「上半身を鍛えたい!」と思っている方の中には、「そもそも上半身にはどんな筋肉があるの?」「どうすれば効果的に鍛えられるの?」と、気になっている方も多いでしょう。
そこでこの記事では、上半身の筋肉の種類と役割、鍛えるときのポイントについて解説します。
目次
筋肉は体重の約70%を占める組織であり、身体を自由自在に動かすために無くてはならないものです。
また、筋肉には骨格筋や内臓筋、速筋や遅筋など、さまざまな種類があります。
まずは、筋肉の種類と特徴を理解して、効果的な筋トレができるように知識を深めましょう。
骨格筋とは、自分の意志で動かせる筋肉のことです。
骨格筋は随意筋とも呼ばれており、収縮スピードが速く力強いという特徴があります。
骨格筋は骨に付着して身体を動かし、姿勢を維持する役割があります。
また、骨格筋は体重の40%を占めており、日常生活やスポーツ動作において重要な役割を担っていることは言うまでもありません。
内臓筋は平滑筋・不随意筋と呼ばれており、自分の意志では動かせない筋肉を指します。
内臓筋を代表する心筋は、心臓を動かして血液を全身に送り出す重要な枠割を果たしています。
また、内臓や血管を形作り、食べ物の栄養や消化を助ける働きがあります。
不随意筋は寝ている間でも休むことなく動き続けている筋肉なので、意識をしなくても心臓が動き続けているのは内臓筋の働きが大きいのです。
つまり、筋トレにおいて鍛えるべきなのは内臓筋ではなく、意識的に身体を操作できる骨格筋なのです。
遅筋は速筋と比べて収縮スピードが遅く、瞬間的な力を発揮することはできませんが繰り返し収縮しても疲れにくい特徴があります。
遅筋を鍛えるときは低速または負荷の低いトレーニングをゆっくりと続けることがポイント。
ウォーキングやランニング、水泳やサイクリングは遅筋を効果的に鍛えられるトレーニングです。
脂肪燃焼効果に期待をして有酸素運動を長くおこなう方は多いですが、あまりにも長時間有酸素運動を続けてしまうと乳酸が溜まって疲労困憊の状態に陥ってしまう可能性があります。
通常、脂肪燃焼効果は有酸素運動開始後から約20分後と言われていますが、遅筋を鍛えるときは長くても30分程度にしましょう。
10分間のランニングを3セットおこなう方法もおすすめです。
速筋は収縮スピードが速く、瞬時に大きな力を発揮できる特徴があります。
糖を分解してエネルギーを生み出す解糖系に優れていることから、遅筋と比べて約2〜4倍の収縮速度と言われています。
速筋は遅筋と比べて持久力は劣りますが、瞬発力やパワーが高くなります。
スタートダッシュが必要な陸上短距離走やウエイトリフティングは速筋線維が働いている競技です。
速筋は鍛えるほどに筋肥大しやすいので、マッチョになりたい方は速筋を鍛えるトレーニングがおすすめ。
高負荷程回数のトレーニングを実践しましょう。ダンベルやウエイトトレーニングは効果的に速筋を鍛えられます。
まずは、肩周囲を構成する筋肉をご紹介します。
肩周囲には上腕の動きに重要なアウターマッスルとインナーマッスルが存在します。
それぞれの筋肉の特徴や鍛えるポイントについて解説します。
三角筋は肩の盛り上がった部分にある筋肉です。三角筋が発達していることで肩幅が広くなり、逆三角形のたくましい印象を与えられます。
三角筋は前部、中部、後部にわかれており、それぞれの役割も異なります。
三角筋の部位 | 役割 |
前部 | 肩関節の屈曲・水平内転・内旋 |
中部 | 肩関節の外転 |
後部 | 肩関節の伸展・外旋 |
三角筋は肩周囲の筋肉の中でも大きく、鍛えるほどに筋肥大を見込めます。基礎代謝も上がりやすいので無駄な脂肪を減らせることに期待されています。
三角筋の代表的なトレーニングは「パイクプレス」「懸垂」「アップライトロウ」です。
三角筋は上腕と上半身を繋げる筋肉でもあるので、これらのトレーニングを実践することで、周囲の筋肉も同時に鍛えられます。
回旋筋腱板は小円筋(しょうえんきん)、棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょくかきん)、肩甲下筋(けんこうかきん)の4つの筋肉で構成されている肩周囲のインナーマッスルです。
