ランニングをすると筋肉が落ちてしまうのか?気になったことがある方もいるのではないでしょうか。
ランニングは筋肉を分解してエネルギーを生み出すことがあるとも言われるため、その疑問はあながち間違いではありません。
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倉本 岳
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参加者3000名を超える都内最大級のランニングチーム「Morning Running Club(通称モニラン会)」の代表。フルマラソンの自己ベストは3時間26分。 |
目次
ランニングを行うことで身体のどの部分に筋肉が付いていくのでしょうか?
ランニングを行うこと鍛えられていく筋肉は、主に以下の6つの筋肉になります。
ランニングは走る運動なので下半身の筋肉が付いていくことはイメージできるかと思います。
その他にも、ランニング中に上半身のバランスを保つために背中の筋肉、お腹の筋肉も使用されています。
ランニングを継続することで下半身の筋肉だけではなく、上半身の筋肉も鍛えることができますので、全身の筋肉が満遍なくランニングを行うことで付いていきます。
ランニングを行うことで全身の筋肉が付いていきます。ですが、フルマラソンを選手はそんなに筋肉が多いようには見えません。
そして、ランニングなどの有酸素運動は長時間続けると、筋肉が落ちてしまうという話を聞いたことがあると思います。
ただ、必ずしもランニングを行うことで、筋肉が落ちてしまうということではありません。
仮に筋肉が落ちてしまう原因があるとすれば、以下の3つの原因が考えられます。
人間のエネルギーは糖質、脂質、タンパク質を利用して生み出されていきます。この中でエネルギーとして真っ先に利用されるのは糖質です。
糖質はエネルギーに変換しやすく、即効性のあるエネルギー源として身体に利用されます。
次に脂質、タンパク質がエネルギーに変換されていきます。
激しい運動や長時間のランニング、そして空腹状態などが長く続くと、身体にある糖質が不足してしまいます。
その場合は、脂質、タンパク質を分解して体内で糖質が作り出されます。体内で糖質が作り出される状態のことを一般的に糖新生と呼んでいます。
長時間のランニングにより糖新生が発生してしまうと、体内の筋肉が分解されてしまいます。
ランニングをすることで筋肉が落ちてしまうという原因として、糖新生を発生させるエネルギーの不足が深く関わっていると思われます。
ダイエット中は有酸素運動などを中心に運動を行っていき、食事制限も組み合わせて体脂肪を落としていくのが一般的です。
ところが食事制限、特に炭水化物を控える糖質制限などを過度に行ってしまうと、上記で説明したと糖新生が発生する状態を生み出してしまい、筋肉が落ちてしまう可能性があります。
糖質制限を強く行っている間に長時間のランニングをすると、体脂肪は短期間で急激に落ちていきますが、同時に筋肉も落ちやすくなってしまいます。
このように、ランニングを行うことで筋肉が落ちる原因として、過度の食事制限によるものが考えられます。
ランニングは全身の筋肉を刺激するものですが、筋肉を刺激する負荷は、他の筋肉トレーニングよりも弱いものになります。
筋肉が発達する条件として、筋肉に負荷を掛けて筋繊維を傷つけ、それが修復する過程で発達していきます。
しかし、ランニングによる筋肉の負荷は弱く、筋繊維を傷つけるには十分な運動とは言えません。
ランニングを継続することで心肺機能は向上し、より長い距離を走れることが可能になります。ただし、エネルギー消費も激しくなりますので糖新生を発生させる条件がより整います。
また、身体は必要としない筋肉を衰退させていくという働きがあります。
ランニングを続けていくと、ランニングに必要としない筋肉は衰退していく可能性も考えられます。
ランニングはトレーニングの負荷が弱い傾向があるので、筋肉は一定以上発達しづらいです。
ランニングと筋トレは相性が抜群です。ダイエット中はランニングと並行して筋トレを行えば、より効率よく体脂肪を落としていくことができます。
また、筋トレをすることでランニングのパフォーマンスを向上させることが可能となるので、ランニングと筋トレは相性が良いと言えます。
ランニングをする上でポイントとなるのが、お尻の筋肉、大殿筋・中殿筋です。
大殿筋・中殿筋を鍛えることで、ランニング中の無駄な体力の消耗を防ぐことできます。
大殿筋はランニング中の前へ進む力、推進力を生み出す筋肉であり、中殿筋はランニング中の体幹を安定させる働きがある筋肉です。
大殿筋を鍛えることで推進力を向上させることが可能となり、ペースを上げても疲れにくくなります。
