筋トレに使えるトレーニング器具といえば「ダンベル!」と答える方も多いのではないでしょうか。
普段、筋トレをしない家族なのになぜかダンベルだけは家にあるという方も少なくありません。
このダンベルですが、実は自宅で行える筋トレの効率性を大幅にアップしてくれる優れものです。
そこで今回は、ダンベルを使った筋トレを始めたいという方に向けて、ダンベルトレーニングの基礎や基本、おすすめのトレーニングメニューなどを解説します。
目次
ダンベルトレーニングの主なメリットには、以下のようなものがあります。
ダンベルはトレーニングや筋トレを行う器具としては非常に優れているといわれています。その理由は次のようなものがあげられます。
その他、ダンベルの種類によっては負荷(重さ)を変えられるものもあります。
負荷を自由に調節できると、筋肉の成長などに合わせて器具を買い替える必要もありませんので経済的なメリットも生まれます。
一口にダンベルといっても現在は各メーカーからさまざまな種類、タイプのダンベルが販売されています。
よってダンベルを選ぶ際は種類ごとの特徴やメリットなどを把握しておくとよいでしょう。
ここではダンベルの主な種類や選び方に関するお役立ち情報を解説します。
ダンベルは機能によって2つのタイプに分類することができます。
ひとつは固定式、そしてもうひとつは可変式です。
固定式ダンベルとは重さが固定されており、重量の調節が不可能なタイプのことを指します。
一方の可変式は必要に応じて重さを自由に変更できるダンベルであり、近年はこちらのタイプが主流になっています。
固定式、可変式どちらにもメリット、デメリットがあります。
ダンベルで使用されている素材も複数あります。
現在、一般的なダンベルで使われている主な素材には、以下のようなものがあります。
各素材の主な特徴は、下記のとおりです。
素材の種類 | 主な特徴 |
アイアンダンベル | 鉄でできているダンベル |
クロムメッキダンベル | メッキ加工が施されたダンベル |
ポリエチレンダンベル | 鉄をポリエチレンでコーティングしたダンベル |
ラバーダンベル | アイアンダンベルにラバーをコーティングしたタイプ |
アイアンダンベルは鉄素材で製造された最も一般的なタイプのダンベルです。価格もリーズナブルという特徴があります。
そのアイアンダンベルにメッキ加工を施し、サビ防止の効果を高めたのがクロムメッキダンベルです。
また、鉄をポリエチレンと呼ばれる合成樹脂でコーティングし、プラスチックのような見た目に仕上げたタイプがポリエチレンダンベル、アイアンダンベルにラバーを保護したタイプがラバーダンベルとなります。
この4種の中で床の保護や騒音防止になるのがポリエチレンダンベルとラバーダンベルです。
特にポリエチレンダンベルは、製品によってはバーの部分まで加工が施されていますので、真冬などの時期でも冷たさを感じずにダンベルを握ることができます。
前述の機能、素材を踏まえた上でこれからダンベルトレーニングを希望する方におすすめしたいのは可変式ダンベルです。
最近は筋トレ上級者や専門家の方も初心者の方には重量調節が可能な可変式ダンベルを推奨するケースが多いです。
その理由はやはり効率性の高いトレーニングや筋トレを行えるところにあります。筋トレは毎日継続的に行っていると、筋肉量が増え、基本的な筋力もアップします。
筋力がアップすると以前までの負荷ではそれ以上の効果を得るのが難しくなるため、状況に応じて重量を調節できる可変式ダンベルのほうが効率性は高くなります。
もちろん適切な負荷でトレーニングを行うことはケガの防止や予防にもつながりますので、可変式ダンベルは安全性の面でも優れているといってよいでしょう。
また、ダンベルの素材に関しては自宅の床に傷をつけたくない、万が一落下したときの騒音が気になるといった方はポリエチレンダンベルやラバーダンベルがおすすめです。
ダンベルの種類選びと同様に頭を悩ますのが重量選択です。
