• ホーム
  • 身体を磨く
  • 考える力が育つ習い事!指導現場で感じたボルダリングの子供への効果

考える力が育つ習い事!指導現場で感じたボルダリングの子供への効果

太田裕樹
当サイトの監修・執筆者

ここ数年でクライミングジムの数は急増していて、子どもでも登れるジムや、親子でボルダリングを楽しめる場所も増えてきました。

 

テレビなどで子どもが登っている映像も見掛けるようになりましたよね。また、ボルダリングジムだけでなく各地のアミューズメント施設や遊園地などに登るアトラクションも増えてきていますね。子どもと一緒に楽しんでみたい気持ちがあったり、または子どもがやってみたいと言っているからスクールを調べてみたという方もいらっしゃるかと思います。

 

そんな時に「本当に子どもでも出来るのか、自分の子は大丈夫だろうか」という心配があるかと思います。そこでこの記事では、安心して楽しんでいただくために「子どもにも出来るのかどうか?」や、「子どもがボルダリングをする効果」、「おすすめしたい理由」などについてご紹介します。記事を読んで楽しそうだなと思ったら、ぜひともクライミングジムで実際に登ってみましょう!

太田 裕樹 太田 裕樹
ヒローズアップ!クライミングクラブのコーチ。ボルダリングの全日本大会である、ジャパンカップにも複数回の出場経験を持つ。

ズバリ、子供にも出来る?

さっそく疑問について回答しますと、「できる」と言っていいと思います。

 

子供がいる家庭ではみなさん「椅子」や「テーブル」に登りたがってハラハラした経験ありますよね。子供は登りたがるもの。もちろん、どの程度出来るかはその子の性格や成長度合いにもよりますが、子供向けの壁であれば2歳ぐらいのお子さんでも登って楽しむことが出来ます。

好きなペースで楽しめる

子供はみんな登るのが好き、と言っても木登りしたがる子がいればしたがらない子もいますし、ジャングルジムが好きな子とそうでない子がいるように、ボルダリングジムで登るのが楽しい!もっともっと登りたい!という子もいれば1回登って満足!という子もいるかと思います。

 

そのあたりは大人と一緒、子供の性格に合わせて楽しめる範囲で少しずつ初めていってもらうのが良いですね。それまでそんなに興味がなかった子がある日突然ハマった!なんていうのもよく聞く話です。難易度に関しても優しい課題を沢山登るのが楽しい!という人もいればどんどん難しいのに挑戦したい!という人もいますのであまりこだわりすぎず、好きな楽しみ方を見つけてみると長続きするかも。

 

子供たちを見ていると意外とゴール出来なくても登ることそのものが楽しくて何度も挑戦していっぱい登って満足~という感じが多いです。大人のほうがゴール出来なくて悔しかった課題が忘れられなくてまたきちゃいました!という人が多いですね(笑)

子供と行くジムの選び方

ボルダリングをしている女性

この項では、子供と一緒に行く場所を選ぶ際の注意点についてご説明します。安全のためにボルダリングジムでは子供の利用エリアや時間が制限されています。

子供が使える利用エリア・時間が決まっている

多くのボルダリングジムでは子供の利用に制限があります。特に都内は狭いところが多くて、お互いの安全のためにそうした措置が必要です。

そのため「何歳なら何時までいけるのか」や「保護者も一緒に登らなければいけないのか、見ているだけでも良いのか」について、行く前にそのジムのルールを調べてからおくようにしましょう。

 

施設内の利用エリアについても「子供専用エリア」があったり、子供には使える場所の制限があったりします。また用意されている課題も子供用の距離感の課題があるジム、ないジムがあります。

最初はHPなどを調べて子供の利用に前向きなジムを選ぶのが良いです。

 

なぜ制限を掛けるかと言うと子どもにとって怪我をする危険性があるからです。

クライミングジムは、部屋の中で遊んだりするのとは違い、上から人が落ちてくることもあります。また、大人と子供が一緒になって遊ぶ場所です。

 

ルールを守って利用していれば安全ですが、子どもは特に興奮すると目の前のことに集中して周りが見えなくなってしまいがち。

ちょっとの気の緩みが大怪我に繋がることもあります。

 

<ボルダリングのルールやジムでのマナーが不安という方にはこちらの記事がおすすめ>

初めてボルダリングジムへ行く前に読もう!初心者向け基礎知識やルール解説

 

そういうリスクもあるからこその制限なのですが、逆に考えると利用制限をかけるということはそれだけスタッフさんが気にかけているという証でもありますね。煩わしいと感じるかもしれませんが、最初はそれくらいが良いのではないかと思います。よく注意してあげて、せっかくの楽しい日を良い日にしてもらえたらと思います!