そして中殿筋を鍛えることで体幹が安定することにより、ランニング中でも身体の軸がブレなくなり、無理な姿勢にならず、疲れにくくなります。
また、ランニングでは体幹を安定させるインナーマッスルを鍛えると、より体力の消耗を防ぐことができます。
筋トレを行うと、ランニングを継続させるスタミナを向上させることが期待できます。
人間の身体には即効性でエネルギーを変換できる、グリコーゲンというものが貯蔵されています。
グリコーゲンが貯蔵されているのは筋肉、肝臓です。
グリコーゲンの貯蔵量が大きければ、大きいほど、運動を継続させるエネルギーが枯渇しにくくなる。つまりスタミナが向上するということです。
そのため、筋トレを効果的に行い、筋肉量を増やせば、グリコーゲンの貯蔵量が増加してスタミナが向上します。
筋トレはランニングで重要となる筋肉、特に体幹を安定させるインナーマッスルを重点的に鍛えるとよいでしょう。
筋トレをすることで、ランニング中に生じる怪我を防止する効果が期待できます。
ランニングは、片足飛びを繰り返して動作が続きます。片足飛びをしたときの着地による衝撃は、予想以上に大きいものです。
ランニングを長時間続けると、着地の衝撃で関節や筋肉を痛めてしまう可能性があります。
そこで、ランニング中の衝撃を和らげるために関係する筋肉をしっかりと鍛えておけば、着地の衝撃に対するクッションとしても機能します。
ランニングは長時間継続させるものなので、徐々に膝や腰などの関節を痛めていきます。
少しでも身体への負担を軽減させるために、膝や腰回りの筋肉を鍛えて、ランニングで生じる衝撃から身体を守っていく必要があるのです。
プランク、サイドブリッジ、バックブリッジなどの筋トレを行うことで体幹を強化するインナーマッスルを鍛えることができます。
インナーマッスルとは、背骨周辺にある筋肉群の総称です。深層筋、姿勢保持筋とも呼ばれます。
インナーマッスルを鍛えることでランニング中でも身体の軸が安定して疲れにくくなります。
また、ランニング中に脇腹が痛くなる経験をしたことがある方は多いかと思われます。
これは、横隔膜の痛みによりものだと言われています。インナーマッスルを鍛えていくことで横隔膜の痛みが起こりにくくなるとも言われています。
体幹を鍛える筋トレを行っていくことで、ランニングフォームが改善されます。
運動中、身体の歪みや左右の筋肉バランスの違いなどから、ランニングフォームが意識していても乱れている可能性があります。
ランニングフォームが乱れると、身体に無理が生じ、疲労を感じやすくなるだけでなく、膝や股関節周りの怪我を生み出す可能性も出てきます。
体幹をきちんと鍛えて身体のバランスを整えることができるようになると、自然にランニングフォームが改善されていきます。
ランニング中、無理のない姿勢で走ることが可能となり、余計な疲労や怪我などを予防することができるのです。
ランニングを強化するためには下半身、体幹を強化する筋トレを行うことがポイントです。
そこで、ランニングを強化するために、おすすめの筋トレメニューを下記に紹介を致します。
しっかりと下半身、体幹を強化すれば、効率よくランニングのパフォーマンスを向上させていくことができます。
フロント・ブリッジはインナーマッスルを鍛える筋トレです。
インナーマッスルを鍛えることで体幹が強化され、ランニング中の姿勢、フォーム改善の効果が見込めます。
下記にフロント・ブリッジのやり方の紹介を致します。
フロント・ブリッジはトレーニング初心者の方でも簡単にできそうな気がしますが、実際に30秒間姿勢をキープするのはかなり厳しいかと思われます。
最初は10秒〜20秒でもいいので、徐々に30秒間をこなせるようにトレーニングを続けてみてください。
ランニングに必要な脇腹の筋肉、腹筋の筋肉を鍛えていくトレーニングがニートゥーエルボーです。
ニートゥエルボーはランニングに必要な腹直筋、腹斜筋、腸腰筋を満遍なく鍛え上げることができます。
腹直筋、腹斜筋、腸腰筋を鍛えれば、体幹が強化されてランニングが安定します。
ニートゥエルボーのやり方を下記に紹介を致します。
上記の流れを1セットとして、最低3セットは行いましょう。
ポイントは腹筋を意識して行うこと。なるべく背中を伸ばすこと。膝を高く上げることです。この3点を意識しながら行ってみてください。
初心者の方は少し柔軟性が不足して、背中が丸まってしまうかもしれません。
その場合でも、膝をなるべく高く上げることを意識すればトレーニング効果を得ることができます。
スプリットスクワットは、ランニングで必要とする、下半身の筋肉を満遍なく鍛え上げることができます。
大殿筋、大腿四頭筋などの筋肉を強化することを目的としたトレーニングです。