前述のように安全性を重視したダンベルトレーニングは適切な重量の上で行うことが強く推奨されています。よってダンベル購入時には重量のことも考慮しておく必要があります。
まずトレーニングに適した重量というのは1人、1人大きく異なるため、一概に「○○kgがおすすめ!」と断言することはできません。
ダンベルトレーニングで筋肉に何かしらの変化や刺激を与えたい場合は、筋繊維に負荷がかかる重量に設定する必要があります。
この筋繊維に負荷をかけられる目安となるのが、「少し重たいな」と感じる程度の重量です。
おそらく筋肉量が少ない初心者の方や女性などの場合は、2㎏~3㎏でも筋肉に負荷や刺激が加わっているのが実感できます。
そこからトレーニングを積み重ね筋肉が成長してくると5㎏、10㎏とベストな重量も変化します。
可変式ダンベルは3㎏~30㎏ほどの間で重量調整が可能です。長期的にトレーニングを行うことを検討している方は、ダンベル選びの際に、最小重量と最大重量の幅が大きいタイプを購入するとよいでしょう。
また、適切な重量はトレーニングや筋トレの目的によっても変化します。以下にダンベルトレーニングの目的ごとに適した重量目安を記載しましたのでご覧ください。
目的 | 適切なダンベルの重量 |
筋肥大 | 8回~12回ほどで限界がくる重量 |
筋力アップ | 3回~7回ほどで限界がくる重量 |
ダイエット | 13回~20回ほどで限界がくる重量 |
※上記回数はあくまでも目安
筋トレというのは筋肥大、筋力アップ、ダイエットと目的によって適切な回数が異なります。よってダンベルの重量も目的別の筋トレ回数を参考にするとよいでしょう。
前述のようにダンベルは筋トレメニューが豊富なため、さまざまな部位を鍛えることができます。
ここからは筋トレ初心者から中級、上級の方も参考にできるダンベルトレーニングを部位別にご紹介します。
なお各筋トレメニューの回数、インターバルの目安は以下のようになります。
目的 | 回数 |
筋肥大 | 約8回~12回 |
筋力アップ | 約3回~7回 |
ダイエット | 約13回~20回 |
※上記回数およびインターバル秒数はあくまでも目安
今回は数ある種目の中から厳選した2つのダンベルトレーニングを解説します。
ダンベルカールは筋トレの王道ともいわれるトレーニングです。
腕の力でダンベルを持ち上げることによって、上腕二頭筋などに効果的なアプローチをかけることができます。
ダンベルカールを行うときに意識しておきたいポイントは、背筋を伸ばすこととダンベルをゆっくりと下すことです。
背筋が伸びていないなど、間違ったフォームはケガにつながりやすいですので注意しましょう。
また、肩の位置まで上げたダンベルは、ゆっくりと下すことで二の腕の筋肉を効率的に刺激できます。
ダンベルフレンチプレスは腕の筋肉の中で最も大きな上腕三頭筋への負荷が高い種目です。
腕の太さを重視する方などには適したメニューとなります。
ダンベルフレンチプレスのやり方は比較的シンプルですが、トレーニング中はケガの防止、予防効果を高めるために背筋や腰は曲げないようにしてください。
また、このトレーニングは腕を後頭部付近まで持っていきますので、肩が柔らかい方に向いています。実践前に肩のストレッチを行っておくのも効果的です。
初心者の方は肩の筋肉はおろそかにする傾向がありますが、肩を鍛えることによって立体的な逆三角形の男性らしい体型などを目指すことができます。
ここでは肩に効率的な負荷をかけられるダンベルトレーニングを2種類ご紹介します。
アップライトロウは肩周辺の筋肉である三角筋や僧帽筋に負荷をかけられるダンベルトレーニングです。
この2つの筋肉を鍛えることで肩幅が広くなり、逆三角形の体型に近づくことができます。
アップライトロウを行うときは背中の丸みや首のすくみが現れないように注意してください。
また、上に持ち上げたダンベルを下すときはゆっくり目のスピードを意識すると目的の筋肉にしっかりと負荷をかけることができます。
