があります。
もともと女性には周期的な生理があって鉄分は不足しがちだという事実があります。しかもそれに伴う隠れ貧血の方が非常に多いです。立った時にフラッとするなど、自覚症状のある貧血の方も多いですが、単純な鉄分の数値は正常なのに実際は貧血になっている隠れ貧血の方もたくさんいらっしゃいます。
この隠れ貧血はフェリチンという数値を見ると足りてない事がわかります。
このフェリチンとヘモグロビンの関係ですが、例えるなら財布に入っているお金と銀行に預けているお金のような関係です。
ヘモグロビンが例えば財布に入ってるお金だとすると、フェリチンは銀行に入ってるお金のイメージです。お財布にお金がたくさん入っていても銀行にお金が入っていないとトータルでは足りていないことがありますね?これが隠れ貧血です。
ですから、表面上の鉄分が足りていてもフェリチンが足りていないと体に不調が出てしまうことがあります。健康診断や貧血のチェックのときには鉄分だけでなくフェリチンも見ることをオススメします。
<合わせて読みたい!医師が解説するランナーの陥りやすい貧血の基礎知識>
このフェリチンですが、食べ物では基本的に鉄分の含まれている食品を摂ることで補えます。
そして鉄分を摂るのにオススメの食べ物で一番代表的なものはレバーです。レバーは鉄分の摂取にとってとても優秀ですからどんどん食べることをおすすめします。
他には赤身の魚や肉にも動物性の鉄分が入っています。植物性の鉄分は納豆や高野豆腐、ブロッコリー、プルーンなども鉄分豊富な食べ物です。
このように鉄分が含まれている食品には大きく二つに分かれています。一つが動物性の食品に含まれる鉄分、もう一つが植物性の食品に含まれている鉄分です。
動物性は文字の通りに肉や魚に含まれています。植物性は例えば先にご紹介した納豆や高野豆腐などの大豆製品やブロッコリーなどの野菜に含まれてきます。
この二種類の違いですが、吸収率がそれぞれ違います。一般的に動物性の鉄分の方が吸収しやすい良いとされています。ですから効率的にとりたいなら動物性食品からの鉄分をとることがおすすめです。一方で植物性の鉄分はこの後ご紹介するビタミンC を同時に取ることで飛躍的に吸収率を向上させることができます。
鉄分を取るタイミングですが、タンパク質同様に毎食摂ることがベストですが、特に運動後に摂ることが重要です。
運動によって汗をかくことで他のミネラル同様鉄分も失われてしまいますので、ランニングやトレーニングなどで汗を書いて失われてしまったタイミングで鉄分を補えればいいでしょう。
<ランナーは貧血以外にも膝の痛みに気をつけよう!食事で膝痛を予防する方法はこちら>
美容のビタミンとしても知られているビタミンCですが、意外に知られていないのがストレスによってビタミンCはすぐに失われてしまうものだということです。
そしてスポーツは積極的に外部刺激にさらされるという点である種のストレスを体は感じている状態です。ですから足からの刺激や息切れ、苦しさなどのストレスによって意外にもビタミンCは失われてしまっています。このためランナーの中にはビタミンCが不足している人もいますので、ぜひ摂るべき栄養素といえます。
しかも鉄分とビタミンC を合わせて取ると吸収率が上がります。
特に植物性の鉄分はビタミンCとともに摂ると吸収率が30%上がるといわれています。このビタミンC を摂るタイミングですが、ビタミンCは基本的に水溶性のビタミンですからすぐに失われてしまいますのでどんどん摂ってしまって大丈夫です。毎食取り入れるぐらいがちょうどいいと言えます。
ビタミンCが含まれる食材は主に柑橘類のオレンジ、レモンなどが豊富です。他にもフルーツ系ではキウイやいちご等かにも多く含まれていますし、野菜でいえばじゃがいもやブロッコリー等にもビタミンCが多く含まれています。
ランナーの管理栄養士という点からランナーが特に注意したほうがいい栄養について説明しました。
特に重要なのは筋肉を作るタンパク質、有酸素運動を支える鉄分、走る過程で体から失われてしまうビタミンCです。
マグロやカツオなどの赤身の魚などはタンパク質と動物性の鉄分を両方取れますし、大豆だと植物性の鉄分とタンパク質が取れます。
植物性の鉄分はビタミンCと同時に取ることで吸収率が上がりますからブロッコリーはこの両方がとれる理想的な野菜です。
ですからランニングした後にこれらの栄養素を意識して摂っていただければ、より健康な体になって、よりよいランニングライフを楽しめると思います。
<フルマラソンに出るような方には、大会前の食事法としてこちらの記事もおすすめです!>