筋トレ中の食事に不足しがちな栄養素【管理栄養士が解説!】

佐藤樹里
当サイトの監修・執筆者

こんにちは!管理栄養士の佐藤樹里です。

 

管理栄養士の仕事の一つとして、トレーニング習慣を持つ方の、個別の栄養相談にのることがあります。

「食事で栄養はしっかり取れているだろうか?」ということを、個別相談の中でお客さんによく問いかけています。

 

筋トレは他の運動のパフォーマンスを上げてくれます。

だからこそ、そんな筋トレの効果を無駄にしないために、栄養についていま一度振り返ってみて頂きたいのです。

 

今回は管理栄養士の立場から、筋トレを行う人に必要な栄養素についてお伝えします!

筋トレ初心者の方はもちろん、自分でしっかり食事管理をしているという方も復習のつもりで読んでみてくださいね。

佐藤樹里(管理栄養士)
管理栄養士。アスドリファクトリー代表。フィットネスジムでの運動・栄養指導経験後、約1年海外移住をし、現地のレストランでシェフと共に働く。現在はスポーツイベント開催、アスリートへの栄養講座、栄養個別サポートを通算1000人以上に行う。

「タンパク質」の源となる7大食材

豆の写真

筋トレを行っている方で、タンパク質の摂取に気をつけている方は多いと思います。

けれど一口に「タンパク質を摂ろう!」とは言うものの、色々な種類がありますよね。

 

動物性、植物性など種類のあるタンパク質。

いま一度それぞれの特徴をおさらいしておきましょう!

牛肉

タンパク質が豊富であるほか、トレーニングする人に必要な鉄分、亜鉛などの栄養素を取ることができます。

ただし、脂の多い部位は当然脂質も多くなってきますので、赤身肉を選ぶようにしましょう。

 

モモ、ロース、ハラミなどがおすすめです。

豚肉

ビタミンB1が豊富なのが豚肉の特徴です。

ビタミンB1は糖質の代謝を助けてくれるため、糖質と一緒に摂るのがおすすめ。

 

また、ニンニク、ニラ、ねぎなどに含まれるアリシンという成分と一緒に摂ることで、

ビタミンB1を血液内にとどめることができるので、よりいっそう吸収効率を高める効果が期待できます。

鶏肉

鶏肉はタンパク質に加えて、ビタミンAやB群を含みます。

ビタミンAは肌の健康維持や、免疫力を上げて体を守ってくれます。

ビタミンB群はタンパク質、糖質、脂質という三大栄養素を代謝するために、必ず必要になる栄養が含まれています。

 

さらに、最近注目されているのが「イミダペプチド」という成分。

鶏肉に含まれるイミダペプチドは、疲労回復に貢献してくれる働きがあると言われています。

 

鶏肉の中でも人気のもも肉ですが、もも肉は脂質が多いためトレーニング中にはおすすめできません。

鶏むね肉、ささみはタンパク質が多く脂肪が少ないためおすすめです。

魚介類

タンパク質といっしょに、DHA、EPAを摂ることができるのが特徴です。

DHA、EPAは人が自分の体で作り出すことができない必須脂肪酸のひとつです。

 

体内の炎症を鎮める抗炎症作用もあるため、筋トレで傷ついた筋肉を早く回復させる効果が期待できます。

日本人に不足しがちな栄養でもあるので、積極的に摂ることをおすすめします。

まぐろ、かつお、さば、さんま、鮭が手に入りやすく、DHA、EPAを含むためおすすめですよ。

 

<DHA、EPAが筋トレにもたらす効果をさらに知りたい方はこちらの記事がおすすめ!>

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大豆製品

大豆製品には、大豆(水煮等)や、豆腐、枝豆、納豆、豆乳などがあります。

特に納豆は発酵食品なので、腸内環境を調える上でもおすすめです。

 

豆乳も手軽に摂れるタンパク源で、イソフラボン(女性ホルモンに似た働きをする成分)も含まれているため、筋トレ中の女性の体調管理にもおすすめです。

 

