トレーニングをするときによく聞く「超回復」という言葉。
皆さんは超回復を効率的に生み出す方法をご存知でしょうか?超回復理論をしっかりと知っているとトレーニングやダイエットを効率よく行うことができます!
この記事では超回復の詳しい説明と、超回復理論を取り入れたトレーニング方法をお伝えします。
目次
「超回復」という言葉、聞いたことありますか?
超回復とは、筋トレで筋肉がどのように成長していくか、分かりやすく説明するための理論です。
筋肉は「筋繊維」という組織が束になって作られています。
筋肉に強い負荷がかかると、筋繊維がダメージを受けます。筋トレはこの状態を意図的に作り出すものです。
では、なぜそんなことをするのでしょうか?
それは、体の「生存本能」を利用して筋肉を大きくするためです。
ウイルスに感染すると体が抗体を作り出すように、筋肉もダメージを受けるとそれに耐える力を手に入れます。その方法こそ、筋肉の成長をもたらす「超回復」なのです。
筋トレ後の超回復を効果的にするためには、筋肉の合成に必要なタンパク質などの栄養素と十分な休息が必要です。
筋肉が回復したらまた筋トレをするというプロセスを繰り返すことで、筋肉が成長していくのです。
超回復理論は議論の的にもなっています。
超回復を否定する意見や、それほど意識しなくても問題ないという考えもあります。
超回復はあくまで様々な理論のうちのひとつなのです。
とはいえ、超回復理論は「筋トレの流れを理解する」うえで非常に分かりやすいものです。
そこで、当記事でも超回復理論を軸として、筋トレの方法やメニューの組み方について紹介していきます!
超回復の最初のステップは筋繊維の破壊です。
破壊というと恐ろしく聞こえてしまいますが、筋肉がボロボロに傷むわけではありません。実際には筋繊維の構造がわずかに乱れるくらいです。
筋トレはウエイトを上げ下げする動作を繰り返しますが、全ては筋繊維を破壊するための運動です。
言い換えれば、筋肉がダメージを受けるくらいの負荷をかけないと、超回復は発生しにくいということです。
筋繊維のダメージの大きさは、筋肉が受ける刺激の強さで変わります。
筋トレの負荷が高いほど筋繊維の損傷も大きくなります。
ですが、あまりダメージが大きいと修復に時間がかかるため、超回復の効果は低下します。
つまり、筋トレの負荷は強すぎても弱すぎてもいけないということです。
筋トレの負荷は筋肥大を促す場合は、「1セットあたり8~12回で限界になるウエイト」が良いと言われているのも、超回復の効率を高めるためなのです!
<筋トレの負荷のかけ方についてはこちら!>
筋肉がダメージから回復するとき、栄養素が重要な役割を果たします。
栄養補給が十分でないと筋繊維の回復が遅れるだけではなく、筋肉量が減ってしまうこともあります。
「筋肉は何からできているの?」と疑問に思ったことはありませんか?
筋肉は「タンパク質」からできています。
筋肉がダメージを受けると、体はタンパク質から筋肉を作り出します。
タンパク質をしっかり摂取すると、筋トレ後の超回復をサポートできます。タンパク質は肉や魚、乳製品や大豆食品に多く含まれているので、1日3回の食事でしっかりとるようにしましょう!
また、筋トレ後の30分以内は「ゴールデンタイム」と呼ばれており、タンパク質の摂取が特に効果的な時間帯になります。
このときにプロテインなどでタンパク質を補うと、効率的に筋肉の合成が行えると考えられています。
超回復には栄養素以外にも大切なものがあります。
それが休息です。
ダメージを受けた筋肉が回復するまで2~3日かかります。回復期間中に十分な休息をとれていないと、筋肉の回復が遅れてしまいます。
そのため、少なくとも6時間以上の睡眠は確保しましょう。
また、ダメージを受けた筋肉に負荷をかけないようにするために、回復するまではその部分を休めることも大切です。
「2~3日間は筋トレしたらダメなの?」と思われた方、実はそういうことではないのです!