この他、アップライトロウは肩や手首の柔軟性がない方が行うと痛みを感じる可能性もあります。
仮にトレーニング中に痛みが生じた場合はケガの予防を優先し、速やかに中止するようにしてください。
腕を前に上げたり、横に開いたりするときに必要な三角筋前部、中部に効率的な負荷をかけられるダンベルショルダーブレス。
このトレーニングはいくつかバリエーションがありますが、座って行うシーテッドスタイルは反動が使えないため、三角筋に高い負荷をかけることが可能です。
ダンベルショルダーブレスを行うときは、反動を使わないようにゆっくり目のスピードを意識しておきましょう。
これは反動を使ってしまうと、狙った筋肉への負荷が軽くなってしまうためです。
また、背中をしっかりと伸ばした状態で行うことも大切です。
胸のダンベルトレーニングは男性であれば分厚い胸板、女性ならバストアップなどの効果を見込むことができます。
今回は数ある胸のダンベルトレーニングの中からフロアプレス、デクライン・ダンベルプレスを解説します。
ダンベルフロアプレスは胸の筋肉(大胸筋)はもちろんのこと、複合的に三角筋の前部や上腕三頭筋を鍛えることが可能です。
ダンベルフロアプレスで効率的な負荷をかけるには、脇をしっかりと閉めた状態で行うこと、そして胸を張ることが大切です。
また肩がすくんでしまうと、三角筋や上腕三頭筋への刺激も逃げてしまいますので注意しておきましょう。
ベンチや椅子などを使って傾斜をつけた状態で行うのがデクライン・ダンベルプレスです。
デクライン・ダンベルプレスは大胸筋全般に負荷をかけられますが、その中でも特にアプローチをかけられるのが大胸筋下部です。
よって腹筋と大胸筋の境目がはっきりとわかる、メリハリの効いた上半身を手に入れたいという方にはおすすめのダンベルトレーニングといえるでしょう。
デクライン・ダンベルプレスで正しく負荷をかけるには、ダンベルを地面と垂直になるように動かすことです(※横から見たときの場合)。
また、デクライン・ダンベルプレスは傾斜がついているため、最初はバランスがとりにくいという方も少なくありません。このような場合は重量を軽くした上でトレーニングを行うようにしましょう(慣れてきたら徐々に重量を上げる)。
続いては背中の筋肉(背筋)を鍛えられるダンベルトレーニングのメニューです。背筋を鍛えるメリットは、重い荷物を楽に運べるようになることや姿勢が改善されやすいことです。
また男性であれば逆三角形、女性ならくびれのある美しいボディも目指せるようになります。
背中の厚みを演出したり、首から肩周辺のラインを美しく見せるのに必要な僧帽筋を鍛えられるのがダンベルシュラッグです。
ダンベルシュラッグを行うときは腕の力で持ち上げるのではなく、肩をすくめる力でダンベルを動かすのがポイントです。
腕の力のみに頼った持ち上げ方をしてしまうと、狙った筋肉(僧帽筋)に適切な負荷をかけられなくなりますので注意が必要です。
背中側部に位置する広背筋を中心に高い効果を得られるワンハンドローイング。
また、トレーニング中の姿勢を維持する動作の中で脊柱起立筋を中心とした筋肉群にも適度な刺激を与えることができます。
男らしい背中を目指せるのはもちろんのこと、女性が気になるブヨブヨの背中改善にもつなげることができるでしょう。
ワンハンドローイングを行うときは背中を丸めないことと、肩甲骨をしっかりと寄せることが大切です。
これらをおろそかにすると負荷が背筋ではなく、腕の筋肉に流れてしまいますので注意しておきましょう。
筋トレは1週間単位でのメニュー構築が推奨されることも多いです。
その主な理由は継続がしやすいこと、進歩状況を把握しやすいこと、そして筋肉を適度に休ませながら筋繊維の破壊や回復を促せることです。
計画性なしのオーバーワークは筋肉の損傷にもつながりやすくなりますので、これから筋トレを検討している方は安全性も重視した1週間の筋トレメニューを組んでおくとよいでしょう。