下記にスプリットスクワットのやり方を紹介致します。
スプリットスクワットを行うことで脚力・バランス感覚の向上が見込めます。
初心者の方でもスプリットスクワットは効果がでやすいので、頑張ってみてください。
ダイアナゴルもランニングに必要な体幹を強化することができます。
ダイアナゴルのトレーニングをすることで腹斜筋、大殿筋などを鍛えていくことができます。
ダイアナゴルのトレーニング方法を下記に紹介を致します。
初心者の方は、おそらく1セットを行うのが精一杯かもしれません。
その場合は休憩時間を長く取り、場合によっては1日かけて行っても大丈夫です。
ランニング初心者の方に向けて、練習法の紹介を致します。ランニング初心者の方は、まず、5kmを走れるようになることを目標にしましょう。
ランニングはもちろん、日頃から運動をほとんどしていないという方は、5kmを完走する筋肉、心肺機能も備わってはいないはずです。
ランニングによる衝撃から身体は守り、脂質を効率よくエネルギーに変えていく身体に鍛えていかなければ、5kmを完走することは難しいはずです。
ですので、下記に初心者の方がランニングで5kmを完走するための練習法を紹介いたします。
ランニング初心者の方におすすめのトレーニングは、スロージョギングです。
このスロージョギングは時速5km前後のペースで長い時間を掛けてゆっくりと走るというトレーニングです。
時速5kmと書きましたが、自分にとって疲れないゆっくりとしたペースであるならば、特に決められた数字はありません。
ランニング初心者の方は、長時間のランニングにも適応できる身体を作っていくことが大切です。
スロージョギングは速筋を使わないので、長時間の運動が可能となります。そして、身体中の毛細血管にゆっくりと血液が循環されるようになります。
筋肉にある毛細血管の血流がよくなれば、多くの酸素が筋肉に送り込まれるようになります。
筋肉に多くの酸素が送り込まれれば、それだけエネルギーが効率よく生み出されるようになりますので、長時間のランニングに耐えられる身体に変わっていきます。
ランニングは身体の可動域を一定に動かして刺激を与える運動です。負荷は弱いですが、長い時間、筋肉や関節に負担を掛けますので、ランニング前後のケアが大切になります。
初心者の方はランニングに適した筋肉がまだ出来上がっていないはずなので特に注意しましょう。
ランニング前には、筋肉や関節を温めるウォームアップを目的とした動的なストレッチ。ランニング後は硬くなり緊張した筋肉を緩和させるストレッチ。
ランニング前後にストレッチを行うことを習慣づけましょう。特にランニング後のストレッチは疲労回復を促進させますので、しっかりと行うことが大切になります。
ランニングは長時間、運動を継続させるために筋肉痛が発生しやすいものです。特に太ももなどの下半身の筋肉に痛みが出てくるかもしれません。
そこで、ランニングの後の筋肉痛を緩和させる方法などを下記に紹介をしていきます。
強度が高いランニングを長く継続すると、筋肉に痛みが出てくる可能性があります。
筋肉に痛みが出てきた場合は、アイシングも効果的です。ランニング後にアイシングをすることで筋肉の炎症を緩和させて、疲労回復効果を促進させるとも言われています。
また、打撲などをされて方は分かると思うのですが、アイシングをすることで筋肉の痛みを多少、和らげることができます。
これは運動後の筋肉痛にも効果があります。
少し限界を超えてランニングをしてしまった。と思ったら、太ももなどをアイシングすると翌日の筋肉痛、疲労などを抑える効果が見込めます。
ランニングを行った後、強い疲労感や筋肉痛を感じる場合は、温冷交代浴がおすすめです。
温冷交代浴とは、温水の浴槽に浸かる、もしくはシャワーを3分間浴びます。次に冷水を浴槽、シャワーを1分間浴びます。
これを交互に4回行うものです。(温水の温度は38〜42℃ 冷水は15〜16℃)
温水と冷水を交互に浴びることで、筋肉の緊張緩和、血流の促進効果が見込めるので、疲労回復が早くなると言われています。
普通に温水だけに浸かる、浴びるよりも温冷交代浴をする方が、遥かに筋肉痛を緩和して疲労回復を高めるということです。
また、温冷交代浴は温水に浸かった後にのぼせることがありません。
ランニングを続けることで筋肉が落ちてしまうのかどうか?そして、筋肉が本当に落ちてしまう場合はどのようなケースがあるのか?そして、ランニングのパフォーマンスを向上させる為の具体的な筋トレメニュー、筋肉痛などの治し方などの紹介を致しました。
上記の記事をじっくりと見返して頂ければ、よりランニングに関する知識を深めることができます。
知識をしっかりと身に着けて、ランニングを楽しみましょう!