親子だからこそのボルダリングの楽しみ方

親子でボルダリングをしている様子

せっかく親子で行くなら、ぜひ見るだけではなく一緒に登ってみてください。大人も子供も悩むポイントは全く同じ!どうやったら次のホールドが掴めるか。同じ目線で楽しめる貴重なスポーツです。

 

初めて行く場合だと、お父さん・お母さんが登れなくて子どもだけが登れちゃうこともよくあります。お父さんはプライドにかけてぜひ子どもと戦ってください()

 

<ボルダリングジムに初めていく前はこちらの記事をご確認ください!>

ボルダリングを初めてする方必見!ジムスタッフが教える初心者完全ガイド

子供と大人が一緒に本気で楽しめるのがボルダリングの魅力

壁・課題と向き合った時、そこには大人だとか子供だとかは関係なく、ただ自分と登りたい課題がある。人同士が競うのではなく、自分の限界にチャレンジする、そんなスポーツです。

 

どんな課題であったとしても今まで出来なかった箇所を突破したら全力でお互いに喜びあって、褒めあって、楽しみましょう。ボルダリングは、大人と子どもが一緒に本気で楽しめる数少ない競技です!もし先に登られちゃったら全力で大人気なく「まだまだお前には負けねーぞ!」ってチャレンジしている背中を見せてあげてください。

子供のボルダリングの練習方法について

上でも少し説明しましたが、一口に子供といってもみな個性的。集中力がある子もいればない子も、体が強い子・弱い子がいます。その子に合わせた頻度、負荷でチャレンジする機会を作りましょう。

スクールで子供たちに教えていること

精神面の話になってしまうのですが、まずは自分で考えて自分で登ることをすごく大切にしています。私の方から押し付けて登らせるのではなく、子供自身の登りたいという欲求の元に登っていると思えること、それが大切です。

 

登ることで高い場所に行きますから当然地面にいるよりも怪我のリスクがあがります。そんな中でどこまで登るのか、あるいはやめるのか。自分がおかれている状況を冷静に判断して向き合うことが必要です。そうした精神的な充実をボルダリングをしていくことで得ることが出来ます。

 

その次に肉体的・技術的な面です。なによりもまずは「たくさんこと」

ホールドをつかめた経験もつかめなかった経験も必ず次の糧になります。「足置きの練習をしてみましょう」とか「姿勢を気にして登ってみましょう」といった技術的な練習も大切ですが、自己流でなんとかゴールを目指すこともそれと同じぐらい大切です。

 

そうしてチャレンジしていく中で段々と体も強くなり、出来ることが増えてどんどん難しいことが出来るようになります。

ただ、技術に関してはやはり、意識して練習するのとしないのとでは差が歴然。きちんと練習するのがおすすめです。

 

<登るのに腕力はそこまで要りません!登り方が不安な方はこちらがおすすめ>

初心者は腕力で登ってはダメ!初めてのボルダリングでうまく登るコツ

子供をどれくらいの頻度で通わせたら良いのか

「どれくらいやらせるか」や「他の習い事(水泳など)は、ボルダリングに本気なら辞めさせた方がいいのか」といった疑問は、お子さんが本気になって取り組みたいと思い始めてくると直面する疑問だと思います。

 

どハマりして「もう水泳行きたくない!」と言うなら無理に続けさせることも無いと思いますが、僕としては、本人が楽しんでいるなら両方やれば良いと思っています。年を追うにつれて「こっちの方が楽しい!」となってくるかもしれないので、その時になったら「どちらの道を選ぶか」を子どもと一緒に考えてあげてください。

 

日本人はとかく1つにしぼりたがりがちですが、海外のトップ選手は複数の競技をやっていたり、学問方面でもある程度以上の成績をあげていたりと多方面で活躍している方も多いです。

他の習い事との相乗効果もある!?

クライミングは原始的な人間の体に基づいたスポーツです。登ることで特に意識せずとも自然と体幹が鍛えられます。

 

体幹が強くなることは他の全てのスポーツで有効で、例えば走るのが速くなったり泳ぐのが速くなったりしますし、野球・サッカーなどでもスイングが安定したいり、シュートの威力があがったりという効果が期待出来ます。逆に、水泳を頑張ってやっていたら、肩の筋肉が付いてクライミングでも役に立つようになった、ということもあります。

 

なので、ぜひ欲張って両方チャレンジしてもらえたらなと思います!

 

<ボルダリングでどんな筋肉がつくのか!?気になる方におすすめ>

ボルダリングに必要な筋肉は登って鍛えるのが基本!初心者のための筋トレ入門

クライミングを通じて子供たちに学んで欲しいこと

ボルダリングをする子供

自分で責任を持つということ

まだ「自分がそういう想いでいる」という段階なので、必ずこれが身につくと言うことでは無いのですが、僕としては自分で責任を持つことを覚えて欲しいと考えています。何をしても良い、どうやってもいい、どうやっても登ってもいいし、リスクをどうするかも、行くか行かないかも含めて全部自分の判断です。

 

大会も、出たくないなら出ないで良いです。壁の中にいる間は誰かが助けてくれるわけでもありませんし、次の一手を出す/出さない、どっちの手を使ってどうやって進むかなども自身の判断になります。