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乳製品

乳製品には、ヨーグルト、チーズなどが挙げられます。

加糖のものよりも、糖分の添加されていないプレーンタイプのものをおすすめします。

 

また、チーズはタンパク質摂取の面ではとても優秀な食材。

ですが、脂質や塩分の取りすぎにつながる種類のものもあるので、成分表を見て確認するようにしましょう。

カッテージチーズが低脂質・高タンパクでおすすめです。

卵に含まれるタンパク質は、1個あたり6g前後で、高タンパク低カロリーな食材。

さらにアミノ酸スコアが100であること、ビタミンCと食物繊維以外の必須栄養素が全て含まれていること、

この2点からトレーニングをする人にとっても優秀な食材と言えます。

 

ゆで卵ならコンビニでも買えるため、比較的手に入れやすい点からもおすすめです。

 

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筋トレ効果を高める食事の組み合わせ

メモする人

次に、意外と見落としがちな「糖質」「脂溶性ビタミン」「鉄分」についてお伝えしたいと思います。

 

糖質、脂溶性ビタミン、鉄分には、摂取しやすくなるための栄養の組み合わせがあります。

組み合わせやすい食材もお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

糖質×ビタミンB1

なにかと敬遠されがちな糖質。

ですが、筋トレを行う人には必須の栄養素です!

 

糖質は走る際のエネルギーになるものですし、筋トレを行なった後に筋肉を作り出すのにも必須になってきます。

 

そんな糖質を、体が代謝するときに必要になるのがビタミンB1。ビタミンB1がないと、体へのエネルギー供給がうまくいきません

糖質を摂る際には、一緒にビタミンB1をとるようにしましょう。

組み合わせとしては下記のようなものが挙げられます。

・玄米ご飯×豚の生姜焼き

・ごはん×海苔やたらこ、うなぎ

・そば×海苔

 

玄米ご飯は糖質を含み、豚の生姜焼きはビタミンB1を含んでいます。

さらにたんぱく質を摂ることができるので、筋トレを行う人にはとってもおすすめです。

 

また、白いご飯のおかずにはたらこ、うなぎなどを選ぶのがおすすめですが、これらが手軽に食べられないという方は海苔を合わせるだけでもいいので試してみてくださいね。

そばは、初めからビタミンB1も糖質も含まれている食材。

さらにビタミンB1を多く摂るためにきざみ海苔をふりかけるとさらに吸収効率アップが期待できます。

 

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脂溶性ビタミン×油分・脂質

脂溶性ビタミンには、ビタミンA・D・E・Kなどが挙げられます。

ビタミンAとEは抗酸化作用があり、たくさん酸素をとることになる筋トレをする方は必ず摂るべき栄養素と言えます。

また、ビタミンD、Kは、骨の健康維持に必要なビタミンですので、骨に負担をかけることの多い方にとっては大切なビタミンです。

 

これらの「脂溶性ビタミン」は、文字通り油分や脂質に溶けやすいです。そのため、油や脂質と一緒に摂ることで、吸収効率をあげることができます。

具体的におすすめな食べ方は下記の通り。

 

・にんじん(ビタミンA)×炒め物

・かぼちゃ(ビタミンA)×天ぷら

・納豆(ビタミンK)×卵(脂質)

 

卵に油って入ってるの?と思われるかもしれませんが、

卵黄には脂質が含まれているんです。この脂質でビタミンKの吸収効率アップが期待できます。

非ヘム鉄(植物性の鉄分)×ビタミンC

筋トレを行う人、特にハードにトレーニングを行う人ほど、鉄分は必要になってきます。

鉄分は「ヘモグロビン」という成分の原料となります。このヘモグロビンが体に酸素を送る役割をしてくれるのです。

 

酸素が供給されないと、思うようなパフォーマンスを発揮することができません。

また、鉄分は汗からも失われるので、鉄分の補給はしっかりと行うようにしましょう。

 