回旋筋腱板はローテーターカフとも呼ばれており、肩甲骨に張り付きながら肩関節の動的安定性を担っています。
「投げる」「打つ」「持ち上げる」など、腕を使うすべての動作に密接に関わっていることから、アスリートにも注目されています。
回旋筋腱板 | 役割 |
小円筋 | 肩関節の外旋 |
棘上筋 | 肩関節の外転 |
棘下筋 | 肩関節の外旋 |
肩甲下筋 | 肩関節の内旋 |
小円筋、棘上筋、棘下筋は肩甲骨の背面に位置していることから、肩関節を後方にまわす作用があります。
代表的なトレーニングは「ダンベルエクスターナルローテーション」「チューブエクスターナルローテーション」です。
肩甲下筋は、肩甲骨の前側に位置しており肩関節を前方に回旋させる作用があります。
代表的なトレーニングは「ダンベルインターナルローテーション」「チューブインターナルローテーション」です。
回旋筋腱板を鍛えることで見た目は変わりませんが、肩関節の動的安定性をもたらすので、三角筋をはじめとするアウターマッスルのトレーニングをサポートする効果があります。
背中は大筋群と呼ばれる面積の大きい筋肉がたくさんあるので、鍛えることでたくましい身体になることが期待されています。
それぞれの筋肉の特徴と鍛え方をご紹介します。
僧帽筋とは、首から肩甲骨まで位置する筋肉です。身体の最も表面にあることから、鍛えることで背中の広い男らしい身体になります。
僧帽筋は上部、中部、下部に分かれており、それぞれの役割が異なります。
僧帽筋の部位 | 役割 |
上部 | 肩甲骨の上方回旋 |
中部 | 肩甲骨の内転 |
下部 | 肩甲骨の下制 |
僧帽筋は3つに分類されていますが、どれも肩甲骨を動かす作用があります。
長時間のデスクワークなどで僧帽筋が凝り固まってしまうと血流が悪くなり、頭痛や肩コリの原因となります。
しかし、ストレッチに加えて僧帽筋を鍛えることで血行も良くなり、つらい頭痛や肩コリから解消されます。
僧帽筋の代表的なトレーニングは「デクラインプッシュアップ」「懸垂」「バーベルシュラッグ」です。
僧帽筋を鍛えると背中や肩周りに厚みが増すので、男らしい印象を与えられます。
広背筋は背中を覆う大きな筋肉です。
広背筋を鍛えることで厚みが増してメリハリのある逆三角形のカラダになります。
男性らしい魅力的なシルエットを手に入れたい方は広背筋を鍛えましょう。
部位 | 役割 |
広背筋 |
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広背筋は肩関節を内旋させながら内転させる強力な筋肉で、肩関節の伸筋群のなかでも最も重要な筋肉です。
代表的なトレーニングは「懸垂」「ワンハンドローイング」「ベントオーバーローイング」です。
腕を真っ直ぐ伸ばした状態から、身体を引きつける動きで鍛えられます。
腕や肩の力だけでおこなうと、広背筋に刺激が与えられないので注意しましょう。
脊柱起立筋は首の後ろから腰にかけて位置する筋肉です。
脊柱起立筋が働くことで正しい姿勢を維持できます。
姿勢が正しくなることで自信に満ち溢れた印象を与えられるでしょう。
部位 |
役割 |
脊柱起立筋 |
脊柱の伸展と側屈 |
脊柱起立筋は骨盤が後方に傾いているときに最も効率良く働きます。
骨盤が後ろに傾くことで筋肉の付着部が下方へ引っ張られるので、背筋が伸びる姿勢を保てます。
代表的なトレーニングは「バックエクステンション」「デッドリフト」「ワンハンドローイング」です。
体幹を屈曲させた状態からダンベルやバーベルを持ち上げるのですが、腕や肩の筋肉で持ち上げると脊柱起立筋に刺激が加わりません。
背中を意識して実施しましょう。
また、正しいテクニックでおこなわないと腰痛を発生させるリスクも高いので、低負荷から始めてください。
重量や回数は段階的に増やしていくことがトレーニングのポイントです。
続いて、胸を構成する筋肉の種類とトレーニングのポイントについて解説します。
大胸筋は両胸にある筋肉です。
大胸筋が発達していると、厚みのある身体になりたくましい印象を与えられます。
胸に厚みがあることでウエストとのメリハリができるので、引き締まった身体にも見えます。
部位 | 役割 |