例えば、胸の筋トレを行った後の数日間は、再び胸を鍛えないようにします。
その一方で、胸以外の部分はできる範囲で鍛えても良いのです。
これは分割法と呼ばれ、筋トレの効率的なスケジュールを考えるときに、とても大切な考え方になります。
<筋トレと睡眠の関係性についてはこちら!>
<分割法のやり方ははこちら!>
超回復理論に沿って筋トレを行うと、筋肥大の流れをつかみやすくなります。
それでは、超回復のプロセスを促進させられるような方法はあるのでしょうか?
筋肉のコンディショニングには、次の3つの手法があります。
ただし、これさえやればどんなハードなトレーニングをしても良いというわけではありません。
あくまで筋肉の回復をサポートできる可能性があるということです。
入浴には体温を上げる効果があります。
体温が上がると血行が良くなるため、全身に血液がよく行き渡るようになります。
筋肉の回復には様々な栄養素が必要になるので、入浴による超回復のサポート効果を期待できます。
また筋トレ後の入浴は、するべきだ!するべきでない!と諸説述べられています。
これは、筋肉が炎症を起こしている場合、患部を温めることになるのではないか?と言う疑問から出ています。
現在は、筋トレ後の入浴についての議論で科学的な決着はついていないようです。
詳しく知りたい方は、いくつかの論文をもとに筋トレ後のお風呂の是非を調べて記事があるのでそちらをご覧ください。
<筋トレと入浴の関係に関してはこちら!>
超回復サポートのためというよりも、筋トレ後のストレッチは必ず行うべきです。
筋トレは筋肉に強い刺激を与えるため、トレーニング後は筋肉が緊張しています。その状態が続くと超回復の効果が低下するのです。
強度の高い筋トレを行うと、筋肉の周辺に乳酸や水素イオンなどの疲労物質が溜まります。
これは、筋肉が緊張して血流が悪化しているからです。
筋トレ後にストレッチを行うと筋肉がリラックスして、疲労物質の排出を促すことができます。
筋トレをした日になかなか眠れないことってありませんか?そんな場合はぜひストレッチを取り入れてみましょう!
ストレッチには副交感神経を優位にする効果があります。質の高い睡眠をとるためには副交感神経の働きが重要です。
先ほども解説したように、超回復には十分な休息が必要です。
せっかく筋トレを頑張っても、眠れないと効果が下がってしまいます。ストレッチで筋肉の回復をサポートしましょう。
筋トレで筋肉がダメージを受けると、筋繊維が炎症を起こします。
炎症は筋トレの翌日以降には治まりますが、そのときの体調や体質などが原因で長引くことがあります。
炎症が過度に悪化すると、筋繊維に余計なダメージを与えてしまうことがあります。
こうなると筋肉の回復が遅れてしまうので、超回復の効果も低下します。
そこで活躍するのが湿布です。
湿布は主に炎症を緩和するために使用されます。鍛えた部分に湿布を貼ると、筋肉の炎症を抑えることができます。
筋肉の炎症を抑えると、つらい筋肉痛も緩和できます。
ただし、湿布で筋肉の回復が早まるという保証はありません。
湿布は医薬品の一種なので、筋トレのたびに使用するのは止めましょう。筋肉痛がひどくてどうしても必要なときだけ使うと良いでしょう。
超回復理論に沿って筋トレを行うと、筋肥大を効率的に進めていくことができます。
ただし、次の3点に注意する必要があります。これらの点をおろそかにすると、超回復の効果が低下してしまう可能性があるからです。
それぞれを解説します。
過度な筋トレを行ってはいけません。
過度な筋トレには2種類あります。負荷が強すぎるものと、頻度が高すぎるものです。
いずれの場合も超回復に悪影響を与えます。
筋トレの負荷が強すぎると、筋繊維のダメージも相当に大きくなります。
筋繊維の回復速度には限界があるため、損傷が大きいと筋肉の回復が遅れます。
そのため、筋肥大のために筋トレをする場合は、1セットあたり8~12回で筋肉が限界になるウエイトを使用しましょう。
筋トレの頻度が高すぎる場合は、筋肉の回復が間に合わなくなります。まだ筋肉のダメージが残っているときに、次のトレーニングに移ってしまうからです。
このような高頻度の筋トレは、「オーバートレーニング」の原因になります。
同じ筋肉を鍛える頻度は、基本的には1週間あたり2回までにしておきましょう!