鉄分はレバーに多く含まれますが、レバーが苦手でほうれん草など野菜から鉄分摂取を行う方も多いかもしれません。

こうした野菜から摂れる鉄分は「非ヘム鉄」と言い、吸収率されにくい鉄分なのです。

そんな時は、ビタミンC を組み合わせましょう。

 

ビタミンCが非ヘム鉄の鉄分の吸収率をアップさせる働きを持っているので、合わせて食べると鉄分を効率よく体に取り入れることができます。

鉄分の多い野菜は、ほうれん草、小松菜、大豆、などが挙げられます。

これらを食べる際には、ビタミンCの多いブロッコリーやパプリカなどを一緒に食べるのがおすすめです。

 

<有効な食べ合わせの例>
  • 小松菜×じゃがいもで炒め物
  • ほうれん草×パプリカのサラダ
  • 大豆の煮物×デザートにキウイやオレンジなど

 

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筋トレ前に有効な食事のタイミング

食器

本来ならば、筋トレの3時間以上前にしっかりとした食事を摂るのがおすすめです。

しかし、日中働いている人だと、早くても18時や19時に仕事を終えられる方が多いのではないでしょうか?

 

そうした場合は、トレーニングの1〜2時前に消化がしやすい糖質をとるようにしてください。

コンビニで買えるもので例をあげると、鮭おにぎりや、バナナなど。

鮭おにぎりはタンパク質も同時に取れるためおすすめです。

 

トレーニング後は、糖質とたんぱく質をしっかりと摂るようにしてください。

たんぱく質、糖質を中心にして、他の食材も緑黄色野菜など色の濃い野菜をバランスよく食べるようにしてくださいね。

 

<サプリメントも摂取するタイミングが大事!EAAの摂取タイミングを解説>

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栄養素を効率よく取り込む食べ方

そして、意外とできていない人が多いのが「よく噛んで食べる」ということ!

せっかく食べても、きちんと噛まないと消化吸収がうまくいかず、

せっかく栄養豊富なものを食べても吸収の効率が下がってしまいます。

 

栄養は吸収されるまでが栄養ですので、いま一度自分の食べ方が早食いになってしまっていないか見直してみてください。

 

また、夜遅くに食べないことも大切!

夜遅くに食事を食べると、睡眠中もずっと消化器官に食べ物がある状態で、睡眠の質が下がってしまいます。

 

よく言われるように、睡眠も食事もトレーニングの一環です。

トレーニング後はなるべく早くに食事をし、最低でも睡眠2〜3時間前には食事を終えるようにしましょう。

栄養素の偏りの少ない食事が筋トレには効果的

今回は管理栄養士として、筋トレ習慣のある方におすすめしたい栄養についてお伝えさせて頂きました。

自分自身も筋トレを行う者として、筋トレにおける食事の大切さを実感している毎日です。

 

タンパク質ばかりに目がいきがちですが、筋トレの効率を上げるためには糖質、脂質も含めたバランスのいい食事が必要です。

 

<バランスの良い食事の具体的な計算方法はこちら!>

筋トレ時のカロリー摂取の適量は?PFCバランスの計算方法【管理栄養士監修】

 

筋トレの効率を最大限上げるために、小さなことからチャレンジしてみてくださいね。

 

全てを網羅する必要はないので、

「にんじん、かぼちゃは脂溶性ビタミンを取るために、油と一緒に摂る」

「糖質のおかずには海苔やたらこを選ぶようにしてみる」

のような小さなことから始めてみてくださいね。

 

<忙しくてコンビニ食に偏ってしまうという方はこちらの記事もおすすめ!>

忙しい人必見!「コンビニ食」って危険なの?【管理栄養士が解説!】
この記事を書いた人
佐藤樹里
管理栄養士

MYREVOはパーソナルトレーニングジム、ヨガスタジオ、
ストレッチ、ダイエット、ランニングに関する
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