大胸筋(上部) |
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大胸筋(下部) |
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大胸筋は肩関節を動かすために働きます。
特にベンチプレスのような肩関節を水平屈曲させてバーを持ち上げるときにとても力を発揮します。
また、大胸筋は三角筋の前部とともに働くので、三角筋を鍛えたい方にもおすすめ。
代表的なトレーニングは「プッシュアップ」「チェストプレス」「ベンチプレス」です。
また、懸垂のときにバーが身体の前面(アゴにつける)にくるように身体を引き寄せると大胸筋が鍛えられます。
対して、バーが身体の後面にくるように身体を引き寄せると広背筋が鍛えられます。
小胸筋は大胸筋よりも深部に位置する筋肉です。
理論上は烏口突起(うこうとっき)の下で触れることができますが、分厚い大胸筋に覆われているので触ることは困難です。
肩甲骨の上縁の外側部にある曲がった突起のこと。
肋骨前面から肩甲骨に付着しており、小胸筋を鍛えるとバストアップにも期待されています。
部位 | 役割 |
小胸筋 |
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小胸筋は回旋を生じさせずに肩甲骨を外転させるときに働くので、腕立て伏せのような腕を前方に突き出す運動で刺激を与えられます。
小胸筋の柔軟性が低下すると肩甲骨の可動域が狭くなり、結果的に肩コリなどの症状を発生させます。
ストレッチをするときは「ウォールプッシュアップ」がおすすめ。
代表的なトレーニングは「ディッピング」「リバースプッシュアップ」「ダンベルフライ」です。
肩甲骨の可動域を広げておくことで効率良く鍛えられます。
前鋸筋は肋骨の外側から肩甲骨の内側に位置する筋肉です。
ボクシングのパンチのような腕を前に押し出す作用があるので、別名「ボクサー筋」と呼ばれています。
前鋸筋は胸部のインナーマッスルなので、目に見えるような変化はありませんが、大胸筋とともに働くことから、大筋群が効率良く動くためのサポート筋として重要な役割を担っています。
部位 | 役割 |
前鋸筋 |
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前鋸筋は腕立て伏せの肘を伸ばす最後の5〜10°のところで最も使われます。
代表的なトレーニングは「ペンチプレス」「オーバー・ヘッド・プレス」「腕立て伏せ」です。
前鋸筋はインナーマッスルなので、高負荷でのトレーニングではなく低負荷〜中負荷での実施がおすすめ。
具体的には20回以上の反復動作で限界が訪れるような回数を設定しましょう。
続いて、腕を構成する筋肉の種類とトレーニングのポイントを解説します。
上腕二頭筋は「力こぶ」ができる部位の筋肉です。
上腕二頭筋はその名の通り「長頭」と「短頭」2つの筋肉で構成されており、肘関節と肩関節を動かすための作用があります。
部位 | 役割 |
上腕二頭筋 |
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上腕二頭筋は前腕が回外(手のひらが上向き)するときに大きな力を発揮します。
代表的なトレーニングは「ダンベル・カール」「バーベル・カール」「逆手懸垂」です。
上腕二頭筋が発達すると、腕が太く見えるので強い男の印象を与えられるでしょう。
上腕三頭筋は「二の腕」と呼ばれる部位の筋肉です。
上腕三頭筋を鍛えることで筋肉質かつ引き締まった二の腕になります。
上腕三頭筋は「長頭」「内側頭」「外側頭」3つの筋肉で構成されており、それぞれのトレーニング方法も異なります。
部位 | 役割 |
上腕三頭筋 | ・肘関節の伸展 ・肩関節の伸展 ・肩関節の内転 |
上腕三頭筋は腕立て伏せのときに肘を伸ばす動作や、壁を押すときにも力を発揮します。
代表的なトレーニングは「プッシュアップ」「ディッピング」「ベンチプレス」です。
長頭を鍛えるときは、なるべく脇を締めてトレーニングをしましょう。
内側頭と外側頭は、脇を開くように意識すると刺激を与えられます。二の腕痩せを目指している方は、それぞれの方法を実践してみましょう。