筋肥大を早めるためにできるだけ頻度を高めたいと思うかもしれません。しかし、時間をかけて着実に進めていく方が、結果的には近道になるのです。
就寝前や起床後すぐに筋トレを行ってはいけません。
いずれの場合もトレーニングのパフォーマンスが低く、超回復の効率も悪いからです。せっかく頑張って筋トレをするなら、効率的にできる時間を選びたいですよね。
就寝前に筋トレをすると、体が緊張して興奮状態になります。
その状態が解消されるまでには、少なくとも数時間は必要です。したがって、就寝前に筋トレを行うと、眠りにくくなってしまうのです。
起床時は体温も筋肉の柔軟性も低いです。起床から数時間経たないと体は運動に適した状態になりません。その前に筋トレをすると、大きなケガの原因になることがあります。
また、起床時は体内のエネルギーが不足しています。
起きてすぐに筋トレをするとまずパワーが出ませんし、せっかく鍛えても栄養素が不足しているので筋肉も成長しません。
筋トレは体が活動的な昼間や夕方に行いましょう。
<筋トレのベストタイミングについてはこちら!>
見た目痩せやダイエットのために筋トレをする場合は、食事制限をしすぎないように注意が必要です。冒頭でも解説したように、超回復のためには栄誉補給が欠かせないからです。
筋肉の修復や補強には、大量の栄養素と共にエネルギーが必要です。そのため、ダイエットの食事制限で摂取カロリーが少ないと、超回復の効果が低下してしまうのです。
カロリー不足の状態で筋トレを続けると、体脂肪と一緒に筋肉量が減ってしまうことがあります。これでは、せっかく筋トレをしている意味がないですよね…。
「そんなこと言われても、ダイエットしたいんだけど…」という方も多いはず。でも、体重を減らしながら筋肉を増やすことはまず不可能。筋肉量を増やして痩せやすい体をゲットしたいなら、体重のことは一度忘れて超回復に意識を向けてみましょう。
どうしても筋肉量の増加と体脂肪の燃焼を両立させたい場合は、カロリー量を維持したまま食事のバランスを変えてみましょう。最も一般的に行われているのは、糖質を減らしてタンパク質の摂取量を増やす「緩やかな糖質制限」です。
ただし、筋トレ直後はプロテインと一緒に、ジュースなどの飲み物で糖質を補給してあげましょう。筋トレ後はタンパク質と糖質が必要だからです。それだけでも超回復を十分にサポートできます!
トレーニング頻度を考える上で重要なのは、「全体の頻度」と「部位あたりの頻度」は別のものだということです。
全体の頻度としては週4回くらいがオススメですが、部位あたりの頻度は週2回までに抑えるようにしましょう!
毎回それぞれ別の部分を鍛える場合は、十分な体力があれば週5回筋トレしても構いません。例えば、胸・背中・腕・肩・足を1日ずつ鍛えていくような場合です。ただ、あまりスケジュールを詰めると疲労が蓄積するので、週3~4回くらいが適切です。
同じ部分を週に複数回鍛えたいという場合、その頻度に注意が必要です。特に、大胸筋や下半身などの大きな筋肉を週3回も鍛えると、筋肉の回復が間に合わなくなります。オーバートレーニングの原因にもなり、超回復に大きな悪影響が出ます。
基本的には部位ごとに1日ずつ鍛える方がオススメなのですが、ひとつの部分を集中的に鍛えたい場合もあります。そのときは週2回の頻度がオススメです。どうしても週3回行いたい場合は、1日は負荷の軽い種目を行うなど、上手にメニューを振り分けましょう。
<筋トレの頻度に関してはこちら!>
超回復理論について、筋肉が成長する過程や注意点などを見てきました。
「でも、超回復をどうやって活用すればいいの?」と疑問に思った方も多いはず。そこで、筋トレのメニューをどのように組めばいいのか見ていきましょう。
筋トレのメニューは各部位ごとに分割して行い、ひとつの部位のトレーニングは週1回しか行わないことが多いです。
しかし、まずは超回復理論に基づいたメニューの組み方を知ることが大切。そこで、ひとつの部位を集中的に鍛える場合にオススメなメニューを見ていきましょう!