以下に、初心者の方向けに作成した1週間の筋トレメニューを記載しましたのでご覧ください。
曜日 | 予定メニュー |
月曜日 | 腕・肩のダンベルトレーニング |
火曜日 | 休息日 |
水曜日 | 胸(大胸筋)のダンベルトレーニング |
木曜日 | 休息日 |
金曜日 | 背中(背筋)のダンベルトレーニング |
土曜日 | 休息日 |
日曜日 | 休息日 |
曜日 | 予定メニュー |
月曜日 | 腕・肩のダンベルトレーニング |
火曜日 | 胸(大胸筋)・背中(背筋)のダンベルトレーニング |
水曜日 | 休息日 |
木曜日 | 腕・肩のダンベルトレーニング |
金曜日 | 胸(大胸筋)・背中(背筋)のダンベルトレーニング |
土曜日 | 休息日 |
日曜日 | 休息日 |
1週間の筋トレメニューを組むときに注意すべき点は、2日以上連続で同じ部位のトレーニングを行わないことです。
筋肉は一度鍛える(筋繊維を破壊する)と、約48時間~72時間程度の超回復期間が必要とされています。
よって月曜日に腕と肩のダンベルトレーニングを行った場合は、2日~3日ほどは休息日を与える必要があります(胸と背中の筋トレも同様)。
また、上記のトレーニングに慣れてきた場合は、休息日の欄に下半身のトレーニング(ダンベルスクワットなど)を追加してもよいでしょう。
ただし、筋トレ初期のころは筋肉痛が発生しやすい状態、体質になっていますので、ケースによっては同じ部位のトレーニングを週1回に留めるようにしてください(週4日で行う場合)。
一例を挙げると月曜日の腕、肩のトレーニングによる疲労(筋肉痛)が残っている場合は、木曜日のトレーニングを中止するなどです。
個人差はありますが初めての人やダイエット目的の場合、同じ部位のトレーニングは週1回でも十分な効果を見込めます。そのため、筋トレを行うときは安全性や筋肉の状態を最優先するようにしてください。
筋トレ開始から効果が出るまでの期間ですが、これも1人、1人の筋肉の質やトレーニング頻度によって大きく異なります。
一般的に筋トレは週3回を目安にして継続的に行えば最短1ヶ月、長くても3ヶ月ほどで何かしらの変化や効果が現れるといわれています(※個人差あり)。
週3日ペースでの筋トレは体にムリのない範囲で行うには最適ともいわれていますから、筋トレ実践初期のころは前述のトレーニング表を参考にしてください。
ダンベルトレーニングを継続的、効率的に行うには正しいフォームや適切な休息日を設けることが大切です。
ときどき、短期間で成果を出したいからといっていきなり週5日~6日のペースでメニューを組む方がいます。
このやる気は非常に素晴らしいですが、体や筋肉、さらに精神面などのことを考えると決して推奨できるものではありません。先ほども解説しましたが、筋トレ初心者の方はたった1日のトレーニングでも筋肉痛が発生しやすい体になっています。
この状態で週5日~6日のトレーニングは、筋肉の損傷や筋肉量の減少につながる可能性も高くなるので避けましょう。
また、初期のころから休息日が少ないメニューを組むと肉体面だけではなく、精神面も追い込まれやすくなります。「毎日キツイ思いをするのは嫌だな…」「昨日も苦しい思いをしたのに…」といった感情が湧くと継続的な筋トレは難しくなるでしょう。
筋トレを行うときは「キツイけど、やっぱり運動は楽しいし、気持ちよい」と感じることが大切です。
現状の体力や筋力に適したメニュー、プランを組みながら、長く継続していける体制を整えるようにしてください。
ダンベルは種類やタイプにもよりますが、さまざまな部位を効率的に鍛えることができるトレーニング器具です。
また、1セット保有しておけば自宅でも取り組むことができますので、ジムに行く時間がないという方にもおすすめできます。
ただしダンベルトレーニングは負荷が高い種目も多いですから、実践するときは正しいフォームなどを意識しながら行うようにしてください。
現在、ダンベルを用いたトレーニングに興味がある方はぜひ参考にしてください。