上腕三頭筋は三角筋を伸ばすように、肩と肘を最大屈曲させることでストレッチされます。
上腕筋は肘関節周辺に位置する筋肉です。
肘関節のインナーマッスルのため、鍛えることで見た目に変化はありませんが、関節をスムーズに動かすための重要な役割を担っています。
部位 | 役割 |
上腕筋 | ・肘関節の屈曲 |
上腕筋は肘を曲げる動作に関与しています。
上腕筋だけを意識してトレーニングすることは難しいですが、肘関節が屈曲するような運動では必ず働くので、上腕二頭筋を鍛える容量でトレーニングをおこないましょう。
代表的なトレーニングは、「ダンベル・カール」「バーベル・カール」「逆手懸垂」です。
手のひらが自分に向けられる(逆手)ようにダンベルやバーベルを動かすと、効果的に鍛えられます。
前腕筋群とは、前腕に位置する筋肉の総称です。
前腕筋群が発達していることで腕の太さを強調できるので、より逞しい印象を与えられます。
具体的には前腕筋群には下記のような筋肉があります。
前腕筋群は、肘関節の曲げ伸ばし、手のひらを表裏に動かすときに作用します。
代表的なトレーニングは「グーパー法」「ウエイトキープ」「ダンベルリストカール」です。
ウエイトを用いることで効果的に鍛えられます。
ウエイトを使用するときは上腕部の力に頼ってしまうと前腕に刺激が与えられないので、前腕に力を入れるように意識しましょう。
最後に、お腹を構成する筋肉の種類と特徴を解説します。
腹直筋は「腹筋」と呼ばれる部位の筋肉です。
シックスパックという言葉があるように、鍛えることで男女ともにかっこいいボディになります。
アウターマッスルなので、鍛えるほどに立体的で美しい腹筋に近づけるでしょう。
部位 | 役割 |
腹直筋 | ・腰椎の屈曲 ・腰椎の側屈 |
腹直筋は骨盤の傾きをコントロールするので、腰部の動きに大きく関与しています。
腹筋をやりすぎしまうと、骨盤を後傾させたまま固まるので屈曲型腰痛の原因になります。
腹筋を鍛えるときは脊柱起立筋など、背部の筋肉も鍛えましょう。
腹直筋を鍛える代表的なトレーニングは「クランチ」「シット・アップ・ベント・ニー」です。
反動に任せてしまうと鍛えられないので、ゆっくり動かすことがポイントです。トレーニング実施後は、ストレッチをして柔軟性を高めましょう。
腹斜筋はお腹の横に位置する筋肉です。
「外腹斜筋」と「内腹斜筋」にわかれていますが、基本的な役割は同じです。
腹斜筋を鍛えることでウエストが引き締まったくびれボディを手に入れることができます。
部位 | 役割 |
腹斜筋 | ・腰椎の屈曲 ・腰椎の側屈・回旋 |
腹斜筋は逆三角形のたくましい身体を作るために必須の筋肉と言われており、胴体が横に広く見えてしまうという悩みを解決してくれる筋肉でもあります。
代表的なトレーニングは「バイシクルクランチ」「サイドエルボーブリッジ」「ヘビー・サイドブリッジ」です。
腰椎の屈曲をおこなうトレーニングもあるので、痛みや違和感があった場合はすぐに中止しましょう。
また、グッと踏ん張ることから、息を止めやすいので注意してください。
腹横筋はお腹の深部に位置するインナーマッスルです。
咳や激しい運動時の呼吸をするときに働く筋肉です。また、外腹斜筋や内腹斜筋とともに、お腹が出ないように引っ込めておく役割もあります。
腹横筋を鍛えることでシェイプアップ効果にも期待されています。
部位 | 役割 |
腹横筋 | ・腹壁を内側へ押し込む |
腹横筋は立位か仰向けになって、腹筋をアイソメトリックに収縮させることで鍛えられます。
関節を動かさずに筋肉を収縮させること。
代表的なトレーニングは「ドローイン」「フロントブリッジ」「ヒップリフト」です。
どの種目も呼吸が大切なので、息を止めないようにしましょう。
今回は、上半身の筋肉の種類と特徴について解説しました。
筋肉はアウターマッスルとインナーマッスルがあるので、自分の目的に合った方法で鍛えることが大切です。
また、筋トレを実践するときは鍛える方法だけではなく、ストレッチの方法も学んでおきましょう。
筋肉の柔軟性が上がることで可動域も広がるのでパフォーマンスアップに期待できます。