このトレーニングメニューでは、主に上腕二頭筋と上腕三頭筋を分割して、片方を鍛えた翌日は休息日としました。
1週間の締めくくりとして、金曜日に上腕二頭筋・上腕三頭筋・前腕筋群をまとめて鍛えるメニューを組みました。
上腕二頭筋と上腕三頭筋は「拮抗筋」のペアなので、休息の取り方に注意が必要です。拮抗筋とは体の反対側に存在する筋肉のことで、片方が緊張するときにもう一方は弛緩するという特徴があります。
つまり、片方に筋肉痛があるときはもう一方の筋トレに影響するということです。
例えば、上腕二頭筋を鍛えた翌日はまだ筋肉痛が残っています。この状態で三頭筋を鍛えると、二頭筋の痛みで動作に支障が出ます。十分な負荷を与えられないと超回復の効果も下がるので、1日置いてから鍛える方が良いでしょう。
<腕トレのメニューはこちらもcheck!>
大胸筋を鍛えるうえで重要なのは、全体をバランス良く鍛えることです。大胸筋は大きな筋肉なので、筋肉の付き方が偏ってしまいます。そこで、複数の種目を上手に使いこなすことが大切です。
上記のメニューでは、通常のベンチプレス系の種目とインクライン系で分割してあります。大胸筋は大きな筋肉なので、高強度で行う場合は回復まで少なくとも2~3日必要です。したがって、大胸筋は週2回のトレーニングが限度です。
無理に筋トレの頻度を高めようとすると筋繊維の回復が間に合わなくなり、筋肉が十分に成長できません。
どうしても週3回鍛えたいという場合は、上記の例のように自重トレーニングだけ行う日を設けてみましょう!
<胸トレのメニューはこちらもcheck!>
背中の筋肉は大きくするのが難しい部分なので、バランス良く鍛えるためには様々な種目をこなす必要があります。さらに、背中の筋肉は回復に時間がかかるため、いくつかの部分に分けて鍛える方が望ましいです。
最初の月曜日に広背筋を全体的に鍛えるメニューを組みます。水曜日は鍛える部位を変えて、腰や肩まわりの筋肉を重点的に鍛えます。デッドリフトは下半身にもよく効きますが、背中のトレーニングにも最適です。
レッグレイズは腹筋を鍛える種目として有名ですが、実は腰のインナーマッスル「大腰筋」を鍛えることができます。この筋肉が発達していると腰の強度が高まり、腰痛の予防に役立ちます。
<背中トレのメニューはこちらもcheck!>
下半身には全身でも大きな筋肉が集まっているため、ここを鍛えると身体機能が向上します。ただし、下半身の筋トレはケガに繋がりやすいので、必ず正しいフォームで行えるように注意しましょう!
特に、バーベルデッドリフトは安全に行うのが難しい種目です。無理な筋トレを続けるとヘルニアなどのつらい疾患に繋がるので、不安がある場合はこの種目は行わなくても構いません。
全体の流れとしては他の部分と同じです。強い負荷を扱える種目を週2回行い、最後の土曜日に自重トレーニングを組み込んで筋トレの頻度を高めています。下半身の筋トレは体力の消耗が激しいので、1日に行う種目は少なめにしておきましょう。
<下半身トレのメニューはこちらもcheck!>
超回復は筋肉が成長する過程を説明するための理論ですが、超回復理論を否定する意見もあります。とはいえ、超回復理論について知っておくと、筋トレのメニューを効率的に組み立てるのに役立ちます。
筋肉の回復には2~3日かかるので、その間は他の部分を鍛えるように工夫しましょう。過度な負荷を避けつつもトレーニングの頻度を高めることで、筋肉を成長させやすくなります!