あなたはどうしたいか、を考えて欲しい

そういう「自分のことを自分のものとして自分でコントロールする」ということを覚えられるのがボルダリングだと思っています。

 

そのように、自立する、ということを学んで欲しいです。お父さんお母さんが言うから、ではなくて「あなたがどうしたいのか」ということが、ボルダリングにおいては大事だと思っています。

補足:子供をスクールに通わせる理由

ご両親が習わせたいからというきっかけよりはボルダリングに通う子供さんには、「子どもが登りたいと言っていた」からや、「登るのが楽しかったから習い事を探してみました」という方は多いですね。

 

ただ、ボルダリング自体がまだマイナースポーツなので、取り組んでいる方の中で、競技意識している人の率は逆に高かったりはします。

他のスポーツでは経験出来ないボルダリングの特徴

団体競技だと特に、監督の指示や味方の動きも意識しないといけなくて、考えられるパターンが狭かったり、自分の判断に限りがあることも多いと思うので、ボルダリングはそういう意味では特殊なスポーツだと思います。

 

練習では「20分間で出来るだけ登りこめ!」と体育会系っぽいことをやる日もありますけど、基本的には、体力的な違いもあるので、全員で同じことをやるようなメニューはやりません。

 

だれている子がいても、「別に良いよ、休んでなー」って言います。僕はクライミングを始めたのが遅かったので子供には実際どう考えているのか聞いてみています。

 

すると、言葉にするのがまだ得意ではないものの、登ることに関しては大人が思っている以上に考えていたりします。それが合っているかどうかはともかく、どうやって登るかを子どもたちなりにすごい考えています!

やり方が間違っている場合は良い方向に導く

とは言え、間違った判断をすることも多くあります。

例えば、インターバルを短くして沢山チャレンジしている子がいて、「そんな登って疲れないの?」って聞いても「大丈夫!」って言うのでそのまま見ていたら、いつまでも登れないということがありました。その時には「とりあえず3分休め」と強制的に休ませたら、登れるようになっていました。

 

やっぱり疲れてるんじゃん!ってなりましたね()こういう子はおそらく、筋肉のことを把握していないとかっていうよりは「やりたい!」っていう気持ちが優っているのかなと思います。登りたい気持ちや好奇心が我慢できない。

 

それはそれでとても良いことではありますが、体力が回復すると登れたりするので、こういう場合などはあえて抑えたりすることもあります。

 

<休憩中はオブザベーションをして登り方を考える時間!オブザベーションを知りたい方はこちら>

プロが伝授!ボルダリング上達のコツはオブザベーションにあり

スポーツは「楽しむこと」が大大大前提!

ボルダリングに関するニュースや、オリンピックの正式種目になったというのを知って子どもに習わせたいと思っている方々には特に、「スポーツというのは”ただ楽しければそれでいい”ものなのです」ということを、声を大にして伝えたいです。

大事なのは楽しいという気持ち!

競技の成績が出る/出ないに関わらず、上手い/下手に関わらず、その子が楽しい!と思うことが最優先で、それは邪魔しないであげて欲しいです。

 

側から見ていると上手ではないから「それなら辞めちゃった方がいいんじゃない?」と言いたくなるかもしれませんが、本人が楽しければそれで良いのです。スポーツって本来そういうもので、成績とは関係なく、楽しむことが大事だと思っています。特にクライミングはそれが強いと思っていて、競技の成績やその子の成長率が周りに比べて遅い/早いだけで判断して欲しくはありません。

クライミングは長く広く楽しめる!

クライミングの世界はとても広くて、色んな楽しみ方があります。

クライミングジムで課題を追求するのも良いですし、コンペに出るのも楽しいでしょう。山に行って岩を登っても良いし、アイスクライミングって言って氷を登ることもあります。

 

また、何歳でも楽しめるスポーツですので、小学生の時にハマって「ボルダリングって楽しい」って想いを残せたら、もしかしたらその子の一生を支える柱になるかもしれません。

 

逆に、競技としてガンガン打ち込ませて、中学・高校あたりで成績出なくなって「もういい、クライミング飽きた」ってなっちゃうのは、僕はとても寂しいです。

なので、子供の楽しい!と言う感情を大事にして欲しいと思います!

この記事を書いた人
太田裕樹
ヒローズアップ!クライミングクラブ コーチ

MYREVOはパーソナルトレーニングジム、ヨガスタジオ、
ストレッチ、ダイエット、ランニングに関する
プロ集団が著者・監修を担当

パーソナルトレーナー

山本耕一郎

パーソナルトレーナー

斎藤裕香

パーソナルトレーナー

松浦晴輝

パーソナルトレーナー

YOKO

フィジーカー

栗原強太

ストレッチトレーナー

福原 壮顕

ヨガインストラクター

斉藤玲奈

管理栄養士

佐藤樹里

プロランニングコーチ

大角重人

監修者一覧